韓国 戦争と民営化のユン政権倒せ 鉄道労組が総力闘争 非正規職を先頭に籠城突入
週刊『前進』04頁(3324号02面03)(2023/12/18)
韓国
戦争と民営化のユン政権倒せ
鉄道労組が総力闘争
非正規職を先頭に籠城突入
(写真 ソウル駅構内に設けられた子会社支部の籠城場【12月4日】)
米日韓軍事同盟に基づく3国の軍事行動の激化は朝鮮半島の軍事的緊張を高め、労働者民衆の命を脅かしている。12月11日、韓国南西部の米空軍群山基地周辺で演習を行っていた在韓米軍のF16戦闘機が黄海上に墜落した。10月、米戦略爆撃機B52を護衛する初の米日韓合同空中訓練に参加した機種だ。これに先立つ11月22日には、ユンソンニョル政権は前日の北朝鮮による衛星発射を口実として2018年に当時のムンジェイン政権が北朝鮮との間で締結した「9・19南北軍事合意」の一部効力停止を発表し、偵察・監視の名による戦争挑発を再開した。民主労総は同日声明を発し「民主労総120万組合員はユン政権を必ず退陣させ、朝鮮半島での真の平和を実現する」と宣言した。
12月8日には、ユンソンニョルによる拒否権の行使を受けて労組法2・3条改正案が国会本会議で否決された。民主労総や市民団体が、資本による損害賠償請求を制限し、間接雇用労働者に対する親会社の責任を認めさせるために要求してきた改正案は、一度は本会議で可決されていた。これを覆し廃案としたのだ。
東アジアでの戦争をあおり、これと一体で大統領権限を使って労働者の権利を否定する暴挙に、労働者民衆の怒りは爆発寸前だ。
ソウル駅構内に籠城場を設置
こうした中で、全国鉄道労組を先頭に各地で実力闘争が闘われている。国土交通部は、鉄道の施設と運営の分離を強行するために、鉄道産業発展基本法38条の但し書き条項を削除し施行令として出す「鉄産法施行令改定案」を出した。施行令はいつでも政府が修正可能であり、今回の改定案が通れば政府は民営化に向けたフリーハンドを得ることになる。
鉄道労組は11月30日に拡大争議対策委員会を開催し、ゼネストを含む総力闘争を決議。労組破壊を狙った職務成果給制導入阻止をはじめとする賃金闘争と並び、民営化阻止の闘いがいよいよ正念場に入った。
12月4日には大田(テジョン)の鉄道公社(コレール)本社で籠城(ろうじょう)闘争に突入し、8日の総力決意大会を前後して各支部が戦闘態勢に入った。ソウル地方本部は龍山(ヨンサン)駅で籠城に突入。ソウル高速機関車支部もソウル駅でピケを張り、外注化した韓国高速鉄道(KTX)入れ替え業務を元に戻すよう要求した。
11日には労組執行部と鉄道公社が賃金をめぐる暫定合意に至ったが、民営化阻止はここからが勝負だ。
全社会に広がる民営化反対の声
今回の総力闘争では、鉄道公社の子会社で働く非正規職組合員が大きな存在感を発揮している。焦点は出退勤費用をめぐる待遇差別の解消だ。非正規職労働者は正規職労働者と違って出退勤時や勤務中に列車を利用することができず、最低賃金で働いて得た月給の4分の1にも上る交通費を自己負担している状況だ。出退勤費用の負担を拒む鉄道公社に対し、子会社支部も4日からソウル駅での籠城闘争を開始。駅業務などを担うコレールネットワークス支部と鉄道顧客センター支部が幹部ストに入った。こうした中で、民主労総と韓国労総の公共部門労組共同対策委員会が呼びかけた「民営化禁止法」制定への国民同意請願に同意した人はすでに8万人に迫り、民営化反対の声は全社会に広がっている。
廃線化との闘いも大きなテーマだ。鉄道公社はこの間、採算がとれないことを理由に地方での列車運行を次々と中止している。鉄道労組は「鉄道が受益だけ追求するならば市民の足は消え、鉄道の生命である公共性は弱くならざるをえない」と弾劾。市民団体との連帯を強化している。
保健医療労組が無期限ハンスト
12月4日からは、保健医療労組委員長や公共病院支部長らを先頭に28人が国会前での無期限ハンスト闘争に突入した。公的医療の破壊攻撃に対する体を張った闘いだ。コロナ危機の渦中に政府の命令でコロナ専門病院とされていた公共病院は現在、巨額の赤字を計上し、医療労働者も不足している。しかし政府は24年度の専門病院支援予算を全額カットし、現場労働者や患者に矛盾を押し付けようとしているのだ。戦争と民営化阻止を貫く韓国労働者階級と連帯して闘いを前進させよう。