日帝の核武装を許すな GX関連法の成立弾劾 広島・長崎・福島の怒りで岸田倒せ

週刊『前進』04頁(3298号03面01)(2023/06/12)


日帝の核武装を許すな
 GX関連法の成立弾劾
 広島・長崎・福島の怒りで岸田倒せ


 日本帝国主義の核武装に向けて原発政策の大転換を図るGX脱炭素電源法が5月31日、参院で可決・成立した。激しい怒りを込めて弾劾する。それはヒロシマ・ナガサキの被爆者の怒り、フクシマの怒りを圧殺し、日帝が核と原発を積極推進する宣言であり、主要7カ国(G7)の核兵器を「防衛目的」「侵略を抑止」と正当化した核戦争会議・広島サミットの具体化である。被爆者と福島の怒りはこれを木っ端みじんに打ち砕く。8・6広島―8・9長崎、福島第一原発の汚染水海洋放出阻止闘争の大爆発で日帝の核武装策動を粉砕しよう。

「GX」は原発推進の口実

 GX関連法は「GX推進法」と「GX脱炭素電源法」の二つの法律からなる。前者は巨額の財源確保を目的とし、後者は具体的な原則と方針の提起だ。5月12日に立憲民主党も賛成してGX推進法が成立したのに続き、GX脱炭素電源法の成立が強行された。
 GX=グリーントランスフォーメーション推進の理由は「ウクライナ戦争でエネルギー資源をめぐる日本の脆弱(ぜいじゃく)性が明らかになった」「『脱炭素』のためには日本の産業構造の転換が必要」「脱炭素への産業構造の転換で経済危機から脱却を」と掲げられているが、これは大うそだ。代替エネルギーと言われる太陽光や風力発電、水素やアンモニアなどは不安定で未確立な技術でしかない。「脱炭素」は原発推進の口実なのだ。
 実際、5月19日に発表された「核軍縮に関するG7広島ビジョン」は、「原子力技術の利用が低廉な低炭素のエネルギーを提供することに貢献することを認識する」として、「脱炭素」を口実に日帝のエネルギー戦略の一環として原発政策推進を確認した。
 3・11福島第一原子力発電所事故のあまりの衝撃の前に安倍政権ですら原発を積極利用するとは言えず、日帝の核政策は福島の怒りの前に停滞を強いられた。ところがウクライナ戦争が泥沼化し、中国侵略戦争―世界戦争の切迫のなかで岸田はエネルギー戦略の要に核・原子力を据える以外になくなった。
 さらに日帝は、現代の戦争が本質的には核戦争であることを突きつけられ、日米安保同盟による米帝の「核の傘」のもとであっても独自の核武装を展望して原発政策の転換を強行する必要に迫られたのである。
 GXとは「脱炭素」を隠れみのに核武装を行うための攻撃である。

核政策全般「国の責務」に

 今回成立した「GX脱炭素電源法」は、①原子力基本法、②電気事業法、③原子炉等規制法、④再生可能エネルギー特措法、⑤使用済燃料の再処理・廃炉推進法、という五つの法律を「束ね法」として一気に改悪したものである。
 その最大の問題点は、原子力基本法の改悪だ。原子力基本法は、敗戦帝国主義である日帝が原子力政策の目的を「平和利用に限る」として国内外の反対を抑え込む形で成立した。しかし2012年には「安全保障に資する」と書き加えられ、今回の改悪では技術の維持・人材の確保から原子力施設の立地にいたるまで原子力政策全般を「国の責務」とした。
 特に26回も完成が延期され、めども立たない六ケ所再処理工場の使用済み核燃料の処理を国の責務としたことは重大だ。
 使用済み核燃料の再処理は日帝の核政策の根幹をなす。それは増殖炉と一体で兵器級のプルトニウム製造を狙うものであり、日帝の核武装政策そのものなのだ。つまり、民間企業主体の「平和利用」という偽装形態で潜在的な核武装能力を維持してきた戦後日帝のあり方を転換し、原子力産業を事実上国有化することで核武装を国の政策とするという宣言なのだ。
 さらに電気事業法に「発電用原子炉の運転期間」という条項を新設して事実上60年超の運転も可能にする。これは原子炉の運転期間の許認可を原子力規制委員会から経済産業省に移し、60年超の運転を経産省が認可することを意味するとんでもない改悪であり、世界でも類例をみない凶暴な攻撃である。
 一方の「GX推進法」は「脱炭素への産業構造の転換のため」として官民で150兆円もの巨大投資をもくろむ。連合会長・芳野友子はこの巨大投資が「雇用の確保のためになる」として「GX実行会議」に参加し、電力業界と原子力産業の先兵となった。これに立憲民主党は追随し、最終的にGX推進法に賛成した。

汚染水の海洋放出阻止を

 日帝は今回のGX2法の成立をもって全面的に核・原発政策の推進に乗り出そうとしている。
 それに立ちはだかっているのがヒロシマ・ナガサキの怒り、そして放射能汚染水海洋放出に対する福島の怒りだ。福島第一原発の事故は終わっていない。燃料デブリの取り出しは事実上不可能だ。韓国や南太平洋諸国、中国などで汚染水海洋放出に怒りの声が噴出している。福島現地の漁民の怒りと連帯し、汚染水の海洋放出を阻止しよう。「広島ビジョン」を絶対に許さず、8・6広島―8・9長崎闘争で岸田を打倒しよう。反戦反核闘争を大爆発させよう。
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