全員に原告適格を認めろ 三里塚・空港差し止め裁判 顧問弁護団が徹底反論
週刊『前進』04頁(3330号04面03)(2024/02/05)
全員に原告適格を認めろ
三里塚・空港差し止め裁判
顧問弁護団が徹底反論
千葉地裁民事第3部(岡山忠広裁判長)で1月26日、空港拡張差し止め裁判が開かれた。これは三里塚芝山連合空港反対同盟が国と成田空港会社(NAA)に対し、B’滑走路の2500㍍への延長(2006年)、第3誘導路建設(10年)の違法性を追及し、さらに現在「空港機能強化」として進められるB’の再々度の北延伸による3500㍍化、C滑走路(第3滑走路)新設の工事差し止めを求める裁判である。
被告の国はこの間、天神峰の市東孝雄さん、東峰の萩原富夫さん以外の原告には「原告適格がない」(権利や法律上保護された利益を侵害される者にあたらない)という許しがたい反論を提出していた。これに対し反対同盟顧問弁護団は今回、徹底的に反論した。
芝山町の白桝に住む伊藤信晴さんの家は、航空機騒音防止法第一種区域にあり、日々耐え難い騒音に苦しめられている上、空港機能強化策によって移転の対象とされている。
成田市の空港に近接する地域の太郎良陽一さんの住居は、騒音被害の上、離陸後の飛行機が頭上を旋回し、いつ墜落するかとの恐怖・威圧感にさいなまれている。もともと豊饒(ほうじょう)な農業地帯だったが、現在はB’滑走路延長工事にかかわるダンプなどの車両が多数、粉じん、排気ガスをまき散らしながら我が物顔に往来し、地域破壊が進んでいる。
A滑走路南に位置する三里塚、南三里塚に住む北原健一さん、戸村和代さん、野平清子さん、さらに空港西側の宮本麻子さんについても、騒音被害の上、航空法に基づく制限表面(円錐表面)の上に出る高さの建物の設置や樹木植栽を禁止されている(違反すると50万円以下の罰金、航空法第150条)。
被告が言う「被害があっても耐え忍べ。国には裁量権がある」は暴論であり、当然にも全員に原告適格が認められるべきだ!
10人を超える国、NAAの代理人たちは無表情を装っているが、機能強化策の罪深さを突きつけられ内心動揺している。
次回期日を5月24日として閉廷した。