焦点 国連気候変動会議 「脱炭素」口実に原発推進を要求
週刊『前進』04頁(3324号03面04)(2023/12/18)
焦点
国連気候変動会議
「脱炭素」口実に原発推進を要求
28回目の国連気候変動会議(COP28)が11月30日からアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれた。「世界の温暖化対策や脱炭素を議論する」と言いながら、その実態は、各国の巨大資本が自らつくり出した気候危機、地球環境の危機を利用して利益を追求し、「環境対策」に名を借りて原発推進を打ち出す場となった。
COP28には、198の国・地域から政治家や政府代表、民間企業、NGOなど約8万人が参加した。各国は見本市のようにパビリオン(展示館)を設け、企業が温暖化対策や脱炭素の技術・商品を宣伝し商談を進めた。日本からは三菱重工業や日立、東芝などが参加した。こうした大企業はそもそも石炭や石油で大もうけし、兵器や原発で人類を脅かしている張本人である。こんな「死の商人」どもがクリーンさを装ってCOP28の会場でうごめいたのである。
20〜21世紀の帝国主義の世界支配は、米英仏などが戦争によって中東を分断支配し、石油を大量に奪うことによって成立した。一握りの中東の支配層はこの帝国主義と結託し、パレスチナを裏切ることで石油によって巨利を築いた。COP28の議長を務めたUAEのスルタン・アル・ジャベルは、国営石油会社アドノックの最高経営責任者である。ジャベルは化石燃料の廃止の必要を問われて、「科学的根拠はない」「世界を洞窟に引き戻すものだ」と発言(11月21日)した人物である。「COPの会期中に中国などと化石燃料の商談を計画している」とも報道された。こんな人物が議長として議事を仕切るところに、COPのペテン性が表れている。
何よりもこの会議は、同じ中東の地でイスラエルによるガザ大虐殺が強行され、220万人が命の危機にさらされている最中に開催された。この大虐殺をやめさせるための行動こそがCOP28にも求められていた。にもかかわらず、会議はこれに全く応えなかった。
岸田は12月1日、イスラエルがガザ南部に侵攻し再び大虐殺を始めたこの時に、あろうことかドバイ現地でイスラエルの大統領イツハク・ヘルツォグと会談し、ハマスの10・7蜂起を「断固として非難」してイスラエルを擁護した。そして「双方は引き続き緊密に意思疎通していくことで一致した」(外務省広報)のである。
「原発能力3倍増」宣言
COP28は会期を延長して13日に閉幕し、化石燃料からの「脱却」を宣言する合意文書を発表。しかしここには、「化石燃料の代替」として初めて「原子力」が明記された。アメリカ、日本など22の「有志国」は会期中に「世界の原発の発電能力を2050年までに3倍に増やす」と宣言したが、その内容がCOP28の合意文書となったのだ。原発と核こそ人類を脅かす最たるものではないか! ここに「脱炭素」「温暖化対策」と称するCOPの本質的な反動性が現れている。資本主義終わらせよう
COPが毎年会合を重ねても、実際には世界の温室効果ガスの排出量は数十年間ずっと増え続けている。温暖化、干ばつ、洪水、森林火災、海水面・海水温の上昇、感染症など、地球環境は年々悪化している。生活・生業が破壊され、難民化する人々が大量に生まれている。この中で帝国主義は破滅的な戦争に突き進んでいる。もはや資本主義の打倒なしには、人類は生存できない。プロレタリア革命で世界を変革しよう。