スト復権の24春闘へ 反戦軸に労働者反乱を 戦争翼賛に転じた連合を倒せ
週刊『前進』04頁(3330号02面01)(2024/02/05)
スト復権の24春闘へ
反戦軸に労働者反乱を
戦争翼賛に転じた連合を倒せ
24春闘は労働者人民の命運をかけた決戦だ。ウクライナ戦争は止まらず、ガザでの大虐殺が続いている。帝国主義が延命するために、膨大な人々の命が残虐に奪われている。さらに米日帝国主義による中国侵略戦争が迫っている。岸田政権は能登半島地震の被災者を見殺しにしても、戦争準備に余念がない。労働者階級の任務は、戦争を絶対に阻止することだ。実力闘争をよみがえらせ、内乱的な決起で戦争の元凶である帝国主義を打倒することだ。春闘もその闘いの一環だ。
闘って一律大幅賃上げを
経団連は1月16日、「2024年版経営労働政策特別委員会報告」を公表した。その序文で会長の十倉雅和は、「昨年以上の熱量と決意をもって物価上昇に負けない賃金引上げを目指すことが経団連・企業の社会的責務と考えている」とまくしたてている。だがこれは、資本が実質賃金の引き上げを確約したことを意味しない。同報告は昨春闘を「30年ぶりとなる歴史的な月例賃金引上げを記録」し、「『成長と分配の好循環』の歯車が力強く回り出した」と美化する。だが、3%台の賃上げは大手企業の正社員に限られ、それすら物価上昇に及ばない。実質賃金は昨年11月時点で20カ月連続して下がり続けた。まして非正規職労働者に強いられたのはインフレ下での賃上げゼロだ。最低賃金すれすれで働く労働者の割合も、16年度の11・1%から22年度の19・2%へと急拡大した。これが労働者の置かれた現実だ。
同報告は、賃上げの前提になるのは労働生産性の上昇であり、そのためには労働規制を撤廃する「働き方改革」と全面的な雇用の流動化が必要だと繰り返し主張する。同報告はまた、資本の側から春闘の歴史を総括している。恐慌のさなかの1974年、大幅なインフレ下で賃上げ率は30・6%(経団連調査)に達した。これに対し当時の日経連(後に経団連と統合)は、賃金上昇率は生産性上昇率を上回ってはならないという「生産性基準原理」を掲げ、賃上げを徹底的に抑え込むとともに御用組合を育成した。その歴史を経労委報告は誇らしげに語る。つまり「賃上げ」も資本が制御できる範囲でしか認めないということだ。
戦時インフレの中で生活を守るためには大幅賃上げが必要だ。それは労働者自身の団結と闘いによってしか実現できない。賃上げは資本や岸田政権が恵んでくれるものでは断じてない。ストライキを取り戻してこそ労働者の未来は開ける。
労働者の反乱恐れる岸田
その兆しは確実にある。資本と岸田政権は労働者の反乱を恐れている。経労委報告は昨年夏のそごう・西武労組のストライキに触れて、次のように言う。「数十年振りに大規模なストライキが実施されたことは記憶に新しい。この件を受けて、日本の労使協調路線が転換するのではないかとの指摘がなされた。わが国の労使関係は、戦後の大規模なストライキを経験し、長い時間にわたる紆余(うよ)曲折を経て、多くの企業において労使協調路線を構築してきた。……こうして形成された良好で安定的な労使関係は……軽々に揺らぐものではないと確信している」。ここにあるのはストライキ復活への恐怖だ。そごう・西武労組のストライキは、闘って雇用や権利を守りぬくのが労働組合だという認識を、社会全体に一気に広げた。だから経団連は連合を抱き込むことに必死になる。経労委報告は「連合が2024年闘争方針で示している基本的な考え方や方向性、問題意識は、経団連と多くの点で一致している」と言う。連合会長の芳野友子も、1月24日の経団連主催の「労使フォーラム」で「労使の認識は一致している」と応じた。労資間に対立する要素があってはならないというこの表明は、産業報国会に行き着く争議絶滅・スト絶滅の宣言だ。
連合は戦争翼賛へと急速に純化している。ガザでの事態について連合事務局長の清水秀行(日教組前委員長)が出した談話は、誰が誰を虐殺しているのかを覆い隠して「中東の人道危機」を嘆くだけで、イスラエルを一言も弾劾しない。清水はまた、自衛隊病院がウクライナの負傷兵を受け入れたことを、「ナイチンゲール精神」による人道的支援だと美化している。
1月17日付の「経労委報告に対する連合見解」は、「世界情勢は一層不安定化し、自由と民主主義の価値観が揺らいでいる国も少なくない。経団連と連合は、これまでも、民主主義社会における合意形成の一翼を担い、社会の安定帯としての役割を担ってきたが、これからも未来に向け、その役割を果たしていかなければならない」と言う。「自由」や「民主主義」の名で侵略戦争を強行する帝国主義の側に身を置いて、資本と一体となって反戦闘争を圧殺すると誓ったのだ。
反戦貫く労働運動に展望
だが、連合が翼賛化すればするほど、連合による労働者支配は崩れていく。全世界で巨万の労働者人民が反戦デモに立っている。戦争が引き起こした大インフレに対して、至る所でストライキが激発している。その波は日本にも波及した。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部と全国金属機械労組港合同、動労千葉が呼びかけた昨年の11・19労働者集会は、その事実を歴史に記した。集会は国境を越えた労働者の連帯のもと、国際反戦大集会としてかちとられた。イスラエルによるジェノサイドと帝国主義が主導するウクライナ戦争、切迫する中国侵略戦争に対し、3000人が反戦の叫びを上げた。各労組が反戦の砦(とりで)としての責務を貫き、反戦闘争の先頭に立つとともに、一切の戦争動員を拒否すると宣言した。
その直後には港合同昌一金属支部やJAM日本機械労組など、11月集会に結集する労働組合が満を持してストライキに立った。街頭で、地域で、職場で必死に反戦闘争を訴え続けてきたことが労働者の決起を続々と生み、職場での資本との闘いも新たな段階に押し上げたのだ。戦時下で反戦闘争を徹底的に貫くことが階級的労働運動をよみがえらせる。その展望を11月労働者集会は示した。
この地平の上に、動労千葉は3月JRダイヤ改定阻止―24春闘勝利へ、ストライキを構えて闘いに立とうとしている。
春闘は1955年に私鉄総連、炭労、電産、合化労連、紙パ労連、全国金属、化学同盟、電機労連の8単産が共闘して賃上げを要求したことから始まった。それは産別を超えて労働組合が統一闘争を展開し、賃上げを目指すものと位置付けられ、ストライキも恒例化したが、労働運動が経済闘争に埋没し体制内化していく転機にもなった。
労働力不足が示す資本の末期的危機
国鉄分割・民営化を経て結成された連合は、闘って賃上げを勝ち取るという考え方を完全に投げ捨てた。春闘は、資本が進める合理化を労働組合が容認することと引き換えに、正規職労働者の賃金をわずかに上げる屈辱的な取引の場になった。これにより大多数の労働者の賃金が30年間も上がらない、世界でもまれな異様な事態が進行した。非正規雇用も急拡大した。それがもたらしたものは、労働力を再生産できなくなった資本主義の末期的な危機だ。どの産業でも労働力が不足し、労働者に長時間・強労働を押し付けても業務を回せなくなっている。それは安全も崩壊させた。JR東日本が1月23日に起こした新幹線の架線破断と復旧作業に当たっていた下請け会社の労働者の感電事故、終日続いた運休は、その典型だ。
こうした現実に対する労働者の積もりに積もった怒りが、連合支配の破れ目を突いて噴出し始めた。その怒りを糾合できるのは、戦争による延命をたくらむ資本主義と真っ向から対決し、戦争絶対反対を貫く階級的労働運動だ。戦争を阻止することは労働者階級・労働組合の最も基礎的な任務だ。動労千葉の闘いを先頭にストライキを復権させ、反戦春闘に立とう。2・11国鉄集会で陣形を整え、労働運動を大変革する24春闘に打って出よう。