「青年を戦場に送るな!」の闘いを全国で巻き起こそう 自衛隊員は侵略出兵拒否を

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週刊『前進』04頁(3301号03面01)(2023/07/04)


「青年を戦場に送るな!」の闘いを全国で巻き起こそう
 自衛隊員は侵略出兵拒否を



(写真 24日の横須賀デモで、改憲・戦争阻止!大行進神奈川は自衛官募集業務反対の旗を高く掲げた)


 今日、日本帝国主義は南西諸島のミサイル基地化、防衛費倍増の大軍拡予算、日米共同訓練の激化など、中国侵略戦争に向かって臨戦態勢づくりを決定的に強めている。先の通常国会では防衛財源確保法や防衛産業強化法、入管法の大改悪など、日本を「戦争する国」につくり変える戦争法が、野党の総屈服の中で次々と成立した。だが、こうした戦争国家化攻撃は同時に、日帝自身の内部に大きなきしみ、危機と矛盾をつくり出している。その最大の焦点が自衛隊・自衛隊員だ。ウクライナ戦争、中国侵略戦争絶対反対の反戦闘争を爆発させ、自衛隊兵士=「軍服を着た労働者」の獲得・合流・連帯をめざして闘おう。

事件・事故続発の自衛隊

 敗戦以来78年間、日本帝国主義は日米安保条約と戦後憲法のもとで、本格的な戦争をすることなしに延命してきた。この日帝にとって、国家の総力を挙げておびただしい血が流れる中国侵略戦争に突入することは目もくらむような「大試練」だ。あらかじめの「勝利」も「成功」も、何一つ保証されていない。それでも日帝は、歴史的没落を深める米帝が中国侵略戦争へ突き進む中で、米帝とともに戦争をやる以外に帝国主義として延命できない。
 それは、国家財政、地方自治体、労働現場、学校教育、医療福祉など、社会のあらゆる領域で攻撃を激化させる。そして、いたるところに「内乱の芽」をつくり出し、日帝を打倒できる条件、展望を成熟させていく。「帝国主義戦争を内乱へ」の意識性をもった革命党の闘いが、勝利のかぎを握っている。
 日帝の戦争国家化攻撃は、自衛隊そのものに大きな危機と矛盾をつくり出している。4月の宮古島沖での陸上自衛隊ヘリ墜落事故では、中国侵略戦争の最前線部隊である西部方面隊第8師団の師団長、師団幹部ら10人が死亡。前線司令部の壊滅、自滅であった。「墜落直前にエンジン出力が急激に低下した」「機体に致命的な不具合が生じた」と報道されたが、日常的なメンテナンスすら全うできない自衛隊の危機がさらけ出されたのである。
 6月には岐阜の陸自射撃訓練場で自衛官候補生による発砲、3自衛官死傷事件が起きた。自衛官候補生は3カ月間の教育期間を経て任期制自衛官(2士)となるが、採用人数は年々減少傾向にある(グラフ参照)。昨年度に採用した自衛官候補生は計画人数の半分以下の4300人にとどまった。岐阜で発砲事件を起こした18歳の青年はそのうちの一人である。自衛官候補生になっても、パワハラやいじめで3カ月間の教育期間を終わらないうちにやめる青年が少なくないという。そういう中で今回の事件は起きた。
 そもそも18歳の少年に自動小銃を持たせ、実弾射撃訓練(敵のせん滅訓練)を行わせていること自体が衝撃的事実である。戦争が起きたら、このような青少年が銃を持たされて、殺し合いの戦場に投入されるのだ。
 こうした事件・事故の続発は、侵略実戦部隊への「飛躍」を求められている自衛隊の矛盾と危機の爆発であり、自衛隊組織を根底から揺るがしている。

自治体は募集業務やめろ

 政府は「防衛力の抜本的強化」を掲げ、最新鋭の兵器を買いあさっているが、実際に戦場に投入され武器を手にする自衛官の確保は狙いどおりに進まず、防衛省内部でも大問題になっている。少子化やウクライナ戦争の影響で自衛官志望者が減少し、任期途中で退職する自衛官も増えている。「有事対応でこれだけは必要」と定められる自衛官定数は今年度は24万7千人だが、実際の隊員は23万3千人であり1万4千人も不足している。人員不足の中で海外(ジブチ)派兵や演習の激化も重なり、一般の自衛隊員は休暇も十分に取れず任務は過重化している。
 隊内では上官や同僚による肉体的・精神的な暴力も常態化している。池田頼将さんの池田反軍裁判や、男性隊員による集団的性暴力を告発した五ノ井里奈さんの闘いが、自衛隊内部の精神的・肉体的暴力、女性差別・迫害、人権蹂躙(じゅうりん)を暴き出している。他にもパワハラやいじめでうつ病を発症し退職を余儀なくされた自衛官や、自殺した自衛官家族による真相究明、賠償請求の闘いが続いている。
 防衛省は隊員を集めようと全国の自治体に働きかけ、自衛官候補生の募集対象者(18〜32歳)の情報を本人の承諾なしに入手している。21年度には全国1741市区町村のうち、962の自治体が対象者の氏名や住所、性別、生年月日の4情報を防衛省に提供した。この情報を元に防衛省は18歳と22歳の青年に、説明会の案内やパンフレットを送っている。
 これに対して、東京・杉並区で洞口朋子区議が区長を追及し、神奈川県では改憲・戦争阻止!大行進神奈川が「自治体は自衛官募集業務に協力するな」の闘いを全国に先がけて始めた。深刻な要員不足の中で、自衛隊員募集=徴兵問題が階級闘争の大焦点になっているのだ。

自衛隊兵士は革命の主体

 防衛省防衛研究所の高橋杉雄は、自衛隊が行う戦争の目的は「国家の生存と繁栄」にあると、日帝軍部の本音を露骨に述べている(「現代戦略論」)。ここには、岸田がペテン的に言うような「国民の命と安全を守る」などという言葉は一言もない。〈資本主義国家体制の防衛と存続だけが戦争と軍隊の目的だ〉と、本音を語っているのだ。
 このような日帝・防衛省にとって自衛隊兵士は「戦争遂行の道具」であり、交換可能な消耗品でしかない。ロシアとウクライナの兵士が毎日数百人も戦場で殺されているように、「肉弾」となることが自衛隊員に要求される。自衛隊の訓練は自衛隊員を人殺しの道具にする訓練である。だから、どんな理不尽なことも「上官の命令は絶対」として強制し、抵抗する者には暴力が襲いかかる。防衛省・自衛隊幹部にとって、隊員からの人権の要求は粉砕の対象でしかない。
 しかし、自衛隊兵士は「軍服を着た労働者」だ。階級的労働運動の発展の中で、必ず階級的自覚を高め、労働者階級と団結して闘うことが可能な存在である。上官の理不尽な命令、人権蹂躙、肉体的・精神的暴力に怒りを爆発させ、帝国主義軍隊=自衛隊を内部から崩壊させ、プロレタリア革命を共に担う存在である。反戦闘争の爆発は必ず自衛隊員の中にも大きな流動化と決起を生み出す。その意識性を持って闘おう。
 強調したいことは、戦後一貫して不屈に闘われ継承されてきた労働者階級人民の強固な「絶対反戦」の意志と闘いこそが、今日の日帝・自衛隊の危機をつくりだしている主体的要因だということである。中でも1980年代の国鉄分割・民営化攻撃に動労千葉がストライキで闘い、それ以降も国鉄解雇撤回闘争を不屈に闘い続けて40年近く、日帝の改憲攻撃と労働運動解体、反戦闘争つぶしを打ち破ってきたことが、今日の決戦情勢を切り開いているのだ。
 この闘いを解体できないまま戦争に突き進む日帝支配階級と、労働者階級との矛盾・対立はますます激しくなる。戦争か内乱・革命か以外の決着はない。
 青年を戦場に送るな! ウクライナ反戦、中国侵略戦争阻止の闘いを強力に発展させよう。自衛官は侵略戦争の兵士となることを拒否し、労働者階級と共に帝国主義戦争を内乱に転化する反戦闘争に決起しよう。7・11新宿反戦デモ、8月広島・長崎反戦反核闘争に総結集しよう。

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