世界戦争に突き進むG7 首脳宣言で対中・対ロ対決明記

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週刊『前進』04頁(3297号02面02)(2023/06/05)


世界戦争に突き進むG7
 首脳宣言で対中・対ロ対決明記


 広島で開かれた主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、ウクライナ戦争を徹底的に激化・拡大させ、中国に対して軍事・経済の両面にわたる対抗措置を強めることを確認し、さらにG7側の核兵器を「抑止力」の名で全面的に正当化した。「第3次世界大戦の出発点は広島サミットだった」と後世の歴史教科書に書かれてもおかしくない戦争会議となったのだ。そして、そんな「歴史」を許してなるものかと被爆者・2世・3世を先頭に闘われたのが、5日間にわたるサミット粉砕闘争だった。この地平を引き継ぎ、戦争会議=G7サミットをさらに徹底的に弾劾し、世界戦争を阻む国際反戦闘争の巨大な高揚をつくりだそう。

第3次大戦招くF16供与

 ウクライナ大統領ゼレンスキーのサミット参加を受け、アメリカ帝国主義・バイデンがF16戦闘機のウクライナへの供与を容認したことで、広島サミットの戦争会議としての正体はまざまざとあらわになった。今後数カ月にわたり米軍主導のもとでウクライナ空軍パイロットの訓練を行い、北大西洋条約機構(NATO)加盟国を通じてF16の引き渡しを行うという。
 米帝はこれまで少なくとも公式には「第3次世界大戦に至るような環境はつくらない」(サリバン大統領補佐官)として、戦闘機と長射程ミサイルの供与には「慎重」な姿勢を示してきた。3月にはポーランドとスロバキアが旧ソ連製戦闘機ミグ29をそれぞれ4機、13機提供すると発表したが、NATOによる「戦闘機連合」結成にまではまだ隔たりがあった。
 だが今回、欧州をはじめ25カ国に約2300機が配備され、速度・航続距離・長距離攻撃能力などでミグ29をはるかに上回るF16の供与を認めたことは、ウクライナ戦争が文字通り第3次世界大戦へと転化することを、米帝が公然と容認したことを意味する。
 F16投入による制空権確保を前提としたウクライナ軍の「領土奪回作戦」が始まるのは、早くても半年後になる。「数カ月先に切り札が投入されるスケジュールを描くことで、早期停戦に向けた妥協をウクライナに求める欧州の対ロ融和論を抑える思惑が透ける」(5月21日付日本経済新聞)などと報じられるように、米帝が今次サミットでF16供与を発表した背景には、「ただちに停戦しろ」「これ以上ウクライナに殺戮(さつりく)兵器を送るな」と訴える反戦闘争が全世界で高揚する中、これを抑え込んでG7主導による「対ロシア戦争」を徹底的に推進し長期化させようとする狙いがあるのだ。
 今夏〜今秋の闘いは、G7広島サミットで帝国主義首脳どもが「確認」した世界戦争・核戦争を阻止するための歴史的決戦へと押し上げられた。日本における8・6広島―8・9長崎闘争を先頭に、戦争を遂行する帝国主義=自国政府を打倒する国際反戦闘争の巨大な爆発をかちとろう。

米帝―G7の没落あらわ

 こうしたウクライナ戦争の決定的なエスカレーションと一体で、G7首脳宣言は、「ロシアによるウクライナに対する侵略戦争」を「可能な限り最も強い言葉で非難」し、これを「全世界に対する脅威」と決めつけ、「必要とされる限りウクライナを支援する」として軍事支援の継続と戦争の激化・永続化を確認。さらに「ロシアを支援する者」に対しては「コストを増大させる」と恫喝した。
 そして「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を堅持・強化」を掲げ、「力または威圧による一方的な現状変更の試みに反対する」とし、さらに「台湾海峡の平和と安定」は「国際社会の安全と繁栄に不可欠」と明記した(台湾問題は中国の国内問題ではない、「国際社会の安全と繁栄」のためにG7として積極的に介入すべき問題だ、ということ)。加えて半導体や鉱物資源などの「重要なサプライチェーンにおける(中国への)過度な依存を低減する」として、G7と新興・後進国で供給網を強化する新たな枠組みの設置を盛り込んだ。「グローバルサウス」と呼ばれるアジア・アフリカ・中南米の国々を中国から切り離すことが狙いだ。
 岸田は今年1月の施政方針演説で「グローバルサウスへの関与を強化する」と強調し、同じく1月に米ジョンズ・ホプキンス大学で行った講演でも「グローバルサウスから背を向けられれば我々が少数派となる。政策課題の解決はおぼつかなくなる」と危機感をあらわにしていた。今回のサミット首脳宣言でも、グローバルサウスとの連携を念頭に「パートナー」という言葉を66回も使った。
 だが、グローバルサウスの最重要国と位置づけられるインドは中国が主導する上海協力機構にも参加しており、インド首相モディはサミット前日に「G7と中ロの両陣営と連携する」と発言するなど、「中ロとの競争で『こちら側』に引き込もうとするG7の戦略は、一筋縄ではいきそうにない」(5月24日付日経新聞)という状況だ。そればかりか、G7に背を向ける国々は増え続けている。広島サミットはこの点で何一つ事態を突破できず、むしろ基軸国・米帝の没落とG7の世界支配の崩壊ぶりを露呈させた。
 だからこそ米帝を盟主とするG7は、ますます中国への敵意と排外主義をあおり立て、世界を真っ二つに分断し、自らの延命をかけて中国侵略戦争―世界戦争へと突き進んでいくしかないのである。戦争をする以外に延命できない帝国主義を今こそ打倒し、世界戦争を世界革命に転化しよう。
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