羽田衝突事故 超過密化・人員削減で安全原則崩壊 海保機が待機指示無視

週刊『前進』04頁(3327号04面02)(2024/01/15)


羽田衝突事故
 超過密化・人員削減で安全原則崩壊
 海保機が待機指示無視

(写真 羽田空港のC滑走路上で日本航空と海上保安庁の航空機が衝突し炎上【1月2日 東京都大田区】)

 1月2日に羽田空港C滑走路で発生した日本航空(JAL)機と海上保安庁機の衝突は、JAL機の乗員乗客379人が命からがら炎上する機体から脱出(負傷者14人)し、海保機の乗員5人が死亡する大事故となった。能登半島震災に対する「初動の遅れ」が指摘され、さらには歴代自民党政権による防災予算の削減、地方切り捨てに怒りが高まる中で、岸田政権が必死に「やってる感」を演出しようとして年始繁忙下の羽田空港からの救援物資輸送を無理やりに強行したことが、この事故を引き起こした直接の原因だ。
 そもそも同じ滑走路に2機以上が同時に入ってはならないという、最も初歩的かつ絶対的な安全原則がなぜ破られたのか。海保側は「管制から離陸許可が出ていた」と主張するが、3日に公開された通信記録では海保機への離陸許可は確認されず、むしろ「停止位置で待機」との指示を無視する形で海保機が滑走路へ進入していたことが判明。管制の指示を海保機が「取り違えた」可能性が指摘されているが、災害という「有事」に対応して出動している自分たちが民間機より優先的に滑走路を使えるのは当然だ、という意識が強烈に働いていない限り、こんな「取り違え」は考えられない。米軍・自衛隊・海保などが民間空港を「平時から」利用することのとてつもない危険性は明らかだ。
 また、海保機の滑走路進入が発見された時点で日航機の着陸許可を取り消すなどの対応をとれなかった管制側の不備も指摘されているが、大幅な人員削減で管制官の過重労働が常態化していたことが問題の根本にある。管制官の定員数は2004年以来の19年間で827人(16・7%)減、その一方で航空機の離発着は激増し、コロナ前の19年の航空管制延べ取扱機数は695万機と04年から1・5倍増、管制官1人が1年間に管制する機数は1・8倍近くに達していた。羽田空港の超過密化と併せて、安全を軽視・無視した航空業界の実態が今回の大事故で暴き出された。
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