革共同集会基調報告(全文) 9・23反戦大デモを突破口に11・19集会へ全人民総決起を 革共同書記長 秋月丈志

週刊『前進』04頁(3311号02面02)(2023/09/18)


革共同集会基調報告(全文)
 9・23反戦大デモを突破口に11・19集会へ全人民総決起を
 革共同書記長 秋月丈志

―Ⅰ―第31回全国委員会総会をかちとった革共同の決意と闘い

 革共同は「4カ月決戦」―6月国鉄集会―8月反戦反核闘争を闘い抜いた地平の上に、第31回全国委員会総会(31全総)を闘いとり、「反戦闘争の爆発をかちとり11・19大結集へ」の路線・方針を決定しました。全国委員会・政治局としてまずこのことを報告します。31全総路線はすでにこの間の放射能汚染水放出阻止闘争、関東大震災100年の9・1反戦デモ、杉並反戦デモと「改憲・戦争阻止!大行進すぎなみ」の結成、さらに先日の全学連大会での反戦闘争をめぐる活発な討議などにおいてどんどん物質化され、9・23首都反戦大デモへの総決起のうねりをつくり出しています。31全総決定となった夏季アピールと、9月4日付「前進」に発表した31全総政治局報告を前提とし、反戦闘争と11月集会への総決起を訴えるものとして基調報告を行います。

原発汚染水放出の日帝国家権力を実力で倒せ

 31全総は、まず冒頭において、日帝・岸田による8・24汚染水放出開始に対する闘争宣言を発しました。福島の漁民、人民をはじめ全国・全世界の人民の反対を押し切って強行された汚染水放出の暴力性は、何よりも日帝・岸田が中国侵略戦争へと決定的に踏み切っていることによるものです。帝国主義としての生き残りをかけて戦争に突き進む日帝にとって、独自のエネルギー源確保と核武装は絶対に必要であり、どんな反対があろうとも手放さないのです。
 「資源に乏しい日本は化石燃料の大半を輸入に頼る……有事でエネルギーの輸入が途絶えれば、国民生活や企業活動を揺るがす。原発の再稼働が進めば、供給不安の解消につながる」(5月31日付日経新聞、GX電源法成立についての記事)
 「核エネルギーは人類の英知だ。原子力は日本の特殊性を考えると絶対に要る」(日本経団連会長・十倉雅和、8月27日付日経新聞)
 何が「人類の英知」か! 広島、長崎、ビキニ、チェルノブイリ、そして福島で、あれほどの大惨事を引き起こしながら、帝国主義ブルジョアジーはこういうことを平然と言います。労働者階級人民が、いや人類全体が滅びるような事態になってでも、資本の延命のために、帝国主義として存続するため、戦争をやるために、核・原発にしがみつく。そして被曝を拡大し続け、核戦争にまで突き進む。これが新自由主義の大崩壊にまで行き着いた最末期帝国主義です。この帝国主義と労働者階級人民の間には1ミリも和解、妥協の余地などありません。
 福島であれだけの事故を起こし、取り返しのつかない放射能汚染をもたらし、被曝を強制し、ふるさとを奪っておきながら、汚染水放出に反対する者を「非科学的風評=デマを流す者」だと徹底的に攻撃しています。しかし、帝国主義の科学とは内部被曝を完全否定し、広島・長崎の被爆者の内部被曝による被害を完全には認めず、被爆2世の問題も無視し続け、劣化ウラン弾の被害なども一切ないと断言する「科学」です。
 さらに中国の反発、日本産水産物禁輸に対するけたたましい排外主義の扇動で、「汚染水」という言葉を使うこと自体を「敵国=中国に通じる非国民」と言わんばかりの大キャンペーンが行われています。そもそも福島で原発大事故を起こした責任をいまだ何一つとることができず、避難者を含め福島の人民に多大な被害を与え続けている日帝が、反対を押し切って新たに放射能汚染水を海に流すというこの人類的犯罪行為こそが徹底的に弾劾されなければならないにもかかわらずです。
 日帝は中国の禁輸措置で大打撃を受けている漁民への対策費として結局1000億円以上の金を出すと言います。そんな金があるなら汚染水のもっと安全な管理のために使えということですが、そうはしない。核と原発を絶対に必要とする日帝にとっては、汚染水放出を強行することで福島の事故をなかったことにし、福島の怒りと闘いを圧殺し、放射能・被曝など大したことはないとして、原発の再稼働、新設、新型炉も、核燃サイクルも、核融合も、核武装もどしどし推進していくことが一切に優先する。そして戦争に向かって中国スターリン主義との対立が決定的になることもまったくかまわないとしているのです。
 沖縄の辺野古でもまったく同じことが起きています。沖縄県が、県民がどれだけ反対の意思を示そうとも、機動隊の暴力で、最高裁の判決で、司法・行政・国家総がかりで押しつぶす。「マヨネーズ」にも例えられるような軟弱地盤があろうが、工事にどれだけの年月や金(数兆円)がかかろうが、数十㍍の杭を7万数千本も打ち込み、土砂をどしどし投入し、これに反対し続ける者は普天間基地を固定化しようとする者で「中国の脅威、侵略の危険に日本をさらそうとする非国民」だとして、徹底的に攻撃する。福島において、汚染水海洋放出に反対する者は「たまり続ける汚染水タンクを放置する者」だとするのとまったく同じ論理です。「こうやって戦争は始まる」ということが、福島で、沖縄で、そして広島・長崎で、絵に描いたように進んでいます。
 しかし、福島の、沖縄の、広島・長崎の根源的怒りと、これを階級的・全人民的に共有する日本・世界の労働者階級人民の怒りを押しつぶすことなど絶対にできません。そのことは、特に広島と福島の闘いにおいて示されています。福島でも沖縄でもはっきりしたのは、「国はひどい」などということではなく、日帝国家権力と実力で闘い、打倒するしかないということです。このことがますます全人民的に鮮明になってきました。

帝国主義とスターリン主義がぶつかる大戦争

 日帝をこのようななりふりかまわぬ戦争攻撃に駆りたてているのは「世界戦争の開始」という情勢です。この世界戦争はいかなる戦争でしょうか。
 米帝の絶対的・圧倒的な基軸性のもとに、帝国主義とスターリン主義の相互依存・相互対立的な関係において成り立ってきた戦後体制が、米帝の大没落によってその基軸を失って完全に崩壊し、1929年大恐慌、30年代の分裂・ブロック化からソ連スターリン主義をも巻き込んだ第2次世界大戦に突入していった過程をはるかに超える激しさで、新たな世界戦争・核戦争へと突入しています。大没落による国内支配と世界支配の大崩壊の危機に直面した米帝が、旧スターリン主義の大国ロシアと残存スターリン主義として「強大化」した(させてしまった)中国に対して、欧日の帝国主義も動員して戦争をしかけるという、かつてない戦争です。それは帝国主義もスターリン主義も滅びかけている最後のどん詰まりで起きています。ウクライナで始まっている戦争は、31全総ではっきりと確認したように、「史上初めて帝国主義が総がかりで(まずウクライナ軍を先兵にして)スターリン主義(旧スターリン主義)の本国と正面からぶつかる大戦争」です。1年半ですでに両軍の死傷者が50万人という「第3次世界大戦の緒戦」が展開されています。
 インドで行われた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)を習近平・プーチンは欠席し、採択された首脳共同宣言はウクライナ側からもロシア側からも何とでもとれるようなもので(ウクライナ側は猛烈に不満を示している)、要するに、この始まっている世界戦争を誰も止められない。
 この世界戦争の開始を前にして、日帝支配階級の側はいや応なしに、選択の余地なしに、帝国主義としての存続をかけてこの戦争に参戦することを決断し、労働者階級人民をこの戦争に引きずり込むために暴力的・内乱的に攻撃をしかけています。これに対して「平和を守れ」ということはまったく無力です。労働者階級にこそ帝国主義を実力で打ち倒す内乱の思想、革命の思想が必要です。そしてこの思想をもって、三里塚の強制執行阻止決戦、杉並選挙決戦、G7広島サミット―8・6~8・9闘争、そして8・24汚染水放出阻止闘争を断固打ち抜きました。

反戦闘争としての反戦闘争に全党総決起を

 日帝・岸田は、一切を「戦争」を基軸にして、米帝と一体となって中国侵略戦争に参戦するというところから、労働者階級に対する攻撃をしかけています。JRの「IT企業化」だとか、ストライキが闘われた池袋の西武デパートを外資に売り飛ばすとか、「労働移動」「リスキリング」など労働者を好き勝手に解雇し、別業種に移すとか、大合理化、資本の攻撃も戦争下でまったく質が変わっている。この攻撃に対しても労働者を犠牲にして戦争に突き進む帝国主義をぶっ倒すという構えなくして闘えないし、そのことを真っ向から訴えていかなければなりません。岸田は、G20から帰国してすぐに内閣改造を行い、本格的大軍拡と戦争に突き進もうとしています。敵はすべてを戦争にかけています。
 8回大会以来の「世界戦争の開始」という時代認識を実践の中でさらに研ぎ澄まし、31全総で明確にしたこの世界戦争の開始に対応する党の転換、すなわち目の前で始まっている戦争、労働者階級人民のすべてを巻き込むこの戦争を具体的・現実的に阻止する反戦闘争としての反戦闘争に全党あげて総決起する。戦時下での反戦闘争、帝国主義の戦争を実際に止める反戦闘争とは、尋常ならざる闘争です。それは内乱に転化し、帝国主義そのものを打倒する、革命に勝利することなしに決着のない闘争です。われわれはそうした闘争を開始しています。
 革共同が結党以来60有余年、スターリン主義と決別し、星野文昭・大坂正明同志を先頭に70年決戦を闘い抜き、幾多の犠牲ものりこえて破防法やカクマル反革命を打ち破り、ありとあらゆる転向攻撃、日和見主義を粉砕して、マルクス主義の階級的原則的立場、レーニン主義の党を守り抜いて今日まで闘い抜いてきたのは、このときのためです。
 9・23反戦闘争を巨大な突破口として「反戦闘争としての反戦闘争」の爆発をかちとり、そのすべての力を動労千葉、関生支部、港合同の3労組、国鉄全国運動、改憲・戦争阻止!大行進運動が呼びかける、戦後日本階級闘争、階級的労働運動の精華であり、戦争絶対反対の「唯一」と言って過言ではない大衆的結集軸としての11月労働者集会に総結集させよう。日帝・岸田政権を真に揺るがす巨大な反戦デモを実現しましょう。このことを、今日結集した全党の同志、動労千葉、三里塚反対同盟、全学連をはじめとするすべての闘う労働者・人民・学生の共同の決意として打ち固めたい。これが31全総をかちとった革共同の決意です。

―Ⅱ―米帝大没落とウクライナ戦争―中国侵略戦争・世界戦争

米帝の世界支配崩壊と大没落が戦争の原因だ

 反戦闘争を組織するためには、「戦争は許せない」とか「非人道的な罪悪だ」とか、レーニンに言わせると「やすっぽく高慢で、まったく意味のない空文句」を繰り返すだけではダメです。これでは「中国の脅威に日本も軍事力、闘う覚悟をもたなければ」という日帝の大宣伝にぶっとばされてしまう。反戦闘争を爆発させるためには、いま始まっている戦争の本質は何か、どの階級が何のためにやろうとしているのか、この戦争がいかに労働者階級人民の利益とは相いれないものであるのかを具体的に暴露し、この戦争を止めるための革命的行動に立つ必要性を懸命に訴え、そして実際の行動によって組織しなければなりません。
 8月15日付の日経新聞にはこう書かれていました。「第2世界大戦の終結から78年。私たちは『パーマクライシス(永続的な危機)』とも『ポリクライシス(複合的な危機)』とも評される時代に行き着いた。地政学、経済、地球環境などの危機は、そろって長期化の様相を呈する。しかも複数の危機が共鳴し、個々のリスクの総和を上回る惨事に発展しかねない」と。本当に世界革命をやるしかないという話だし、事実それしかないが、同記事はこう続けます。「権威主義国家が生み出す安全保障上の危機は、とりわけ深刻だ。ロシアのウクライナ侵攻は1年半に及び、中国による台湾制圧の危険さえ迫る。核開発に動く北朝鮮やイランなどを含め、世界の『火薬庫』は四方八方に広がる」
 要するに中国、ロシア、北朝鮮、イランといった「権威主義」の国々が「悪さ」(「力による現状変更の試み」)をするから「危機」が起きる。これに対して「民主主義国」の米欧日は「抑止力」を強めなければならないというわけです。帝国主義ブルジョアジーとその金で雇われている連中の主張はこれに尽きます。これほどの「非科学」「没理論」はありません。
 今日の戦争の根本原因は、中国、ロシア、北朝鮮などの「権威主義」などというものにではなく、新自由主義の大崩壊にまで行き着いたアメリカを基軸とする帝国主義の世界支配が、がらがらと崩れ落ちていっていることにあります。第2次大戦後の世界で軍事的にも経済的にも圧倒的な力を持ってきた米帝の没落が極限まで進み、ついに「大没落」というところまで来ているのです。
 米帝の歴史的没落は、50年前のベトナム戦争敗北、ドル危機、1974―75年恐慌とその後の慢性的な不況とインフレの同時進行を経て決定的に進行しました。だがここから米帝は猛然と新自由主義による巻き返しに出ました。70年代末から90年代にかけて国内では民営化・外注化と労組破壊の階級戦争をしかけ、対外的には特に、当時「世界ナンバーワンの経済大国」とまで言われ、アメリカの一等地の不動産やビルなども買いまくっていた日帝をターゲットにして帝国主義間争闘戦を激化させ、ソ連スターリン主義を崩壊に追いやってグローバリゼーションを満展開させました。それは「反テロ」を掲げたイラク・中東、アフガニスタンへの侵略戦争の推進とも一体だったのです。
 米帝は「世界最強の軍事力」に裏付けされた基軸通貨としてのドルと金融的支配力、さらに軍事技術としても突出して発展させてきたITを武器に、日帝を完全に蹴落とし(「失われた30年」!)、世界中の資金を米帝に集中させ、すさまじいバブル経済をつくり出しました。帝国主義の資本や技術の導入を進めて生き延びようとする中国スターリン主義と結託し、中国の膨大な労働力と市場を取り込んだことは決定的でした。だがこの新自由主義も行き詰まって2008年リーマン・ショック=大恐慌が爆発したのです。
 米帝は08年大恐慌の本格的爆発から逃れようとして、超金融緩和、中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)による大量の資金供給を行い、国家財政を恐慌対策、独占資本救済のために湯水のようにつぎ込みました。そして米帝は、帝国主義の恐慌にのみこまれて体制が崩壊することを恐れた中国スターリン主義の巨額景気対策に寄りかかり、中国への経済的依存を深めました。その結果として、中国をいっそう経済大国化し、さらに軍事大国にもして、米帝の世界支配を揺るがしかねないような存在にしてしまったのです。
 一方で米国内の労働者階級人民にはいっそうの新自由主義攻撃が襲いかかり、格差と貧困が広がりました。膨大な「中間層」が没落し、プロレタリア的階級意識を形成できないまま絶望的な「現状打破」を求め、それを「アメリカファースト」を掲げるトランプが取り込んで権力を握る状況にまでなりました。これが「米国分断」の本質です。そこに襲いかかった「新自由主義が生み出した疫病」というべき新型コロナウイルスのパンデミックは、08年大恐慌後に蓄積されてきた矛盾をさらに極限的なものにするとともに、米帝は大没落し、ますます世界の基軸国たりえなくなったのです。21年8月のアフガニスタンからの米軍敗走はその象徴的事態でした。
 このままでは世界を支配する力を失ってしまうという現実に直面した米帝支配階級は、中国スターリン主義をぶっつぶすという決断をし、そのために中国スターリン主義にとって絶対に譲れない台湾問題に激しく介入し、軍事支援を強化し、世界戦争政策に決定的にのりだしました。これこそが今日の世界の危機と戦争の最大の震源となっています。中国スターリン主義も不動産バブルの崩壊、コロナと米帝からの激しい軍事的・経済的圧力、保護主義、投資規制などを受けながら体制的危機を深刻化させ、習近平はその危機を米帝に対する軍事的対抗・対決、「台湾統一」、愛国主義の扇動によってのりきるしかなくなっているのです。そしてこれが、ますます米帝の中国侵略戦争に拍車をかけています。
 「米帝大没落」の現状はいかなるものでしょうか。
 米ニューヨーク・タイムズ紙の8月1日の世論調査で、米国が「正しい方向に向かっている」との回答は23%にとどまり、65%は「間違った方向に向かっている」と答えました。バイデン政権の支持率は約40%で、民主党支持者の半数が次期大統領選再出馬を望まないと回答しています。一方でトランプの起訴は4度目で、罪状は91件となりました。すべてで有罪となれば「700年以上の禁錮刑」が科されますが、バイデンとトランプの対決が次第に不可避になり、支持率はそれぞれ43%と互角の状況です。
 6月にシカゴ大が公表した調査結果では、「トランプ復権のためなら暴動を支持する」人が1200万人、「最高裁判決で大幅に制限された中絶権の回復のためなら暴動も正当化される」は2200万人に上ります。「アメリカ内戦」(トランプ派の連邦議会議事堂襲撃はその始まりだった)の現実性が高まっています。一方では労働運動、ストライキの復権が始まっています。
 経済について見ると、3月銀行危機はいったん回避されたが根本的には何も解決していません。インフレ・金利高は持続し、原油価格が再上昇してインフレ再加速も起きています。コロナ下での金融・財政政策が限界に直面しています。過剰資本・過剰生産力が露呈し、もはや打つ手がない状況です。半導体・先端技術の輸出・投資規制、供給網切断などによる中国との関係切断、保護主義は米経済自身にもはね返っており、アップルの株価は暴落して9月6〜7日だけで時価28兆円分が吹き飛びました。
 米企業が低金利時代に借りまくった債務残高は22年12月末時点で19・9兆㌦(約2900兆円)、米国債発行残高は6月時点で24兆8800億㌦(約3500兆円)に達します。住宅ローンを含め、金利上昇がもたらす影響は大変なものです。米政府の4〜6月利払い費は年率換算で1兆㌦(約147兆円)に迫り、コロナ前に比べ7割も増えました。格付け大手フィッチ・レーティングスは8月1日に米国債を最上位の「トリプルA」から1段階引き下げると発表しました。基軸通貨国の国債格下げは前代未聞であり、米帝大没落を象徴する事態です。米帝はここまでボロボロになっています。

プーチン体制の崩壊と中ロ連携粉砕狙う米帝

 革共同は8回大会で、ウクライナ戦争は米帝の中国侵略戦争への踏み切りの中で起きた戦争だと言い切りましたが、これは完全に正しいものでした。米帝自身が国家安保戦略でも「ロシアを抑えつけ、中国を打ち負かす」と公言している通りですが、米帝は中国との全面的な戦争を構えるにあたって、まずロシアをたたき、弱体化させ、中ロが連携・同盟するということをあらかじめ粉砕しようとしました。
 「北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大、ウクライナの加盟問題などはあったかもしれないが、ウクライナ戦争は結局は『プーチンの戦争』だ」「第一の責任はロシアにある」と、たいていの学者や評論家はあれこれ挙げて言い張っています。カクマルなどは「最も声を大にして」言っています。EL5派も同じです。
 だが、それは結局どこまでいっても、この世界を支配する最大の「ワル」である米帝、帝国主義を免罪する論でしかありません。だいたい米帝というのは、先に相手に手を出させてから戦争をやるというのが常套(じょうとう)手段です。実際にも米帝バイデンは、「ウクライナのNATO加盟だけは認めてくれるな」というプーチンの懇願を拒絶し、プーチンがウクライナ侵攻を準備していることを知りながら、「アメリカは介入するつもりはない」とわざと言って、プーチンを戦争に誘い込んだのです。その一方でウクライナ軍への軍事支援を強化し、様々な武器を与え、訓練を行い、作戦計画を練り、ロシア軍の動向をつかみ、その侵攻を待ち構えていたのです。そして実際にウクライナの首都キエフ(キーウ)に一気に侵攻しようとしたロシア軍は壊滅的打撃を受け、撤退を強いられました。ここで早期停戦という動きもありましたが、ロシア軍の敗走過程で起きたとされる「ブチャの虐殺」が大宣伝されて、結局ロシアを徹底的にたたき、プーチン体制を弱体化―崩壊させるまで戦争を継続するということになったのです。
 米帝はさらにNATO加盟の英仏独や日帝も動員して、帝国主義の総がかりでウクライナ軍への武器支援をエスカレートさせ、カネを与え続け、G7広島サミットやNATO会議で全面的に構え直し、6月からの大規模反攻開始でロシア軍に決定的打撃を与え、プーチン体制を窮地に追い込むことを狙っていました。だが、ウクライナ軍に武器とカネは与えるが、自分たちは戦争しないなどという帝国主義の「ご都合主義」と、ゼレンスキー政権・ウクライナ軍におけるすさまじい腐敗のまん延(徴兵逃れや特例的な出国の手配、軍需物資の調達における横領など軍関連の汚職が横行し、「摘発される事例があまりにも多く、捜査当局も手が回らない状態」と報道され、9月3日にはついにウクライナ国防相を更迭した)という現実の中で、この大規模反攻なるものは、強力なロシア軍の防御陣地を前に、ウクライナ・ロシア両軍兵士の膨大な犠牲を出し続けながら行き詰まっています。
 この状況に米帝バイデンは激しく焦っています。このまま反攻が行き詰まり、秋の泥濘(でいねい)期と冬を迎え、成果が上がらないまま24年の大統領選過程に突入していけば、共和党、トランプの激しい批判・攻撃を浴び、バイデンは大ピンチになります。米帝バイデンはこの国内支配危機(米帝の戦争は常に国内情勢に大きく規定される)を切り抜けるためにも、この9月過程においてウクライナ戦争にますます激しくのめり込もうとしています。ウクライナの兵士、人民がどれだけ血を流そうと、体を吹き飛ばされようと、死のうとおかまいなしに、ロシア軍の地雷原へ、防御陣地へと突っ込ませようとしているのです。バイデン政権は9月6日、クラスター弾に続いて劣化ウラン弾の供与を発表しました。ウクライナに放射能をばらまいても、兵士や人民を内部被曝させてもかまわない、核兵器の使用も、核戦争もかまわないというところにどんどん接近しています。

ウクライナ反戦闘争の国際的高揚かちとろう

 1年半でウクライナ軍・ロシア軍双方で50万人の死傷者というとてつもない大戦争にまで行き着いているこのウクライナ戦争は、徹頭徹尾、帝国主義の反階級的・反人民的戦争、腐敗にまみれた戦争です。ウクライナ人民をこの帝国主義の戦争に駆り立てるゼレンスキーとその腐敗にまみれた政権は、帝国主義のかいらいそのものです。ウクライナ人民の解放は、この帝国主義のかいらい、手先であるゼレンスキー政権を打倒し、ロシアの兵士、人民に即時の停戦を呼びかけ、労働者階級人民を果てしない分断・対立・戦争へと引きずり込む帝国主義の打倒に向かって闘うことにあります。
 帝国主義との軍事的対抗・対決において大国主義・愛国主義を扇動し、崩壊したスターリン主義体制の治安国家機構の力で労働者人民を支配し続け、旧ソ連時代における大国的地位の復権をめざすプーチン体制は、ロシア労働者階級人民の反スターリン主義の「第二革命」完遂によって打倒されるべきものです。
 何よりも世界プロレタリアートが打倒すべき最大の対象は、米欧日の帝国主義です。9・23ウクライナ反戦闘争は、何よりも自国政府=日帝・岸田のウクライナ参戦と実力で対決する闘いであり、反帝国主義・反スターリン主義の立場を鮮明にさせたウクライナ反戦闘争の国際的高揚こそ、ただちに戦争をとめる唯一の力であることを、ウクライナ、ロシア、全世界の労働者階級人民に力強く呼びかける闘いです。

―Ⅲ―岸田政権打倒!日帝の参戦を阻止する反戦闘争の爆発を

 さらに、反戦闘争を具体的にどう組織していくかについて述べます。
 日帝は「日本がウクライナのようになっていいのか」と激しくあおり立て、日本の労働者階級人民に大軍拡と戦争を認めさせようとしています。しかし「日本は中国、ロシア、北朝鮮からいつ攻め込まれるか、侵略されるかわからない」などというのは、まったく恥知らずなデタラメです。
 そもそも日本は今から78年前まで台湾・朝鮮を植民地支配し、関東大震災では数千人の朝鮮人・中国人を虐殺し、1931年9月18日の鉄道爆破謀略(柳条湖事件―「満州事変」)で中国東北部を侵略し勝手に「満州国」という国をでっち上げ、現地住民から土地を奪って日本人を何十万人と移住させて植民地にし、中国全土に百万人以上もの軍隊を送り込んで延々と足掛け15年も文字通りの侵略戦争をやり、2千万人もの中国・アジア人民の命を奪いました。こんなとんでもない侵略戦争をやったのは、アジアでは日本帝国主義だけです。この侵略戦争の歴史を居直り続けてきた日帝が、どの口で「ロシアのウクライナ侵略戦争」だとか、「日本が中国、北朝鮮に攻撃される危険」などというのか!

体制的危機の突破かけ中国侵略戦争に突進

 この日帝が、岸田政権のもとで、昨年の日米会談、安保3文書改定、軍事費2倍化の大軍拡の開始以来すさまじい勢いで、憲法9条などもうまったく関係なしに(自民党副総裁・麻生太郎が言うところの「ナチスの手口」で)、ウクライナ参戦、中国侵略戦争に向かって「ばく進」しています。9月9日には林外相がウクライナを訪問しました。
 自衛隊トップの統合幕僚長・吉田圭秀は、7月30日付日経新聞のインタビューで以下のようなことをまくしたてています。
 「ウクライナのような事態で三要素(国民・領土・主権)をいかに守り抜くか」「日本が置かれている戦略環境を認識してほしい。……インド太平洋地域で最前線に立っているのが日本だ」「ロシアのウクライナ侵略は対岸の火事ではない。国民が北朝鮮や中国の示威行動を肌で感じ取った結果、防衛への意識は高まった。世論調査でも防衛費の増額や反撃能力の保持を多くの人が支持した」「国家安保戦略は27年度までに日本が主たる責任を持って日本への侵攻を阻止できるようにする目標を立てた」「人材の確保と育成は大きな問題だ。女性の比率を現行の7〜8%から50年までに14%へ引き上げる。(結局、青年と女性を帝国主義の側、革命の側のどちらが獲得するか)……AIや無人化装備、民間の力で補う組織の構造に変えなければいけない」「学術界とも連携を深める(要するに「日本学術会議」問題の本質は戦争協力である)」
 さらに、中国侵略戦争を実際に日米共同で行うための準備、体制づくりが日々行われ、がんがん強化されています。
 ▽「防衛白書」は中国の軍備増強を「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と書き立て、防衛省は来年度軍事予算要求を今年度より1兆円増やし7兆7千億円とした。▽本格的大軍拡に向かって軍需産業の抜本的強化を国策的に推進し、武器(「防衛装備品」)輸出拡大の組織を改編・強化し、新興200社に軍需産業への参入を促し、サイバー・宇宙を中心に防衛技官500人増員の方針も。▽自衛隊は2025年3月までに陸海空の部隊運用を一元的に担う常設の統合司令部を創設する計画を進め、米帝は米軍と自衛隊との「調整組織」(日米統合司令部)を日本に設置しようとしている。▽中国の極超音速弾を迎撃するミサイルの日米共同開発も始まっている。▽日米韓3国での対北朝鮮=対中国軍事同盟の構築へ、自衛隊と米韓両軍が対潜水艦やミサイル防衛の定例演習。▽南西諸島―沖縄の戦場化を前提にしたシェルター建設が具体的に動き出している。
 以上のように、挙げればきりがありません。この日帝の戦争突入への激しい動きに、われわれは必死に食らいついても追いつけるかどうかというような状況です。
 日帝は米帝以上に、帝国主義として存続できるかどうかという断崖絶壁の危機にあります。1千兆円以上の国債発行残高(国と地方の債務残高は国内総生産〔GDP〕の2・6倍! 1945年の敗戦時は2倍)を抱えた財政破綻状況での大軍拡予算。1930年代と同じ日銀による国債引き受け=財政補てん(財政ファイナンス。これは「戦力」という言葉と同じくらい戦後最大の「禁句」だったが、事実上の国債の日銀引き受けはすでに500兆円以上行われており、もはやタブーではなくなっている。日銀の会議でも何度も出ている)、無際限の国債発行・大軍拡への道に完全にはまりこんでいます。この「出口」は、戦争と大インフレの破滅以外にありません。この破滅への道を開いたのが安倍=黒田日銀です。
 日帝の経済も財政も社会全体も本当に大崩壊しグラグラです。この日帝の現実を見れば見るほど絶望的です。だからこそ絶望的・自滅的に、かつて中国侵略に行き詰まって今度は対米開戦に突っ込んでいったように、破滅的な戦争にのめり込んでいくのです。すでに日帝・岸田は、支配階級の代表として、この戦争に一切をかけるしかないとして退路を断って、G7サミット、ウクライナ訪問、日米韓首脳会談、東南アジア諸国連合(ASEAN)会議、G20とあらゆるところで、対中国の戦争を構えて激しく動き回っています。
 この岸田と対決し、日帝の戦争突入をいま止めなければなりません。「日本が再び戦争を始めたとき、あなたは、革共同は、どうしていたのか」、そのように「後世」(今度の世界戦争後にそれがあったとして)から問われるその「とき」は、まさに今です。今ここで一人の共産主義者としての、そして今を生きるすべての労働者、学生、人民としての決断と行動が問われていることを強烈に自覚し決起しよう。このことを熱烈に訴えかけて反戦闘争への決起を呼びかけ組織しましょう。

帝国主義戦争を止める反戦デモを組織しよう

 「反戦闘争としての反戦闘争」と言いますが、反戦闘争とは文字通り、戦争反対の闘争以外の何ものでもない。マルクス主義者は戦争一般を否定するものではありません。われわれは抑圧階級に対する被抑圧階級の革命的闘争、戦争を正当なものとして評価し支持します。だからわれわれの戦争反対闘争、反戦闘争とは帝国主義戦争に対する革命的反戦闘争です。その立場は、帝国主義の戦争に対して帝国主義の平和を対置する小ブルジョア的平和主義の立場とは決定的に異なり、戦争の根源である帝国主義の支配そのものを打倒し、プロレタリアートの権力を打ち立てるという革命的立場、「帝国主義戦争を内乱へ」の立場です。
 反戦闘争とは、この78年、戦後の憲法のもとで戦争をしなかった日本の「帝国主義の平和」を守ろうということではなくて、ついにありとあらゆる制約をかなぐり捨て、「国益」をふりかざし、労働者階級人民を動員し、人民に一切の犠牲を負わせて侵略戦争に突き進むに至ったこの日帝を打倒しにいく闘いです。
 何千万人、何億人もの人民を犠牲にする、核で人類を滅ぼそうとするような戦争をやろうとする帝国主義を、その権力を実力で打ち倒せ!という呼びかけを発し、国家権力と激突していくような闘いをやらずして、帝国主義の戦争を止められるわけがありません。(辺野古ゲート前の座り込みなどで)「機動隊が来たらどきましょう」とか、そんなことで止められるわけがない! レーニンは「戦争ボイコットというのはナンセンスだ。共産主義者は戦争に参加しなければならない」という意味のことも言っています。戦争に参加して武器を受け取って、その武器を他国のきょうだいではなく、自国の支配階級ブルジョアジーに向けるべきだと。反戦闘争はこのような「帝国主義戦争の内乱への転化」まで行き着いて初めて成就します。
 「反戦闘争としての反戦闘争」以外に反戦闘争があるわけではありません。反戦闘争というのは、自国の具体的な戦争への動きを阻止する具体的な闘争です。反戦のデモや反基地闘争、反戦のビラまき、反戦の街頭宣伝、反戦のストライキを組織することです。そもそも労働者階級は反戦闘争、政治闘争(労働者階級がブルジョアジーから権力を奪い取りに行く権力闘争)でこそ真に決起する存在だということは、マルクス主義者、ボリシェビキたるわれわれの確固たる信念です。
 「反戦闘争としての反戦闘争」を提起したのは、ウクライナ戦争直後に開催した8回大会においてです。「反戦闘争基軸の階級的労働運動」というと、やはりまず「職場で反戦闘争を闘う」というふうに考える傾向が強かった。戦時下で職場で闘うこと、労働者の戦争動員や戦争協力を許さない闘いを組織することは、もちろん決定的だし、「反戦闘争」だとも言えます。だがその個別の職場の闘いの延長では現実に戦争を阻止する闘争にはなりません。
 世界戦争が始まり、日帝が決定的に戦争に踏み込んでいる情勢を前にして、この帝国主義の戦争を止める行動、具体的には反戦のデモ・大衆的革命的行動に自ら立ち上がり、組織することは共産主義者として、党として第一の、一切をかけるべき任務です。「労働運動と反戦闘争は完全に一体」とする階級的労働運動の真価も今こそ問われています。反戦闘争で日帝を打倒してやると腹をくくった活動家・革命家を何人もつくることが決定的です。がんがん反戦闘争を展開し、その反戦=帝国主義打倒の質をもった闘争を職場に持ち込むことが求められています。

「大行進」のうねりを

 反戦闘争は職場、地域、街頭、大学、あらゆるところで、今の戦争情勢に危機感をもち、岸田・自民党政権に怒りを燃やし、行動を求め、組織を求めているすべての人々を組織できる闘いです。この反戦闘争への総決起をかちとることこそ、11月集会への「昨年を倍する」結集を実現する道です。3労組が呼びかける「改憲・戦争阻止!大行進」運動は戦争絶対反対の全人民を組織する最も階級的で、最も大衆的な組織です。31全総の方針として確認し決定したように、杉並選挙決戦の勝利の地平で先日結成された「大行進すぎなみ」を先頭に、全国の職場・学園・地域・あらゆる場所から日比谷に向かって、改憲・戦争阻止、岸田打倒の文字通りの「大行進」をつくり出そう! もっと大衆の怒りと一体化し、その先頭に立ちましょう。反戦の宣伝、扇動、演説、スローガン、コールを、道行く大衆が即座に「そうだ!」と合流してくるようなものにしましょう。
 11月集会について、もう一点強調したい。国鉄闘争を闘い抜いてきた動労千葉をはじめ3労組と11月集会こそ、新自由主義と最も徹底的に闘ってきました。そしてこれまで述べてきたとおり、新自由主義の大破産、大崩壊として今の戦争、世界戦争が爆発しています。だから、新自由主義に対してとことん闘ってきた3労組が呼びかける11月集会こそ、当然にも反戦闘争の最大の結集軸となるべき集会だということです。

革共同に結集し闘おう

 反帝国主義・反スターリン主義世界革命の勝利、プロレタリア独裁の確立、共産主義の実現以外に、帝国主義の世界戦争を止め、労働者階級の解放・全人間解放を実現するいかなる道もありません。この階級的真実を徹底的に意識的に貫いて闘うプロレタリア革命党・革共同に結集し闘おう! 最後にこのことを革命の勝利と未来を決する存在である青年、学生、女性、すべての労働者人民に訴えて、報告を終わります。
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