戦争危機高まる朝鮮半島 米日の対中戦争準備を背景に

週刊『前進』04頁(3329号03面02)(2024/01/29)


戦争危機高まる朝鮮半島
 米日の対中戦争準備を背景に


 米日帝国主義の中国侵略戦争への突進は、帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制の確立において決定的な意味をもった地域―東欧、中東、東アジアで特にその矛盾を爆発させ、戦争をもたらしている。ウクライナ戦争の激化・泥沼化、イスラエルのガザ大虐殺、台湾海峡をめぐる緊張激化と一体で、南北に分断された朝鮮半島でもかつてない一触即発の緊張状態がつくりだされている。

急ピッチで進む米日韓軍事協力

 朝鮮半島をめぐる軍事的緊張は「北朝鮮の核武装に対し、非核化を目指す米日韓」などと宣伝されるが、そもそも朝鮮戦争の休戦協定・第13節(d)を破って先に朝鮮半島に核兵器を持ち込んだのは米帝であり、今も世界最強の核戦力を保有する米帝こそ朝鮮半島の核戦争危機の元凶だ。北朝鮮スターリン主義が反人民的に核武装に踏み込んだのも、米日帝の戦争重圧に対する体制存亡をかけた対抗 措置にほかならない。そして今、中国侵略戦争を構える米帝は、対北朝鮮のみならず対中国まで対象にした米日韓3カ国の軍事同盟構築を急いでいる。
 昨年4月の米韓首脳会談、8月の米日韓首脳会談を経て、米日韓は急ピッチで軍事的連携を深めている。7月には米原子力潜水艦が42年ぶりに韓国に入港。10月には初の3カ国合同空中演習が行われ3カ国の戦闘機が多数参加、核兵器搭載可能な米軍の戦略爆撃機B52が韓国軍の基地に初着陸した。12月には米日韓軍事情報共有の第1弾として北朝鮮のミサイル発射情報共有システムの運用を開始、複数年にわたる訓練計画も策定され、今年1月15~17日には米原子力空母をはじめ海上自衛隊と韓国海軍の艦船計9隻が参加する合同演習が行われた。
 北朝鮮はこれらの動きに対抗し、昨年11月21日には軍事偵察衛星を打ち上げたが、これを口実として翌22日、韓国は2018年に結ばれた南北軍事合意の一部を停止、軍事境界線付近の空域での監視活動を再開した。北朝鮮は韓国の対応に対し、合意の事実上の破棄を宣言して軍事境界線付近に重火器を配備、12月18日には大陸間弾道弾(ICBM)の発射訓練を行った。そして今年1月8日、韓国は「(南北軍事合意で定められた)敵対行為中止区域は存在しない」として訓練再開の方針を明らかにし、南北軍事合意は完全に消失した。ユンソンニョル政権は韓国に米帝の核戦略物資を配備する「拡大抑止」も進め、昨年7月と12月に会合を開いている。前述した42年ぶりの米原潜の韓国入港、米日韓3カ国演習でのB52の韓国軍基地への初着陸はこの一環だ。

北朝鮮が南北の「同族関係」否定

 こうした米日韓の軍事重圧に追いつめられた北朝鮮・キムジョンウン(金正恩)は、ついに昨年12月30日の朝鮮労働党中央委員会で、南北関係について「もはや同族関係ではなく、敵対的な二国間関係、戦争中の二国間関係に完全に固着した」と述べ、「民族統一を志向する過程での特殊な関係」という1991年南北基本合意書以来の規定を全否定するに至った。
 ロバート・ガルーチ元米国務省北朝鮮核問題担当特使が「2024年、北東アジアで核戦争が起きる可能性がある」と述べたように、情勢はきわめて緊迫している。朝鮮半島の緊張を高めているのは米日帝国主義の側だ。核戦争を止める道は、日米韓の労働者階級の国際連帯とその反戦闘争の爆発にある。それはウクライナ戦争を止め、ガザへの大虐殺を止める道ともつながっている。韓国・民主労総と連帯し、日帝・岸田政権を一刻も早く倒そう。
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