ヒロシマの怒りG7を直撃 反戦反核の叫び全世界に 厳戒警備をうち破り実力デモ

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週刊『前進』04頁(3295号01面01)(2023/05/22)


ヒロシマの怒りG7を直撃
 反戦反核の叫び全世界に
 厳戒警備をうち破り実力デモ


 5月19~21日の主要7カ国首脳会議(G7サミット)を怒りの大反戦デモで迎え撃つ広島現地闘争が、警察官2万4千人の厳戒警備体制を突き破り、17日の原爆ドーム前デモをもって始まった。世界最強の核保有国であり、人類史上唯一、実際の戦争で原子爆弾を使用したアメリカ帝国主義、その頭目バイデンを始めとするG7の首脳が、原爆投下を謝罪も否定もせず、再び核戦争へ突入する意思統一のために広島に集まる----しかも「核なき世界」を掲げて! この暴挙に怒る被爆者・2世・3世を先頭に、広島から世界にとどろく大闘争が展開された。

G7こそ核戦争の元凶だ

 今次G7サミットは、ウクライナ戦争・中国侵略戦争へのG7の全面参戦と世界戦争・核戦争への突進を確認する戦争会議にほかならない。岸田がそれを「日本史上、最も歴史的」と位置づけ、あえて広島での開催を強行したのは、この戦争に日本帝国主義が参戦するために、ヒロシマの反戦反核闘争に代表される日本労働者階級の「戦争絶対反対」の意志と闘いを圧殺しなければならないからだ。
 サミット初日に公表される見通しの核軍縮に関する「成果文書」の骨子は、核不拡散条約(NPT)を核軍縮の礎と位置づけ、「不拡散体制の強化」を明記するとみられる。だが、そもそもNPT体制は、米英中ロ仏の5カ国にのみ核保有を認めて他の締約国の保有を禁じるもので、その核心は何よりも世界最強の核軍事大国である米帝の核戦略を正当化することにある。現に米帝は「核なき世界」を唱えたオバマ政権下で、30年間で1兆㌦(約137兆円)を投じる核兵器近代化計画を始動させ、現バイデン政権下でも新型ミサイルの開発・製造や同盟国への配備計画を進めている。
 4月26日の米韓首脳会談後の共同記者会見では、バイデンは「北朝鮮が米国や同盟・パートナー国を核で攻撃すれば、その政権は終わりを迎えることになる」と発言し、朝鮮半島を核の戦場とすることも辞さない姿勢をあらわにした。そして弾道ミサイル搭載可能な米戦略原子力潜水艦の韓国への派遣を表明、いつでも北朝鮮や中国を核攻撃できる態勢の構築を宣言した。
 まさに「核不拡散体制の強化」とは、「核には核を」の論理で米帝の核独占・核戦争を推進するものでしかない。「ロシアを押さえつけ中国を打ち負かす」(米国家安全保障戦略)という世界戦争戦略のもと、ロシア・中国を核で威嚇し、実際に核兵器を使用することも視野に入れていることは明らかだ。
 その背景にあるのは、米帝自身の体制的存亡の危機である。2008年以来の恐慌対策は破綻し、すでに大恐慌の再爆発過程が始まっている。広島サミットに先立ち、新潟市で11~13日に開かれたG7財務相・中央銀行総裁会議では、米国の債務上限引き上げ問題の決着がつかない中で、米財務長官・イエレンが米国債のデフォルト(債務不履行)は「経済的、金融的な大惨事を招くだろう」と危機感をあらわにした。
 米帝を頭目とするG7は、この資本主義・帝国主義のどうすることもできない末期的状態からの活路を、中国・ロシアを相手にした世界戦争に見いだそうとしている。G7こそ世界戦争・核戦争の元凶だ。

ウクライナ戦争やめろ!

 G7広島サミットを転換点に、ウクライナ戦争はこれまで以上の大戦争に突入しようとしている。
 サミットに先立ち、ゼレンスキーは欧州4カ国を訪問し、大規模攻勢に向けた軍事支援を要求。イギリス政府は11日、長射程巡航ミサイル「ストームシャドー」の供与を発表し、さらにウクライナ空軍パイロットの米国製戦闘機F16に対応した飛行訓練を夏に開始することもゼレンスキーに伝えた。イギリスが供与した劣化ウラン弾の大量使用も始まろうとしている。
 ウクライナ・ゼレンスキーの掲げる「大攻勢」は、ロシアが支配するウクライナ東部に中南部から突撃しロシア軍を分断、ウクライナ東部地域のみならず14年にロシアが併合したクリミア半島の奪還をも狙うものだ。すでに前段の軍事行動は開始されており、ロシア領内への攻撃を行っている可能性も高い。これに対してロシア軍は、キエフなどへの空爆やミサイル攻撃を再開し反撃している。
 クリミア半島は人口235万人で面積は四国の約1・5倍。ロシア語系住民が過半を占める。そこにウクライナ軍が突入し、壮絶な地上戦を展開しようというのだ。クリミア半島問題は、ウクライナ・ロシア双方にとって体制を揺るがす問題であり、核戦争の危機を一気に深める。そしてウクライナ・ロシア人民に壮絶な犠牲と塗炭の苦しみを強いることになる。これが「国際ルールによる法の支配を守る」という美名のもとでもたらされようとしている現実だ。この戦争に日帝・岸田政権は殺傷能力を持つ兵器をも供与し、参戦しようとしている。絶対に許すことはできない。
 「ウクライナ戦争を即時中止せよ!」「帝国主義はウクライナへの軍事支援をやめろ!」「NATOもロシアもウクライナから手を引け!」を掲げ、ウクライナ反戦闘争をさらに徹底的に闘い抜こう。

大軍拡・戦争国会粉砕を

 こうした中で、帝国主義戦争に反対し自国政府打倒を掲げる革命的反戦闘争が沖縄と広島で爆発し、日帝・岸田を痛撃している。「復帰」51年5・15沖縄闘争は、G7サミット粉砕の闘いと完全に一体のものとしてかちとられた。
 この間の与那国島、宮古島、石垣島などへの自衛隊配備=軍事要塞化の上に、陸上自衛隊第15旅団の師団化、在沖米海兵隊の「海兵沿岸連隊(MLR)」への改編など、南西諸島の戦場化の準備が進められている。「広島サミットは抑止力の重要性を確認する場」だと主張した米駐日大使エマニュエルは、沖縄についても「(沖縄の基地負担は)自由で開かれたインド太平洋を守るための責任だ。負担ではない」などと言い放った。米日帝国主義にとって沖縄の軍事要塞化は、中国侵略戦争遂行のための絶対条件であり、これと対決する沖縄闘争は中国侵略戦争―世界戦争を止める最前線の決戦だということだ。沖縄の反戦反基地の闘いが米日帝を追いつめているのである。
 入管法改悪に対しても、国会をはじめ全国で怒りの闘いが巻き起こっている。「無実の人に死刑執行のボタンを間接的に押すこと」(衆院法務委員会での参考人質疑)である入管法改悪について、12日の参議院本会議で日本維新の会・梅村みずほが、「支援者の一言がウィシュマさんに『病気になれば仮釈放してもらえる』という淡い期待を抱かせ、医師から詐病の可能性を指摘される状況へつながったおそれも否定できない」という、偏見に満ちた事実無根の大暴論を展開した。しかもウィシュマさん遺族が傍聴している前でだ。さらに16日の法務委員会でも「ハンガーストライキによる体調不良が死因かもしれない」などとデマを主張し、入管当局によるウィシュマさん虐殺の事実をねじ曲げようとした。これらの暴言に抗議と弾劾が殺到している。差別と排外主義をあおり、他民族を虐殺し、その事実すらも卑劣なデマで塗り隠そうとする----これこそ侵略戦争に突き進む日帝の正体であり、入管法改悪攻撃の本質だ。
 広島現地でのサミット粉砕闘争の巨大な爆発に続き、戦争国会を怒りの大デモで包囲・粉砕する5~6月国会闘争の巨大な爆発をかちとろう! 5・11サミット予防弾圧で不当逮捕された4同志を奪還しよう!

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