福島第一原発 ALPSで労働者が被曝 汚染水放出即刻中止せよ

週刊『前進』04頁(3324号04面02)(2023/12/18)


福島第一原発
 ALPSで労働者が被曝
 汚染水放出即刻中止せよ


 岸田政権と東京電力は福島の漁民を先頭とする日本とアジア・太平洋諸国の労働者人民の激しい反対を押し切って、8月24日から福島第一原子力発電所から出る放射能汚染水の海洋放出を強行した。
 その後も第2回目は10月5日から、第3回目は11月2日から18日間にわたって放出し、今年度中に第4回目を強行するという。

放射能汚染水で被曝の重大事故

 放射能汚染水できわめて深刻な事態が発生した。
 10月25日、燃料デブリを冷やした高濃度汚染水を処理するという多核種除去装置(ALPS)の配管を洗浄していた労働者5人中4人が作業中に高濃度の放射能汚染水を直接体にかぶる重大な被曝をし、2人が福島県立医大病院に緊急入院する非常事態となった。
 ALPSの運転に伴い配管内に炭酸カルシウムなどの炭酸塩が固着し放置すれば配管がつまってしまう。その炭酸塩を劇物の硝酸で溶かして洗浄する作業を年1回実施している。東電は洗浄作業の設備全体を仮設のものですませてきた。
 炭酸塩を酸で溶かすと炭酸ガスが発生する。そのガスが勢いよく排出したため洗浄廃液の受け入れタンクに突っ込んでいたホースがタンクから飛び出して汚染水が噴出し、それを浴びた2人は防水性のアノラックを着ておらず、汚染水が体の表面にまで染みこんだため重大な被曝となった。
 東電は事故当初、労働者が浴びた汚染水の量をごまかし、責任者が不在だった事実も隠蔽(いんぺい)した。利益優先で危険な作業を仮設の設備で済ませ労働者に犠牲を強い、都合の悪い事実は隠蔽する東電の体質こそが問題なのだ。(東電は事故翌日の26日に「身体汚染と海洋放出では作業体制や内容が違う」と開き直り、事故8日後に第3回の放出を強行した)
 汚染水の海洋放出を即刻中止しろ。

多重下請け構造と偽装請負問題

 しかも5人の労働者はすべて第3次下請けの労働者であり、3社の労働者が集まって「混合班」を形成して作業をしていた。このでたらめな多重下請け構造も最初は隠していた。これは指揮系統があいまいな「偽装下請け」そのものだ。
 原発は被曝労働を大前提に典型的な多重下請け構造で成り立っている。これは1970年代の反原発闘争の高揚に対して正社員は被曝労働に従事させないことで電力総連を原発推進に取り込んだことに端を発している。そして下請け労働者に押しつける過酷な被曝労働は、下位下請けになるほど危険な作業を請け負わされる仕組みになっている。無数の下請け労働者の被曝労働を前提に日本の原子力開発は成り立ってきたのだ。
 ウクライナとパレスチナの戦争は、世界核戦争の危機を深めている。日本帝国主義・岸田は安保3文書とGX法をもって「原発の最大限の活用」と核武装の攻撃に踏み切った。
 反原発闘争は反戦闘争そのものだ。来年3・11反原発福島闘争への大結集をかちとろう。
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