ウクライナ開戦2周年 2・24反戦闘争に結集を 参戦進める岸田許すな 世界戦争阻止の内乱的決起を
週刊『前進』04頁(3330号03面01)(2024/02/05)
ウクライナ開戦2周年
2・24反戦闘争に結集を
参戦進める岸田許すな
世界戦争阻止の内乱的決起を
(写真 ガザ大虐殺弾劾、辺野古新基地建設阻止、ウクライナ反戦を訴えて労働者・学生がリレーアピール【1月21日 東京都新宿区】)
本紙新年号1・1アピール(3325号)で明らかにした通り、アメリカ帝国主義の大没落と米中対立の果てしない激化の中で、米帝は自らの延命と世界支配の維持をかけた中国侵略戦争―世界戦争を決断し、猛然と突き進んでいる。このことが今日の世界情勢を根底において規定し、ウクライナ戦争を激化・泥沼化させ、中東でのさらなる戦火の拡大をもたらしている。こうした中で日本帝国主義・岸田政権は、米欧諸国の国内矛盾の激化に規定されたウクライナ支援の「後退」を補う形で、これまでより踏み込んだウクライナ支援(事実上の参戦)を進め、それをも契機に中国侵略戦争に向かっての大軍拡・戦争国家化を一気に強行しようとしている。開戦2周年を前に、ウクライナ反戦闘争は今こそが正念場といえる局面を迎えている。
米、長期戦構え戦略転換
昨年を通じて、米欧帝国主義は主力戦車や戦闘機、砲弾などをウクライナに大量供与し、日帝が議長国を務めた5月広島サミットにゼレンスキーを迎えて「揺るぎないウクライナ支援」を確認した。これを受け、6月から文字通り「満を持しての」ウクライナ軍の大規模反転攻勢が始まった。だが、帝国主義の軍事支援に全面的に支えられ、住民の被害も意に介さず劣化ウラン弾やクラスター弾を投入して実行されたこの反転攻勢が、ウクライナ側に甚大な物的・人的被害を出した上に惨憺(さんたん)たる失敗に終わったことは、もはや誰の目にも明らかになっている。この間、米欧などの主要メディアは、ウクライナ軍が今年に入って「戦略的防衛」に転換し、「今年中に守備を固め来年(25年)に再び攻勢を試みる構え」だと相次いで報じている。1月27日付米紙ワシントン・ポストは、バイデン政権が反転攻勢の失敗を受けて方針を転換し、米政府のウクライナ支援戦略から「領土奪還」の文言を削除、ゼレンスキーの掲げる「クリミアを含む全領土の奪還」は当面不可能と見て作戦の重点を「防御戦」に移そうとしていることを報じた。だがこれは、米帝がロシアとの妥協や停戦を考えているということではもちろんない。同紙によると、米国務省はウクライナに対する「10年の長期支援計画」をすでにとりまとめ、今春にも公表する予定だという。ウクライナの長期的な戦力強化、経済基盤の立て直しを図りつつ、今後10年の長きにわたろうとも、ウクライナを血みどろの戦場とする戦争をあくまでも継続する構えだということだ。
加えて、昨年以降の過程で明らかになったことは、ドイツ製主力戦車「レオパルト2」などの最新鋭のハイテク兵器を供与しても、砲弾の大量生産や損壊した兵器の修繕といった物量戦でウクライナ側が遅れをとる限り、ロシア軍を火力で圧倒することはできないということである。特にウクライナ軍の砲弾の枯渇は深刻で、昨年夏に1日約8千発だった砲弾発射数は現在では2千発にまで落ち込んだ。レオパルト2は部品の不足などで修理ができず、整備不良で数台しか機能していないことが報じられている。
欧州連合(EU)が昨年3月の外務・防衛閣僚会議で合意した「1年以内に155㍉砲弾100万発をウクライナに供給する」との計画は到底達成できないことが明らかになり、フォンデアライエン欧州委員長は24年を通じてEU加盟国の軍需生産能力の向上を加速することを表明。北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は今年1月23日、ウクライナ戦争は「弾薬の物量戦になっている」と述べ、新たに155㍉砲弾22万発の生産を発注したことを明らかにしたが、ウクライナへの納品が始まるのは早くても25年末になるという。
ロシア・プーチン体制はすでに年間200万発の砲弾製造が可能な戦時経済体制を確立し、兵士の動員を拡大して「徹底抗戦」を構えている。これに対し、米欧帝国主義は軍需生産の拡大と戦時経済化を推し進め、軍需資本の利益を拡大しつつ、人民のおびただしい犠牲の上に何年にもわたって延々と戦争を続けようとしているのだ。そして日帝・岸田政権もますますウクライナへの関与を強め、参戦しようとしている。
対中国視野に「復興支援」
岸田政権は昨年12月22日、防衛装備移転三原則の運用指針見直しを閣議決定し、自衛隊法上で「人を殺傷、物を破壊する機械や器具」と規定する殺傷兵器の完成品の輸出を解禁、ただちに日本で製造した地対空ミサイル「パトリオット」をライセンス元である米国に輸出することを決めた。さらに岸田は、ウクライナへの大量供与で備蓄の不足が叫ばれる砲弾の輸出もすでに検討を開始している。このような「同志国」への武器輸出と軍事協力関係の強化は、明らかに中国侵略戦争をも見据えた動きだ。そして、これと並んで岸田が全力で後押ししているのが、「ウクライナ復興支援」と称する日本企業のウクライナ進出だ。世界銀行は、「ウクライナ復興」に必要な資金を4110億㌦(約60兆円)と試算する。経産省や国際協力機構(JICA)の音頭のもとに資本が群がり、官民一体のウクライナ進出が進められようとしている。経済産業省は、23年度補正予算にウクライナの「インフラ復旧」などに取り組むスタートアップ企業の事業費を1件あたり最大10億円補助することを盛り込むなど、テコ入れを強めている。来たる2月19日に政府が東京都内で開催する「日ウクライナ経済復興推進会議」では、地雷・がれきの処理、農業支援、電力・交通インフラ整備など七つの重点分野にわたり20以上の協力文書に署名する見通しだ。
だが、ウクライナは戦争の真っただ中にあり、戦争終結後の「復興支援」とはわけが違う。戦争当事国へのインフラ整備を官民一体で担うということは、日帝自身も深々と参戦していくということだ。例えば住友商事や楽天など約20社は、通信インフラなどの整備を「比較的安全とみられるウクライナ西部を中心に年内にも着手する」(1月19日付日経新聞)としているが、昨年末には首都キエフ(キーウ)をはじめウクライナ全土がロシア軍のミサイルで一斉攻撃されたばかりであり、「安全な地域」などないことは明白だ。今後、進出した企業やその関連施設が攻撃を受ければ、日本政府は「国益を守れ」「日本の存立に関わる事態だ」と叫び、自衛隊派兵やNATO軍と連携した対ロシア軍事行動などに踏み込んでいくことになる。岸田は明らかにそれを想定し、意識的にウクライナ進出を進めようとしているのだ。
戦争の継続・激化狙う帝国主義倒せ
すでに2年にわたりウクライナを地獄の戦場に変え、動員された兵士や人民の命を無残に奪ってきたウクライナ戦争を、米欧日帝国主義はさらに数年がかりで継続・激化させ、ロシアの弱体化と一体で中国侵略戦争への準備を推し進め、それを通じて軍需産業の育成や戦争利権に群がる資本の進出を後押ししようとしている。命脈の尽き果てた資本主義の活路をそこに見いだそうとしているのだ。今こそウクライナ反戦闘争は、パレスチナ連帯・中国侵略戦争阻止の闘いと完全に一体の、帝国主義=自国政府打倒の内乱を切り開く闘いとして徹底的に闘い抜かれなければならない。改憲・戦争阻止!大行進が呼びかける2・19日ウ経済復興推進会議粉砕闘争、2・24ウクライナ開戦2周年闘争に全力で決起しよう!