共に軍事空港阻止へ 三里塚反対同盟の新年アピール

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週刊『前進』04頁(3327号03面01)(2024/01/15)


共に軍事空港阻止へ
 三里塚反対同盟の新年アピール


 三里塚芝山連合空港反対同盟は昨年2月、天神峰・市東孝雄さんの農地強奪の強制執行を実力闘争で迎え撃ち、58年間、成田軍事空港の完成を阻んでいる。2024年は南台農地を守りぬく決戦だ。反対同盟と団結して成田空港会社(NAA)の攻撃を粉砕しよう! 反対同盟各氏からの新年アピールです。(編集局)

耕作権裁判に必ず勝つ
 敷地内天神峰 市東孝雄さん

 23年、みなさんが2・15強制執行に対しともに闘い、その後の営農再建でも大いに支援して下さったことに感謝しています。
 あの日、機動隊の暴力を前面に押し出し、執行官は私に面と向かって通告もできませんでした。だいたい国がやることなのに夜に来るとは。やましさがなければ明るい時に堂々とやったらどうだと言いたい。
 「大変なところによく帰ってきましたね」と言われることもありますが、親を継ぐのは当たり前と思い、農家と闘いを継ぎました。
 強制執行の上に、昨年の夏は気候変動で例年にない猛暑と渇水に苦しめられました。種をまいたのに芽が出ず全部まき直しとか、芽が出たと思ったら今度は雑草がすごくて......。完全無農薬で露地栽培の私たちの農業は、今後よっぽど考えながら進めなければと気を引き締めています。
 南台農地をめぐる耕作権裁判は人証調べに入っています。前回は証人の教授が「農地は金勘定で測れない」と釘を刺したのに、原告のNAA代理人が農地と地代を金勘定でしか考えていない質問をして、やはり農業を全然理解していない連中だとわかりました。
 裁判長はこちらの主張を聞くふりをしていますが、故・北原鉱治事務局長も言っていたように、三里塚裁判では内容で勝っても判決では負けるのが常。大坂正明さんの裁判でも表れたように日本では三権分立が守られていないし、金もうけするやつらに都合よく法律が決められ、あるいは変えられてしまいます。だけど、この耕作権裁判には絶対に勝ちたい。その意気込みで農業も昨年を挽回(ばんかい)して頑張ります。
 反対同盟が当初から「軍事空港阻止」を掲げて闘ってきたことの正しさ、おやじたち、戦争を直接体験した世代に先見の明があったことを、今あらためて実感しています。24年をともに頑張りましょう。闘魂ますます盛んなり!

労農連帯で社会変える
 敷地内東峰 萩原富夫さん

 昨年2月の市東さんの天神峰農地に対する強制執行から約1年。強制執行というからには緊急の必要性があるはずなのに、その後1年たっても囲っただけで、まったく手をつけることなく荒れ地のまま。ならば、なぜ市東さんに耕作を続けさせなかったのか!
 成田は空港機能強化でB滑走路を伸ばし、3500㍍のC新滑走路を造り、ターミナルを一つにまとめると言っています。この機能強化は軍事空港を本格的に作るためのものだと私たちは訴えています。断固阻止するのみです。
 羽田空港で大事故が起きましたが、成田でもああいう事故が起きて不思議ではないほど、過密な運航が毎日されています。さらに、年間発着回数を今の2倍の50万回に増やす、アジアのハブ空港を作ると言っていますが、今そんなことを言える状況なのか。温暖化・気候変動を止めるためにCO2を大量に出すジェット機はなるべく飛ばさないようにする時代に、もっと飛ばしてもっと金もうけをしようというのです。
 能登半島で大地震が起き多くの人が明日の生活にも困っている時に、大阪では万博開催に向けてお金がつぎ込まれていますね。
 また、岸田政権は「食料安保」を前面に打ち出して、農家・農民をも戦争に巻き込もうとしています。有事の際には、農民に「転作しろ、主要穀物を作れ、芋を作れ」などと政府が命令し、農家がそれを拒否したら罰せられるというとんでもない法案が、今年にも国会に出されようとしています。政府は戦争のことしか考えていないのか! 農業をいったい何だと思っているのか!
 三里塚闘争は58年という長い闘いになりました。労働者と農民が連帯して、農民の農地をはじめ、人間に本当に大事なものを守る闘いです。そして私たち働く者自身が権力をとって新しい社会を目指さねばなりません。市東さんの南台農地を絶対に守りましょう。

反戦闘争で展望開こう
 事務局員 伊藤信晴さん

 昨年は、この世界がすでに戦争の時代に完全に入ったことを見せつけられました。ウクライナ戦争が続く中でG7広島サミットが開催され、帝国主義首脳が核抑止力をあからさまに賛美しました。「民主主義への挑戦」とロシアを非難しながら、ガザにおいてはイスラエルによるパレスチナ人民への無差別虐殺をアメリカ帝国主義が後押ししています。
 こうした状況下で天神峰への2・15強制執行が行われたことは偶然ではありません。米帝は、有事に空港を利用するために地元・周辺の反対運動をつぶせと露骨に言い出しています。
 これまで私は空港反対運動を足元からつくることに尽力してきましたが、この戦争情勢において農地強奪も上からの攻撃として、米帝・日帝の戦争攻撃の一環としてかけられていることを見すえ、身構えなければと実感しています。
 パレスチナ自治区は「天井のない監獄」と呼ばれますが、NAAは天神峰農地をパレスチナの壁のような高い鉄板で囲い込み、何に使うでもなく放置している。まさに見せしめです。絶対に許せない。
 芝山町は職員の給与水準が全国トップだなどと持ち上げられていますが、巨大な空港利権に支配されながら存続の危機を深めています。このままではあと10年で人口が半減し5千人になるとの予測も出ています。行政は「農業体験」で人を呼ぼうとしたがうまくいかず、現実に芝山の農家には跡継ぎがいない状況です。
 空港機能強化、第3滑走路建設で田畑、地形、水系が破壊され、騒音被害は今後ますますひどくなることが明らかです。空港のお先棒を担いでいては町の将来を描けないとみんなが感じています。同盟の空港拡張反対署名が広がり、騒音訴訟も始まりました。
 24年は、市東さんの南台農地を守ることを闘いの中心軸としながら、反戦闘争の爆発で三里塚勝利の展望を切り開く決意です。

沖縄・福島と結び闘う
 婦人行動隊 宮本麻子さん

 昨年2月15日、私たちは覚悟を決めて市東さんの天神峰農地への強制執行を迎え撃ちました。向こうは大量の機動隊や重機、高所作業車まで持って来て、市東さんに通告もせず国家暴力をむき出しにして襲いかかってきました。私たちは労働者・学生とともに体を張って闘いぬきました。特に学生さんの奮闘はすごかったですね。市東さんは、すぐに「第2ラウンド」の闘いを宣言して営農再建に取り組みました。産直の出荷も休みなく続き、ビニールハウスも建ちました。敵は市東さんの闘志をくじくことに失敗したのです。
 十数年続く耕作権裁判では南台の農地が焦点です。絶対に守りぬきたいと思います。すでに人証調べの段階ですが、毎回の裁判でNAAの不正が一層明るみに出されています。団結街道裁判では、いよいよ小泉一成・成田市長が証人として出廷します。一回一回の裁判を全力で闘います。
 成田空港周辺では首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の工事が進み、農家は移転し田園風景が一変しています。芝山町ではいよいよ第3滑走路の準備工事に着手されました。環境と生態系を破壊する工事を許してはなりません。周辺住民の騒音訴訟も始まり、「空港絶対反対」を貫いてきた反対同盟の正しさが認められています。
 昨年は私も千葉や新宿の反戦デモにたびたび参加してきました。ウクライナ戦争ではゼレンスキーが帝国主義の側にいて、戦争の原因が米・NATOにあることがはっきりわかります。岸田は広島サミットで「核抑止」を正当化しました。庶民の生活がいよいよ厳しさを増す中で、軍備費は倍増するというのです。
 この戦争の時代に私たち反対同盟は、沖縄の軍事基地撤去の闘い、福島の反原発・汚染水放出阻止の闘いと手を結び、成田軍事使用を阻み、反戦闘争の先頭に立つことを決意します。

闘いの継続が実結ぶ時
 婦人行動隊 木内敦子さん

 昨年は新型コロナの影響が続き、思い通り動くこともままならない状況がありました。そうした中、戦争は続くし岸田政権は倒れないし、ともすれば「世の中はなかなか変わらない。希望はないのかな」と落ち込んでしまう時期もありました。そういう気持ちをベテランの現闘員の方に話したら、「希望というのは一人ひとりの心の中にあるんだよ。だから一人ひとりが希望を失ってはいけない」と言われ、納得しました。
 三里塚でも今、空港はできて飛行機も飛んでいる。それでもみんなあきらめずに長く闘い続けてきたことで、2・15天神峰強制執行と激突する実力闘争が爆発しました。闘争初期には生まれていなかった若い学生たちが集まり、創意工夫をこらして闘ってくれました。だから、続けることが大事だと確信しました。
 気づいたら若者が武器を持たされ戦場に送られていた、となりそうな危機が切迫しています。こういう時代だからこそ「戦争反対」を一層強く叫び続けることが必ず実を結ぶはずです。
 天神峰畑への強制執行は本当に許せない。でも権力は、人民が集う闘いの場、拠点としての三里塚をつぶすことができなかった。24年は闘う拠点をもっと増やしましょう。
 今、若い人たちは、環境破壊や気候変動の問題をも通じて立ち上がっています。私たちがどっぷりつかってきた大量生産・大量消費の社会のあり方を見直す時でしょう。天神峰での座り込み闘争では、酷寒にも耐えながら自然の中で風の音や鳥の声を聞き、人間にとって大事なことは何かを再認識した気がします。
 24年、この状況下で革共同はぜひ、腐敗した自民党から政権を奪取するくらいの意気込みで、小さなことにこだわらず大きな展望をもってともに闘ってほしいと願っています。

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三里塚闘争裁判
◎耕作権裁判
 1月22日(月) 
 正午 千葉市中央公園集合→市内デモ→空港拡張反対署名提出行動 午後1時45分開廷 千葉地裁
◎空港拡張差し止め裁判
 1月26日(金) 午前10時30分開廷 千葉地裁

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