JRダイヤ改定阻止へ 鉄道の崩壊もたらす大合理化

週刊『前進』04頁(3328号02面02)(2024/01/22)


JRダイヤ改定阻止へ
 鉄道の崩壊もたらす大合理化


 戦時下の24春闘は重大な決戦だ。岸田は財界に「賃上げ」を要請し、経団連は「賃上げ率4%以上」を各企業に求める「経営労働政策特別委員会報告」を策定した。連合は岸田と財界の「お恵み」だけを当てにして、闘う構えは全くない。
 だが現場労働者には、闘って賃上げを勝ち取ろうとする機運が確実にある。
 動労千葉は1月6日の旗開きで、JRダイヤ改定阻止―24春闘勝利へ、ストを構えて闘うと宣言した。国鉄闘争全国運動の2・11国鉄集会は、この決意をスト復権と戦争阻止のうねりに転じる出発点だ。
 3月16日予定のダイヤ改定で、JRは鉄道を自ら崩壊させるような大合理化に踏み込もうとしている。

ワンマン化を狙い京葉線快速を廃止

 JR東日本千葉支社が一方的に発表した京葉線の通勤時間帯の快速列車廃止は、地域の強い怒りを引き起こした。千葉県の自治体首長がこぞって抗議する中で、JRは朝の快速2本は維持すると表明した。一度発表したダイヤをJRが修正するのは異例だが、問題は何も解決されていない。
 千葉の蘇我駅から東京の新木場駅までノンストップで走る通勤快速はあくまで廃止の対象だ。廃止されれば蘇我駅から東京駅までの所要時間は約19分増える。東京に通勤できることを前提に、千葉県内に住居を定めた人々の憤りは当然だ。
 快速廃止でJRが狙っているのは、京葉線をワンマン運転にすることだ。京葉線は強風による列車の遅れがたびたび発生する。その都度、快速が普通列車を追い抜く駅を変更するなど、複雑な操配が必要になる。
 だが、その業務を担う指令員を、JRはまともに養成できていない。指令は出世コースの一ステップに位置付けられ、長期に業務に携わることで技能を蓄積する職場ではなくなっているからだ。これは安全の破壊に直結する。羽田空港での日航機と海保機の衝突事故は、過密ダイヤと管制官の業務過多という問題を突き出したが、JRの指令も技術力の低下という問題を抱えている。JRは指令の業務をAIに委ねることもたくらむが、列車を運行しながらダイヤを組み替える作業は、AIにはできない。
 そこでJRは、複雑なダイヤ変更をなくすために快速を廃止すると決めた。運転士一人に全責任を負わせるワンマン運転も、それを前提に初めて成り立つ。この身勝手な考え方に、地域の怒りが噴出したのだ。
 ダイ改では、福島第一原発の脇を走る常磐線のいわき―原ノ町間もワンマン化される。JRは山手線や京浜東北線もワンマン化するつもりだ。京葉線の快速廃止は、その構想の一環だ。
 乗務員が所属する運輸区と駅を統合した「統括センター」も拡大する。労働者をあらゆる仕事に使い回す「業務融合化」が目的だ。千葉では習志野、千葉、佐倉、蘇我の運輸区が廃止されて統括センターになる。

乗務員は大幅削減長時間労働を強制

 その上、乗務員にはさらなる長時間労働が強いられる。ダイ改でJRは、行路の数を減らして1行路あたりの労働量を増やす。乗務員の数も大幅に削る。千葉支社全体では実質53人の要員減が計画されている。国鉄採用者の大量退職と若年退職の急増による人員減を、やみくもな要員削減で乗り切ろうというのだ。
 JRはCTS(千葉鉄道サービス)に委託していた上総一ノ宮駅での仕業検査と入出区業務、木更津駅での列車の分割・併合作業をJR本体に戻す。外注化の破綻だ。だが、これによりCTSの幕張事業所一ノ宮派出は廃止される。安全のため必要な派出をなくし、雇用の場を奪う攻撃だ。

戦争に役立たない地方線なくす攻撃

 国土交通省は1月12日、JR西日本の芸備線の廃線に向けて、JRと地元自治体で構成する再構築協議会の設置を正式に決めた。
 JR北海道は5駅を廃止する。全JRがローカル線の減便や駅窓口の閉鎖を計画している。JR九州は運転士の資格を持たない乗務員だけが列車頭部に乗る自動運転を香椎線で始める。
 こうしてJRは現場の業務をないがしろにし、鉄道崩壊に道を開いている。これに対する怒りを束ねて動労千葉はダイ改阻止の闘いに立つ。それは戦争を阻止する労働組合の力と団結を取り戻す決戦でもある。
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