十亀弘史の革命コラム-7- 戦争加担進めるマスコミ
十亀弘史の革命コラム-7-
戦争加担進めるマスコミ
戦争が迫って来るとマスメディアがそれまでの態度を急変させたりします。新聞・放送・出版、いずれにおいても、資本の本性は〈もっと売れればいい〉でしかないからです。戦前の典型例を挙げれば、それまではいくらか反戦を主張していた新聞が、1931年の柳条湖事件の勃発を転機に、こぞって侵略翼賛へと社論を変えて行きました。〈戦争は売れる〉として、部数を伸ばしたのです。
現在のマスコミはどうでしょう。皆川学さん(表現の自由を市民の手に全国ネットワーク世話人共同代表)は、「進歩と改革」6月号に書かれた「つくられる『台湾有事』と組み込まれる日本のメディア」という記事で、「今この国のメディアは、『台湾有事』の名のもとに、『戦争準備期間』に深々と組み込まれている」と指摘しています。その上でそれは、「政権からの圧力にメディアが屈服したかのように受けとられている」が、そうではなく、経営陣が、自ら積極的に戦争への道に踏み出そうとしているからだ、と書いています。本当にそのとおりだと思います。
広島での5・20反戦集会で、世界中のウクライナ反戦闘争を記録した映像が上映されました。多くの国の躍動的な闘いの確かな質と量を目にして、大いに励まされました。しかし、日本のマスコミは、そのような記事や映像を意識して排除しています。
私たちの反戦闘争や階級的労働運動の充実も一切報道しようとしません。軍拡自体に反対せず、その財源についてのみ議論しています。戦争は全て外交で止めようと言い張ります。帝国主義のあらゆる暴力を無視して、虚(うつ)ろな「暴力反対」を唱和しています。結局、よい侵略戦争があり、よい核があり、資本主義は永続する、といった幻想を広げるばかりです。
G7サミットについて朝日新聞の社説は「自由や民主主義などの価値観を共有するG7の責務は重い。ロシアの違法な侵攻が続く限り『ウクライナを支援する』と首脳声明で言明したのは当然だ」(5月22日)と断言し、ゼレンスキー大統領を迎えて戦争推進会議の本性を示したG7サミットを称賛しました。朝日新聞社としてウクライナ戦争拡大を容認したことは許されないことです。
マスコミ産別労組を組織し、戦争に向かうメディアを内側から食い破って行きましょう。「マスコミ出版反戦青年委員会(マス出反)」の白ヘル隊列の再登場を!
(そがめ・ひろふみ)