台湾の軍事基地化許すな 総統選うけ米日帝が対中圧力強化

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週刊『前進』04頁(3328号03面02)(2024/01/22)


台湾の軍事基地化許すな
 総統選うけ米日帝が対中圧力強化


 米日帝国主義による中国侵略戦争情勢が激化する中、1月13日に行われた台湾総統選で、与党・民主進歩党(民進党)主席の頼清徳(ライチントー)副総統が最大野党・国民党と第3勢力・民衆党候補を破って当選した。一方、同時に行われた立法院(国会)選挙では国民党が第1党となり、民進党は過半数を維持できず少数与党に転落。議会はねじれ状態となる。
 選挙結果への対応を通じて、米日帝と中国・習近平体制との間の緊張が一層高まっている。
 バイデン米大統領は開票後の記者の質問に対して「(台湾の)独立を支持しない」と答え、「一つの中国」政策に変更はないと強調してみせた。一方、ブリンケン国務長官は声明で祝意を表明し、「共通の利益と価値を促進し、非公式の(米台)関係を前進させるために協力する」と述べた。日本の上川外相も同様に祝意を表明。中国側はこれらの露骨な挑発に対する抗議の談話を出した。

戦争あおる米帝

 「中国の脅威」や台湾による「抑止」「自衛」を語って台湾―東アジアを戦火にたたき込もうとしているのは米日帝国主義の側だ。
 米帝は韓国と並んで台湾をアジアにおける軍事基地として位置づけ、1979年の米中国交正常化以降も「台湾関係法」のもとで武器供与を行ってきた。そして、蔡英文(ツァイインウェン)政権下の8年で米帝は台湾への働きかけを格段に強め、中国への戦争挑発をエスカレートさせてきた。ウクライナ戦争を受け、昨年3月には、米州兵が台湾軍に対中国の「自衛力強化」のための訓練を実施していることを公表。オースティン国防長官は、州兵の訓練を受けたウクライナ軍がロシアと効果的に戦っており、訓練は台湾にとって「素晴らしい事例になる」と述べた。
 米帝は台湾への巨額の軍事支援も立て続けに行い、昨年12月に成立した国防権限法にも「米国と台湾の協力を強化し、台湾の防衛能力を向上させる」と明記。台湾軍への訓練や助言、能力構築プログラムの実施を盛り込んだ。米日韓軍事同盟強化と一体で台湾を事実上の同盟国として位置づけ、中国侵略戦争の最前線基地として徹底的に武装させ、実戦に向けた訓練を施すということだ。
 頼はすでに、蔡政権が進めてきた軍事費増額や自前の潜水艦建造計画の継続、米欧日との関係深化を約束している。

日帝倒す闘いを

 今回の選挙は、青年層の圧倒的な支持を受けて蔡政権が誕生した2016年や20年とは一変した。コロナで経済の悪化に拍車がかかる中、低賃金や住宅費の高騰に直撃される青年労働者の怒りは民進党政権に向いている。そのことは、民進党が大敗した22年統一地方選ですでに示されていた。そして今回、8年ごとに政権交代してきた2大政党への不満や失望をかすめとる形で民衆党が登場し、野党候補の一本化も破産する中で票が大きく割れたのだ。
 米日帝は、こうした現状に対する怒りをも利用して中国政府と大陸の労働者人民への敵意をあおり、台湾の軍事基地化を推し進めようとしている。米帝がウクライナで行ったように、米日帝が中国への軍事挑発によって「台湾有事」をつくり出し、台湾人民を「自衛」の名で中国侵略戦争に動員することなど絶対に許してはならない。台湾人民は誰一人として中国との戦争など望んでいない。
 何より、日帝は1895年から敗戦までの50年にわたり台湾を植民地支配し、人民を虐殺し、資源を略奪し、さらには中国大陸を侵略して中台分断の原因をつくり出した張本人だ。その日帝がいまだに宗主国であるかのように「台湾有事は日本有事」「台湾は(中国と)戦う覚悟を」などと居丈高な発言を繰り返し、戦争をあおっている。この日帝を打倒することこそが日本労働者階級の責務だ。
 そして台湾労働者階級の解放の道は、中国侵略戦争に絶対反対を貫き、大陸の労働者人民と団結してプロレタリア世界革命の一環としての中国革命を真にやりとげることにのみある。連帯し、日帝打倒・中国侵略戦争阻止へ闘おう。
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