全米自動車労組がスト 戦時下で資本と激突 戦争絶対反対が勝利の道

週刊『前進』04頁(3313号04面03)(2023/10/02)


全米自動車労組がスト
 戦時下で資本と激突
 戦争絶対反対が勝利の道

(写真 「資本の強欲に対し、われわれのコミュニティーのために立ち上がれ」と、UAWの組合員がデトロイトでデモ【9月15日】)

 9月15日、全米自動車労組(UAW)が米自動車大手3社「ビッグ3」(ゼネラル・モーターズ〔GM〕、フォード・モーター、ステランティス)の組み立て工場でストライキに入った。2008年の大恐慌以来、急激な労働条件破壊をのんできたUAW本部が、ついに組合員の怒りの決起に押されたのだ。
 その当時、オバマ政権(バイデンは副大統領)は「UAWが譲歩しなければGMは破綻させざるをえない」としてUAWに医療・年金カット、一部労働者の賃金半減などをのませ、合意直後にGMを破綻させた。裁判所は破綻を理由にそれまでの労働協約を無効化し、労働条件をさらに悪化させた。屈服したUAW本部にはGMの株とGM取締役会の席が与えられた。
 自動車関連産業が集積する中西部地域では自治体も次々に破産、地域の破壊はコロナとウクライナ戦争でさらに激化した。
 今回、40%以上の賃上げ、インフレ率にあわせて賃金を上げる生計費調整の復活、労働者を分断支配する階層制の廃止、医療・年金制度の復活、EV(電気自動車)移行後の雇用確保などが現場労働者の要求として掲げられた。UAW本部はこれらを表向きは受け入れたが、全工場一斉ストという組合員の要求は拒否。ストを3工場(1万3千人)に限定し、9割の労働者に出勤を指令した。資本が譲歩を拒む中で22日にストを拡大したが、これも部品配送センターに限定した。
 こうした中で支配階級は、現場労働者の怒りをからめとり対中国の保護主義政策と戦争に利用しようと必死だ。26日にはバイデンがミシガン州のスト現場を訪問し、UAW支持を表明。27日にはトランプもデトロイトで集会を開催した。アメリカ帝国主義にとって軍需産業そのものである自動車産業は死活的位置をもつ。高揚する労働運動が国家主義・排外主義に取り込まれた戦前の歴史を繰り返してはならない。腐敗したUAW本部を乗り越え戦争絶対反対を貫く現場労働者の闘いが必要だ。
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