「原発による雇用」叫ぶ連合 核も戦争もなくす労働運動を
週刊『前進』04頁(3301号02面03)(2023/07/04)
「原発による雇用」叫ぶ連合
核も戦争もなくす労働運動を
国鉄闘争全国運動が6・18全国集会に先立って開いた6・17討論集会で、NAZEN(すべての原発いますぐなくそう!全国会議)の織田陽介事務局長が、原発推進に転じた連合を批判し、11・19労働者集会を組織する観点から重要な問題提起を行った。その要旨を紹介します。(編集局)
150兆円の原発マネーに飛びつく
11・19労働者集会に向かって、連合問題が重要な焦点になると思います。今国会で原発政策を大転換させるGX(グリーントランスフォーメーション)推進法とGX脱炭素電源法が通りました。この過程で立憲民主党がGX推進法の修正協議に応じる事態が起きました。背後にあるのは連合の問題です。
連合の芳野友子会長は昨年夏からの政府のGX実行会議に出席し、そこで「雇用」について繰り返し述べています。GX推進法は10年間で20兆円規模の新たな国債を発行し、官民合わせて150兆円を超える脱炭素投資を進めるとしています。連合は、150兆円規模の原発マネーで「雇用」を創出できるとGXに飛びついてきたのです。
今年2月に「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されて、原発関連の受注が一気に復活し、「原子力産業は完全に息を吹き返した」と言われています。原発や基地を守らなければ労働者の雇用は守れないとするなら、原発も戦争もなくせない。労働運動をめぐり、職場から闘う路線が問われています。
連合はこの方針のもと、反原発運動を変質させようとしています。「脱炭素」運動の一部は、原発を「エネルギーシフト」の問題に単純化し、脱原発投資を利用して脱原発を図り、そのためには資本とも協力する融和運動にかじを切っています。
地球温暖化でCO2が問題にされていますが、温暖化の原因は大量生産・大量消費、過剰なエネルギー消費であり、その最たるものは戦争です。ウクライナ戦争でミサイルを何万発も撃っているのに、CO2だけを問題にするなんて全くおかしなことです。
忘却させてはならない福島原発事故
連合の大転換がもたらす重要な問題は、3・11福島原発事故が忘却されてしまうということです。いまだに東電も政府も責任をとっていない。東電と政府を徹底的に追及し、「命より金」の社会を変えなければという、新自由主義への根本的な怒りから、反原発運動は生まれてきました。連合はそれを、エネルギーシフトの運動、岸田のいう「新しい資本主義」実現の運動に完全にねじ曲げ、その裏で原発新増設を推進しようとしています。これは戦争の問題、核兵器の問題をあいまいにすることと一体です。岸田政権が原発をごり押しするのは、日本の核武装を狙っているからです。日本の戦争国家化・核武装政策と真正面から闘わずに原発をなくすことはできないのです。
運動を資本と融和させる連合の企て
反原発は労働組合が万単位で決起してきた闘いです。福島の怒りと一緒になり、何万何十万人という市民や労働者が原発事故の責任を追及するために立ち上がってきたのです。それを押しつぶそうとしているのが連合です。連合は単に崩壊していくのではなく、労働運動をはじめあらゆる社会運動を資本と融和させるために、きわめて悪辣(あくらつ)に動いています。11・19労働者集会に向けて、連合のこの現状を徹底的に暴き、これでいいのかと訴え、闘う労働組合のネットワークが必要だと真正面から提起する必要があると思います。原発推進への連合の転換を、闘う労働運動の路線を訴えるチャンスに転じるために、何を訴え、どう行動するのか、まず私たち自身が議論することから始めなければならないと思います。