NAAの偽造を完全粉砕 三里塚耕作権裁判 反対同盟元法対部が証言

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週刊『前進』04頁(3329号04面02)(2024/01/29)


NAAの偽造を完全粉砕
 三里塚耕作権裁判
 反対同盟元法対部が証言

(写真 耕作権裁判開廷を前に「農地死守、戦争反対」を訴えて千葉市内をデモする三里塚反対同盟【1月22日】)

 市東孝雄さんの耕作権裁判が1月22日、千葉地裁民事第2部(齊藤顕裁判長)で開かれた。
 この日の証人は、反対同盟法対部として活動していた元永修二さん。1987年12月26日、元永さんは市東東市さん(孝雄さんの父・故人)に同行して車を運転し、南台耕作地の地主である藤﨑政吉宅に地代を支払いに行った。藤﨑は東市さんを奥の応接室に呼び、「自分はホテル事業で失敗して借金を抱えたので南台の小作地を空港公団に売りたいが、公団が買いやすいように一緒に公団に売ってくれ」と求めてきた。もちろん東市さんが公団に売る気などさらさらないが、市東さんの小作権は地主の「売りたい」との意向に法的に対抗できるのかについて、元永さんは反対同盟の指示のもと調査を開始した。88年3月に成田市農業委員会を訪れ、事務局長と面会して、①農地の売却には農業委員会が発行する農地法第3条の許可書の添付がなければ、地主が売り渡すことはできない②成田市農業委員会は小作人の印鑑証明付きの同意書を提出されなければ、手続き上農地法3条許可書を出せない③土地に複数の小作人がいて、小作地が小作契約で特定されていない場合、場所確認の同意書を全小作人から提出されない限り、農地法3条許可書は発行されない、と説明を受けた。
 つまり、東市さんが反対している限り、南台耕作地の全部を地主が公団に売却することなど到底不可能ということだ。元永さんは東市さんからの綿密な聞き取りを行って、報告書「小作地の件について」、通称元永メモを作成し、反対同盟に提出した(88年3月19日)。ところがその後、空港公団は地主・藤﨑から小作権が付いたまま底地を買収したという。しかも15年もそのことは隠し通され、市東家は藤﨑に地代を納め続け、藤﨑はなに食わぬ顔で受け取っていた。こんなでたらめが許されるのか!
 主尋問の最後に元永さんは「市東さんは84年に家を新築して農地死守の意思を明確にした。その後強制収用攻撃が迫る中、百姓として空港反対を貫くことに迷いはなかった。同意して署名捺印(なついん)することなどありえない。藤﨑と面談して、同意書、確認書が偽造としか考えられないと確信した」と語った。元永メモは、NAA(成田空港会社)が描くシナリオを完全に粉砕した。
 弁護団は最後に、証人として出廷拒否したままの法理哲二(元公団用地部職員)の法廷への喚問を強く裁判長に要求した。
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