焦点 人民収奪強める岸田 減税分超え社会保険料増額
焦点
人民収奪強める岸田
減税分超え社会保険料増額
補正予算案を軸にした経済対策をめぐり、岸田の動揺が続いている。労働者の怒りにおびえる岸田は9月末、「税収増を国民に適切に還元する」と発言した。10月26日には期限付きの所得税減税を与党に指示、27日の国会答弁では、5年で43兆円の大軍拡を強行するため来年度から実施するはずだった防衛増税の見送りも表明した。
この岸田に自民党内からも不満が噴出、政権の危機はあらわになった。だから岸田は、改憲を叫び戦争に突進することで支配階級をまとめる以外に手がないのだ。
岸田は来年度、1人当たり所得税3万円、住民税1万円の減税を実施するという。戦時インフレに苦しむ人民の怒りを、何とかかわそうと必死なのだ。他方でインボイス制度の導入が示すように、消費税の実質増税は絶対にやめない。大軍拡の財源確保にとって消費税増税は絶対の条件だからだ。
65歳まで期間延長
これと共に狙われているのが、減税分など軽く吹き飛ばしてしまうような社会保険料の増額だ。
厚生労働省の社会保障審議会は10月24日、20歳から60歳までの40年間の国民年金保険料の支払い期間を、20歳から65歳までの45年間に延長する方針を打ち出した。月1万6520円の保険料の5年間分は総額約100万円。これだけ大きな負担をしなければ、国民年金は満額受け取れなくなる。
高齢者雇用安定法は65歳までの雇用確保を企業に義務付けるが、多くの企業は定年延長ではなく、60歳超の労働者を低賃金の非正規職として再雇用することで、これに対応している。劣悪な労働条件に耐えられず退職せざるを得ない労働者も多い。その人々にも保険料の支払いが強いられるのだ。
連合が改悪の先兵に
岸田はまた、厚生年金の加入者の配偶者で所得が一定額以下の人は、保険料を払わなくても基礎年金を受給できる「第3号被保険者」の制度をなくそうとたくらんでいる。第3号被保険者になっている人のパート労働などでの収入が年間106万円、あるいは130万円を超えると、社会保険加入の義務が生じて手取りが減るという問題を口実に、制度自体の廃止に突き進もうとしているのだ。
制度廃止は、いわゆる「専業主婦」に公平な負担を求めるためのものと言われている。だが、そうなれば育児の責任を全面的に負わされて一時的に退職を強いられた女性や、年収106万円未満の既婚のパート労働者も、一律に保険料を取り立てられることになる。
岸田は10月5日、第3号被保険者制度について「抜本的に変えないといけない」と述べ、経団連も26日に出した「中長期視点での全世代型社会保障の議論を求める」と題した提言で、「女性活躍」を口実に同制度の見直しを唱えた。
この攻撃を導いたのは、今年5月に連合会長の芳野友子が中央執行委員会後の記者会見で行った同制度の廃止を求める発言だ。制度をなくせばパート労働者が年収を一定額以下に抑えるための「就業調整」がなくなり、人手不足は解消すると連合は言う。これは資本の視点とぴったり一致する。
国民健康保険についても厚労省は来年度、保険料の年間上限額を2万円引き上げ89万円にする方針だ。何よりもマイナ保険証の強制は皆保険制度を破壊するものだ。
岸田の攻撃の狙いはあくまで大軍拡と大増税、社会保障制度の解体だ。11・19労働者集会と怒りの大デモで岸田政権を打倒しよう。