戦時の社会保障解体に怒り 医療労働者が続々とスト決起
週刊『前進』04頁(3323号02面02)(2023/12/11)
戦時の社会保障解体に怒り
医療労働者が続々とスト決起
医療労働者のストライキが世界、そして日本でも広がっている。ガザの大虐殺を後押しし戦争に突進する岸田政権の医療・介護破壊に対する、現場の怒りの爆発だ。岸田はどんなに支持率が下がろうとなりふり構わず、国と社会のあり方を根本から変える戦時体制・戦争財政への転換の絶望的攻撃に打って出てきている。この岸田を実力で倒し戦争を止める労働者の反乱が本格的に始まった。
冬季一時金削減に現場の怒りが爆発
11月29日、マスコミが大きく報じた岩手医科大の看護師や技術職員などの教職員組合の1時間ストは、当局の一律一時金(7万2千円)全額カットの提案の撤回を求めるものだ。現場は慢性的な人員不足に加え、コロナ下の長時間労働が今も続いて疲弊している。それに追い打ちをかける攻撃に対し、約1800人の組合員のうち緊急保安要員を確保して約500人がストとデモに決起した。医労連(日本医療労働組合連合会)の調査では、医療機関で働く看護師などのこの冬の一時金は、3割以上の組合で去年より引き下げられ、そのうちの3割近くが約10万円の大幅カットになっているという。許しがたい状況だ。
これに対し今や各地でストが闘われている。生活できるだけの賃金、安全を守れる人員を配置することを求め、「戦争政治を止める」と宣言し、労働者の闘いを経営者が「経営改善が必要だ、倒産だ」と脅してくじこうとすることに絶対負けないと胸を張ってストに立ち上がっている。
うそ八百を並べて医療・介護を攻撃
岸田は「軍拡のための2025年度からの増税の前に、社会保障改革で社会保障費を徹底的に削減する」と叫んで、医療・介護、年金など社会保障制度の全面的解体に突進。「労働者の生活と健康、労働条件などどうなってもいい」とばかりに、戦時下のさらなる強労働・強搾取と収奪強化を画策している。来年度予算案の策定へ、医療機関の診療報酬、介護事業者の介護報酬の改定と高齢者からの取り立て、国民年金納入の65歳への延長などの年金制度改悪を年内に閣議決定しようとしている。そのために財務省や厚生労働省の審議会で、悪らつな意図に基づく主張を次々と発表している。
「財政健全化の必要」と「全世代型社会保障への転換」、国民負担の激増を逆手に取った「現役世代の負担軽減」、そして「人員不足の解消」「賃上げのための原資づくり」を列挙し、ペテンに満ちたうそ八百を並べている。
11月30日、財務省・財政審議会の建議は大軍拡予算や膨れ上がる大阪万博予算などには触れることなく、「巨額の政府債務が財政運営に支障を来す」として「財政の健全化をめざすのは当然」と強弁。診療所(病床19床以下)や介護事業者のコロナ下3年間の経常利益率が他産業の中小企業と比べて高すぎる(もうけすぎ)と攻撃した。物価高騰・人員不足とマイナ保険証・資格確認義務化で廃業・倒産が激増しているにもかかわらずだ。
そして診療所への診療報酬を5・5%引き下げ、「医師、歯科医師、薬剤師など以外の看護補助者・医療従事者」の賃上げには「1法人当たり1億2400万円」と算出した利益剰余金の貯め込みを吐き出させることで原資にできると無責任に主張した。
地域の診療所などの保険医・医療労働者はマイナ保険証に反対し、コロナ下で社会保障破壊と懸命に闘ってきた。その診療所をターゲットに露骨な分断と破壊を狙う攻撃であり、絶対に許すことはできない。
さらに介護事業について、厚労省・社会保障審議会は、ロボットやICT機器の導入で人員配置を緩和し、介護助手、技能実習生などの活用の柔軟化を求め「人数を多く配置すれば高い介護報酬を支払うといった仕組みからの脱却」に踏み出す議論を始めた。
全てが今以上の医療・介護崩壊に直結する。大資本と資本家どもが空前の利益を上げ続ける一方、労働者人民はコロナ危機に続く戦争と歴史的円安による物価高騰、実質賃下げで生きていくことすら困難になっている。しかし岸田は戦争遂行と戦時財政のために社会保障の解体を絶望的に進めようというのだ。怒りはさらに爆発していく。
岸田を倒し戦争を止める実力の闘い
もはや帝国主義は労働者を生かすことすらできなくなった。ロシア革命での民衆蜂起が「パンと平和」を求めて始まったように、労働者の革命的反乱は不可避であり、ストライキの波は収まることはない。11・19労働者集会・国際反戦デモは、イスラエルとアメリカ帝国主義によるガザ大虐殺、米日帝の中国侵略戦争を止める階級的労働運動躍進の端緒を開いた。反戦闘争を総力で闘い、岸田政権打倒へ進撃しよう。