革共同の春季アピール 杉並区議選決戦の勝利を引き継ぎG7広島サミット粉砕へ総決起を 青年・学生先頭に5・19広島現地へ

週刊『前進』04頁(3292号02面01)(2023/05/01)


革共同の春季アピール
 杉並区議選決戦の勝利を引き継ぎG7広島サミット粉砕へ総決起を
 青年・学生先頭に5・19広島現地へ

はじめに

 4月23日の杉並区議会議員選挙における、「絶対反戦」を貫く唯一の革命的議員・洞口朋子同志の再選は、今日の世界戦争下で労働者階級人民がもぎりとった歴史的な大勝利である。そこに示されたのは、「二度と戦争を許さない」という日本労働者階級が戦後一貫して守り抜いてきた不屈の信念と確固たる決意であり、それを踏みにじって戦争に突き進もうとする日本帝国主義・岸田政権への絶大な階級的怒りにほかならない。
 今回の区議選決戦は、世界戦争が現実に始まった中での革命的選挙闘争という、わが革共同にとっても結党以来初めての挑戦となった。政府・マスコミを挙げて国家主義・排外主義の大宣伝が洪水のように連日連夜繰り広げられ、これに既存の野党勢力や連合などの労働運動指導部が総屈服・総転向していくという文字通りの「第2インター崩壊」情勢の真っただ中において、帝国主義=自国政府打倒に向かっての反戦闘争を貫く選挙戦として闘い抜かれた。何十台も街宣車を連ねて全国各地から来襲した右翼が「洞口に投票するな」などと大音量でわめき散らす一方、日本共産党スターリン主義をはじめ「左派」「リベラル」を自称する一切の勢力・党派が岸本聡子区長に同調して区議会の「オール与党化」を画策する中、われわれはこれら全てを向こうに回して「杉並から戦争とめよう」のスローガンを鮮明に掲げ、真っ向から勝負を挑み、大激戦を制して洞口区議の再選をかちとったのである。洞口区議に投じられた2632票は、戦争絶対反対と社会の根底的変革に向けた極めて主体的かつ意識的な杉並区民一人ひとりの決起にほかならない。
 われわれはこの闘いを通じて、帝国主義戦争を内乱に転化する闘いの確かな手応えと勝利への道筋をつかむことができた。これを跳躍台として、5月19〜21日に広島で開催される帝国主義強盗どもの戦争会議=主要7カ国首脳会議(G7サミット)を怒りの大反戦デモで包囲・粉砕する決戦へ総決起しよう。広範な人民の「戦争絶対反対」の怒りを決戦の地・広島へ総結集させよう!

―Ⅰ―権力・右翼・共産党らの敵対を粉砕し絶対反戦貫いた選挙戦

⑴洞口区議先頭に戦時下の革命的選挙闘争を闘い抜く

 今回の杉並区議選決戦でかちとられたものは何か。
 第一に、ウクライナ戦争・中国侵略戦争―世界戦争が現実に始まり、それが日々激化し拡大するという文字通りの戦時下において、洞口区議を先頭に「絶対反戦」の立場を鮮明に打ち出し、戦争問題を選挙戦の大争点に押し上げ、杉並区内外で巨大な反戦決起を実現したことである。それは選挙闘争という形をとった一個の大衆的反戦闘争、戦争を内乱に転化する闘いそのものとして、多くの新たな感動的決起を生み出した。そして自民党現職が7人も落選する今回の選挙結果へ結実したのだ。
 洞口区議は2019年に初当選して以来、労働者階級の立場から戦争と民営化に絶対反対を貫いてきた。とりわけ決定的だったのは、昨年2月のウクライナ戦争開戦を受け、3月3日に杉並区議会で「ロシア非難決議」が採択された際、この帝国主義の戦争責任を徹底的に免罪し反ロシア排外主義を一方的にあおる決議に洞口区議がただ一人、断固として反対したことである。この戦争情勢下で戦争絶対反対を貫いて闘う洞口区議のもとに、昨年9月の安倍国葬粉砕闘争や11月労働者集会、今年2月の三里塚強制執行阻止闘争などに決起してきた青年・学生・労働者が続々と支援に駆け付けた。さらに洞口区議が先頭に立って区内での反戦デモを何度も開催し、軍事予算2倍化反対署名運動を広げ、岸田政権の安保3文書に基づく大軍拡と戦争への怒りの声を区民の中にどんどん拡大していった。
 加えて重要なことは、杉並区が行っている自衛官募集業務(自衛隊に閲覧させるために、満15歳男子、18歳・21歳の男女を抽出した専用名簿を作成)を徹底的に争点化し、自治体の戦争協力絶対反対・募集業務の即刻中止を訴え抜いたことである。事実上の「岸本与党」を自認する日本共産党が、口先で「大軍拡反対」と言いながら、岸本区長のもとで平然と続けられている自衛官募集業務を何ら問題にしようとしない中で、このことを徹底的に暴露し争点化したことは決定的だった。
 洞口区議の再選勝利は、まさに今日の世界戦争下において、原水爆禁止運動発祥の地であり「反戦反核の街」である杉並から、日本と世界の全人民に向けて発せられた熱烈な反戦決起の呼びかけにほかならない。
 第二に、日帝国家権力・右翼から日本共産党に至る一切の反動勢力の憎悪と襲撃、反革命の十字砲火というべき攻撃に対して、一歩も引き下がることなく真正面から対決し、その一切を敢然とはね返して勝利したことである。戦時において絶対反戦を貫くとはどういうことかを、議会内外で身をもって示したのだ。権力中枢の意を受けた右翼は、全国から街宣車をかき集めて連日のように大音量での妨害・襲撃を繰り返したが、洞口陣営がこれと断固対決して反戦デモを継続し闘い抜いたことで、区民の中から「あんな右翼に絶対に負けるな」「洞口がんばれ」の声が次々と上がり、洞口区議への応援と支持がどんどん拡大した。区民を恫喝して洞口区議を落選させようと狙った国家権力と右翼の妨害・襲撃は完全に打ち砕かれ、ついに右翼は4月以降、杉並区内に姿を見せることもできなくなった。
 また今回の区議選では、日本共産党や「リベラル」を自称する多くの候補・議員らが、昨年6月に新たに登場した岸本区長と「政策合意書」を取り交わし、区長と協力して選挙戦を展開した。こうした中で洞口区議は、田中良前区長のもとで進められた自衛官募集業務、児童館廃止、公立保育園の民営化、原発汚染水を「安全」と宣伝するビラの小学校での配布、阿佐ケ谷をはじめとした再開発計画など、いずれも岸本現区長のもとで変わらず強行されていることを暴き、「誰が区長になろうと絶対反対」と鮮明に訴えて闘い抜いた。こうして「絶対反対を貫く唯一の候補・ほらぐち」のもとへ、岸本区政の裏切りに怒る多くの区民からの断固とした支持の声が寄せられたのである。
 第三に、この選挙戦を通じて、戦争を内乱に転化する革命党としての革共同の飛躍をかちとり、全党的団結を強固にうち固めたことである。
 19年夏の第26回全国委員会総会(26全総)から昨年2月の第8回全国大会、8月の29全総、そして今年2月の30全総に至る党の変革の地平で、全党が固く団結して選挙戦を闘い抜いた。とりわけ、この過程で新たに党に結集し闘いの先頭に立ってきた青年・学生・女性の同志たちが、誰よりも献身的かつ生き生きと自己解放的に選挙闘争に決起した。そしてこの闘いを通じて、多くの若い同志が革命運動の担い手として大きく成長し、指導部建設の圧倒的な前進がかちとられたのである。

⑵反帝・反スターリン主義の革命的労働者党の登場を

 今回の4月統一地方選・衆参補選全体は、自民党・岸田政権による祖国防衛・排外主義の大宣伝、これに対する立憲民主党や日本共産党などの屈服と翼賛勢力化、維新の反動的な「突出」という状況下で、投票率は軒並み過去最低を記録した。もはや戦争とインフレ・生活破壊に対する広範な人民の怒りと社会変革への熱望は、ブルジョア議会制度や既存の政治勢力の枠内に収まらなくなっている。そうした中で、絶対反戦と「資本主義を前提にしない」根底的変革の立場を鮮明に掲げた洞口区議の再選勝利をかちとったことは、まさに戦争を内乱へ転化する闘いの決定的突破口を開くものにほかならない。そのことは、今日のウクライナ、台湾をめぐる米欧日帝国主義と中国、ロシアの対決を軸とする世界戦争情勢を根本において規定しているものを考えるとき、いよいよ鮮明に浮かび上がってくる。
 「資本主義はひとにぎりの『先進』諸国による地上人口の圧倒的多数の植民地的抑圧と金融的絞殺の世界的体系に成長した。そして、この『獲物』の分配は、世界的に強力な、頭のてっぺんから足のさきまで武装した2~3の強盗ども(アメリカ、イギリス、日本)のあいだで行われ、そして彼らは、自分たちの獲物の分配をめぐる彼らの戦争に全世界をひきずりこむのである」(レーニン『帝国主義論』フランス語版とドイツ語版の序文)。この序文が1920年に書かれてから百年以上が過ぎた。2度にわたる世界戦争を経て、今日の帝国主義の世界体制はアメリカ帝国主義を基軸とするG7(米・英・仏・独・日・伊・加)で成り立っている。
 このたった七つの「ひとにぎりの『先進』諸国」は、中国やインドなどの新興国の台頭によって世界の総生産に占める割合もこの20年あまりで6割台から5割台以下になり、「世界的影響力に陰り」などとも言われているが、実際には「世界中の国々に自分たちの網を張りめぐらし」(『帝国主義論』)、そこから世界中の富を吸い上げている。「グローバル・ウェルス・レポート2022」(クレディ・スイス発行)によれば、世界の「億万長者」の4割がアメリカに、64%がG7の帝国主義国に集中する。そしてG7は世界の軍事費支出の50%以上(米単独で40%)を占め、最先端技術と「近代化された核兵器」によって満身武装している。それは何のためか。まさしく「ひとにぎりの『先進』国による地上人口の圧倒的多数の植民地的抑圧と金融的絞殺の世界的体系」を永久化するためである。
 G7帝国主義はさかんに「法の支配」と言う。彼らの言う「法」とは何か。それは米帝を軸とする少数の帝国主義諸国が、自らの軍事的・政治的・経済的な力をもって世界に強制してきた「自分たちの法」であり「国際秩序」だ。そもそもどんな「法」もそれを強制する暴力なしには成り立たない。つまり彼らは自分たちの力に基づく支配を「法の支配」と言い、維持されるべき「現状」「国際秩序」であると言っているにすぎない。帝国主義が支配する世界体制を「自由で開かれた国際秩序」(帝国主義にとってのみ自由で開かれた国際秩序だ!)として、これに従わないものは「力による一方的な現状変更」を試みる「専制国家」「権威主義国家」であると断じるのである。帝国主義は、自分たちこそが「防衛側」だとたくみに宣伝し、挑発を行いながら、侵略を開始したのはロシアや中国の側だとして、自分たちの帝国主義的目的をもった戦争を正当化し、「祖国防衛主義」「排外主義」を扇動して自国の労働者人民を「自分たちの」戦争に動員しようとするのである。
 これに対し労働者階級とその党がなすべき任務は、この帝国主義の世界支配とその支配を永久化しようとする反動的政治の延長に戦争があることを暴露し、このような戦争に労働者階級を引きずり込む以外に延命できなくなった帝国主義をプロレタリア革命によって打倒することだ。だが、大ロシア主義的愛国主義で支配を維持するプーチンや中国スターリン主義・習近平体制は、帝国主義に対して軍事的対抗を試み、労働者階級の反戦闘争に敵対し、帝国主義に侵略戦争のための格好の口実を与え、結局は世界戦争・核戦争を促進していくしかないのである。したがって世界の労働者階級は、反帝国主義・反スターリン主義の立場を鮮明にしてこそ、真に帝国主義戦争絶対反対の立場=帝国主義戦争の内乱への転化の闘いを貫き通し、帝国主義打倒の革命を成し遂げることができるのだ。

―Ⅱ―「厳戒警備体制」を実力突破し被爆地・広島の怒りと合流を

⑴ウクライナ戦争を拡大し中国侵略戦争準備するG7

 ウクライナ戦争のただ中の「戦時サミット」を被爆地・広島で行うということには、議長国の日帝・岸田のみならず、米帝をはじめとした国際帝国主義の尋常ならざる反革命的意志が込められている。バイデンや岸田らG7帝国主義の最高権力者たちは、「ヒロシマ・ナガサキを繰り返すな」「核兵器の廃絶」「戦争絶対反対」を訴え続けてきた被爆者の闘いを踏みにじり、「核のボタン」を持ち込み、「ヒロシマ」「平和」を徹底的に逆用して、ウクライナ戦争に勝ち抜くための戦争会議を行おうとしている。中国に対する軍備と核戦力を強化し、いつでも戦争ができる、核戦争も辞さないということを強力に確認し、実行しようとしている。
 反戦反核の地・ヒロシマが、帝国主義強盗どもの利害をかけた戦争政治、世界戦争・核戦争会議の場とされ、被爆者たちの「ノーモア・ヒロシマ」の命がけの叫びが対ロシア、対中国の戦争・核戦争遂行を正当化するスローガンに変えられようとしているのだ。侵略戦争と原爆の極限的な非人間性、そしてそれについての日米帝国主義権力者の責任を徹底的に告発・糾弾した漫画『はだしのゲン』や、米帝のビキニ環礁での水爆実験で被爆した漁船「第五福竜丸」についての記述を、サミット開催を前にして広島の教育現場から追放したのは、まさにG7が新たな侵略戦争・核戦争へと踏み出そうとしていることの表れである。さらには、イギリス帝国主義がウクライナへの劣化ウラン弾供与を決定した瞬間に、広島市のウェブサイトから劣化ウラン弾の記述が削除され、書き換えられるということまで行われているのだ。
 G7広島サミットで討議されようとしていることは、第一に、ロシアに対する「ウクライナからの即時・無条件撤退」の要求である。サミットに先立つG7外相会合(4月16〜18日)の共同声明に盛り込まれたこの項目は、事実上、プーチン・ロシアが絶対に受け入れることのできない「無条件降伏」の要求に等しいものだ。これに続き、4月20日には北大西洋条約機構(NATO)事務総長ストルテンベルグが初めてウクライナを訪問し、「ウクライナにふさわしい場所はNATO」と言い切った。ウクライナを加盟させ、クリミア半島も含めてロシアから完全に切断し、欧米帝国主義の軍事的・政治的・経済的勢力圏にウクライナを完全に取り込むまでとことん戦争をやるという宣言である。「レオパルト2」をはじめとする最新鋭の主力戦車、戦闘機も含めた大量の武器・弾薬、防空システム、軍事情報などの提供、米欧の特殊部隊による訓練・実戦参加も含めて、NATOから圧倒的な支援を受けたウクライナ軍の大規模反攻作戦の開始が近いと言われている。その最中において、G7広島サミットは、オンラインで参加するというゼレンスキーに対して「断固たる支持・支援」を表明し、対ロシア戦争としてのウクライナ戦争の完遂を宣言しようとしているのだ。
 第二に、このウクライナ戦争と完全に一体で、対中国の侵略戦争を推進するということである。これも同じくG7外相声明で明記したように、中国に対して居丈高に「威嚇、威圧、脅迫、または武力の行使を控える」ことを迫り、「力または威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対」「台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認し、両岸問題の平和的解決を促す」といったことを突きつけようとしている。G7、とりわけその頭目である米帝は、台湾への巨額の軍事支援や同盟国と共同での大規模軍事演習を通じて、台湾を中国本土から切り離す激しい戦争挑発を繰り広げておきながら、これに対する中国の軍事的対抗措置を格好の餌食としてさらに中国への敵意と排外主義をあおり、本格的な中国侵略戦争へ突き進もうとしている。さらには、自らは圧倒的な核戦力の維持と核兵器の近代化を進める一方で、中国の「核戦力増強」をやり玉にあげ、「被爆地ヒロシマ」の名で対中国の核戦略を推し進めようとしているのである。
 米帝と並ぶ核兵器大国ロシアを徹底的に追い詰め、完全に敗北させるまで戦争をやるということ、そして米帝に次ぐ経済的・軍事的大国であり核兵器開発も進める中国に対して戦争を構えるということは、核戦争も辞さないということだ。G7広島サミットは文字通りの「核戦争会議」だ。岸田はG7サミットに向けて「ヒロシマ・アクション・プラン」なるものを打ち出し、あたかも「核兵器なき世界」をめざしているかのように振る舞おうとしているが、そこで掲げられている「五つの柱」は、「核廃絶」とはまったく相いれない。①「核兵器不使用の継続」であって「核兵器の使用禁止」ではない。②「中国の核戦力についての透明性の向上」であって「核兵器の製造禁止」でもない。③「核兵器数の減少傾向維持」であって「削減」ですらない。④「核兵器不拡散と原子力の平和的利用」は核不拡散条約(NPT)による核独占体制の維持と原発推進にほかならない。⑤「各国指導者らの被爆地訪問の促進」は、帝国主義の核保有と戦争・核戦争の正当化のためにヒロシマ・ナガサキを徹底的に政治利用するということである。

⑵広島から世界にとどろく核戦争絶対阻止の叫びを!

 この許しがたいG7広島サミット開催まで1カ月あまりとなった4月15日、岸田が24歳の青年から「手製爆弾」を投げつけられるという事態が起きた。「手製銃」による元首相・安倍の射殺から1年もたたずして、今度は現役首相が爆弾で「直撃」されるという事態に、日帝国家権力は顔面蒼白(そうはく)になっている。起きている事態の本質は、新自由主義大崩壊から戦争へと向かう今の閉塞(へいそく)感に覆われた日本社会の中で、階級的団結や組織、闘争手段を奪われてきた青年をはじめとする人民大衆の不満と激高は極限に達し、それらがいつ、どこから噴出し、どういう形で爆発するか、予測もできない状況にあるということだ。日帝は、この自らがつくりだした現実におののきながら、結局はさらなる暴力的弾圧で人民の不満と激高を抑え込むしかない。
 日帝国家権力は、警視庁を先頭に広島へ続々と機動隊を送り込み、市民全体を弾圧・監視の対象とし、公共交通も学校も止め、街全体を「戒厳令」下においてG7サミットを強行しようとしている。サミット前日の5月18日から最終日の21日までの4日間、平和公園と原爆ドーム周辺は三里塚の強制執行でも使用された鉄柵バリケードで封鎖され、原爆資料館も閉館となる。市中心部に向かうデモも禁止しようとしている。これこそサミットの反人民的正体を自己暴露するものだ。
 全国の労働者・学生・市民のみなさん! サミット戒厳令を実力突破し、改憲・戦争阻止!大行進と8・6ヒロシマ大行動実行委員会がよびかける「G7サミット粉砕5・19広島行動」に総結集しよう。被爆者・2世・3世の怒りを先頭に、被爆地ヒロシマから「帝国主義の世界戦争・核戦争反対!」「NATOもロシアもウクライナからただちに手を引け!」「中国侵略戦争阻止」「労働者民衆の国際連帯で核と戦争をなくせ!」の叫びを、全世界にとどろかせよう。

―Ⅲ―帝国主義の破産と体制的危機こそ世界戦争・核戦争の元凶

⑴08年以来の超金融緩和が行き詰まり大恐慌再爆発へ

 米帝を頭目とするG7の帝国主義がこれほどまでに激しく世界戦争へと駆り立てられているのは、今日の全世界的な戦時下インフレと、そのもとで余儀なくされた金利の急激な引き上げが世界経済を根底から揺るがし、ついに大恐慌の再爆発をもたらしているからである。資本主義・帝国主義のどうすることもできない行き詰まりと危機こそ、世界戦争の元凶にほかならない。
 大恐慌の再爆発過程への突入、その最初の激震が、3月10日のシリコンバレー銀行(SVB)、12日のシグネチャー銀行の破綻と全米の中小銀行からの預金引き出しであり、さらにスイス金融第2位のクレディ・スイスの「救済」=事実上の破綻だった。この一連の「3月金融危機」は、様々な緊急措置によっていったん収まったかのようにみえるが、インフレ、金利上昇、国債価格下落による銀行の巨額の含み損の発生(アメリカの銀行が保有する国債などの含み損合計は3月中旬時点で6500億㌦=約87兆円以上に達する)、ITや半導体などにも及ぶ過剰資本・過剰生産力の露呈という根本的な矛盾は何ひとつ解決せず、より巨大な恐慌の再爆発に向かっている。
 4月24日には、主に富裕層向けの投資や信託、証券取引サービスなどを提供していた米有力地銀ファースト・リパブリック銀行(FRC、総資産2126億㌦=約28兆円・全米14位)の23年1~3月期決算発表で、3月末時点の預金残高が1045億㌦(約14兆円)となったことが分かった。市場が予想していた残高は約1370億㌦だったが、SVB破綻の影響で預金引き出しが殺到し、昨年末時点の1764億㌦から4割も減少、市場予測を大きく下回る結果となった。同行は即日25%人員削減などを発表したが、急激に広がる金融不安はとどめようもない。他の米地銀の株価も3月以降軒並み下落、13行が預金残高の急減に見舞われている。FRCの決算発表の前日23日には、スイス金融最大手UBSによる買収を前にしたクレディ・スイスが同じく23年第1四半期だけで680億㌦(約9兆1千億円)の資産流出を公表していた。
 いまや帝国主義の政府も中央銀行も、進むも引くも地獄というジレンマに陥っている。急激なインフレを抑えるために金利を引き上げ続ければ、借金を抱える企業や家計は打撃を受け景気は落ち込む。巨額の含み損を抱えたままの銀行は貸し出しを絞り、経済は一層収縮する。景気後退を回避しようと再び金融を緩和すれば、またインフレが加速し金利の急騰につながる。起きていることは、「08年大恐慌以来続けてきて、20年コロナ危機以降度はずれた規模で行われてきた超金融緩和と財政拡張による大恐慌対策―〈コロナ×大恐慌〉対策が限界にぶちあたり、経済の土台が崩壊に向かっている」(革共同第8回大会第2報告)ということだ。20年、30年と続けられてきた超金融緩和・巨額財政支出=公的債務の極限的増大と経済のバブル化によって覆い隠され続けてきた過剰資本・過剰生産力が、コロナ危機と戦争によって加速されたインフレ、金利上昇によってあらわとなり、「剰余価値=利潤の生産を唯一の動機とする資本主義的生産」が不可能化し、恐慌によって暴力的に停止される。「利潤率の低下と利子率の上昇による過剰資本の露呈」という「典型的な恐慌」が、資本主義の最後の最後に極限的形態をもって爆発するに至ったのだ。
 金利上昇は途上国・新興国の債務問題の爆発も引き起こし、それが世界大恐慌の爆発を決定的に促進するものとなろうとしている。世界銀行によると、2021年末の時点で「低・中所得国」の対外債務残高は約9兆1千億㌦(1200兆円以上)と、10年末から倍増している。08年大恐慌からコロナ危機に至る過程での米帝をはじめとする帝国主義国の超金融緩和であふれかえったマネーは、後進国・新興国にもなだれ込んだ。帝国主義の金融資本・投資家は、国内の低い金利で調達したマネーを、より高い利回りが得られる後進国・新興国にも多く貸し付けて利ざやを稼いできた。中国も帝国主義に対抗して途上国への投資を増やしたが、その多くはドル建てだ。途上国の債務はコロナ下での経済危機でさらに増加したが、金利上昇とドル高によって債務問題は一気に深刻化した。
 帝国主義国自身の莫大(ばくだい)な公的債務と途上国の対外債務を合わせ、世界全体の債務残高の総額は約300兆㌦(世界の総生産の3倍以上)となっている。借金に借金を重ねて延命してきた資本主義、この資本主義・帝国主義の世界経済に自らを組み込んできた中国、ロシアもひっくるめて、すべてが完全に限界に来ている。この資本主義・帝国主義がどん詰まりから凶暴化し、中国・ロシアを侵略と再分割の対象とする世界戦争をしかけている。これに中国・ロシアは軍事的に対抗し、帝国主義の世界戦争を促進する。このような形で、29年大恐慌から約1世紀をへての帝国主義の基本矛盾の爆発としての大恐慌と、その世界戦争への転化過程が進んでいるのだ。

⑵財政破綻にあえぎ戦争へ突き進む「最弱の環」=日帝

 何よりも、帝国主義の「最弱の環」=日帝の経済的・政治的危機は「突出」している。すでに普通国債発行残高は昨年末に1005兆円を超え、国内総生産(GDP)比2倍以上という帝国主義の中で最悪の水準に達し、その半分以上の約582兆円分を中央銀行の日銀が保有している。日銀による国債買い支え、事実上の財政ファイナンス(日銀が紙幣を刷って財政を補てんする!)である。しかも安倍政権を経済面で支えることを「使命」とした黒田東彦前総裁のもと、日銀は大量の株式の買い入れまでやって株高(=「アベノミクスの成功」という虚構)を支え続け、今や日本最大の「大株主」となっている。この状況は日帝経済が、資本主義としてもはや「成り立っていない」ということだ。
 世界的インフレと金利上昇が続く中で、1%でも金利が上がると日銀の保有国債の含み損は28・6兆円に、今の米帝並の5%まで上がったら108兆円と試算されている。日帝の国家財政も国債利払いでパンクする。戦争を始める前に、すでに第2次大戦末期を超える財政破綻に陥っているのが日帝だ。日帝支配階級を大軍拡・改憲・戦争へと激しく駆り立てているものは、この日帝自身の体制的危機の深さである。ここから安倍政権以来の改憲・戦争攻撃の激化、中国侵略戦争に向けての日米同盟の強化、「反撃能力」と称する他国領域内への攻撃手段の保有、南西諸島のミサイル基地化、「5年で43兆円」の大軍拡、核武装に向けた核開発と「核共有」の検討、原発推進への大転換などといった絶望的凶暴化が引き出されているのだ。
 この日帝の攻撃は、国鉄分割・民営化以来の階級的労働運動の解体攻撃、連合による労働者支配、立憲民主党や日本共産党スターリン主義の屈服・裏切り・抑圧によって支えられてきた。だが、まさに今回の杉並区議選で鮮やかに示された通り、日本の労働者階級人民が闘いを通じて形成し蓄積してきた「戦争絶対反対」の意志は依然として強固である。日帝が声高に「北朝鮮、中国、ロシアの脅威」「ウクライナの次は台湾有事」などと連日叫び、全国瞬時警報システム(Jアラート)やミサイル避難訓練で戦時態勢に入れようとしても、「戦争だけは絶対に反対」「沖縄戦やヒロシマ・ナガサキを繰り返してはならない」という意志は揺るがない。ウクライナ戦争以後の自衛隊募集の大幅定員割れ(昨年度は採用計画の半数以下)ということもその表れだ。
 われわれが日帝の体制的危機という場合、何よりもこの労働者階級人民の強固な「絶対反戦」の意志と闘いの厳然たる存在と、それらを解体できないまま凶暴かつ絶望的に大軍拡・戦争へ突き進まざるをえない岸田ら日帝支配階級との間の巨大な矛盾を、しっかりと押さえておかなくてはならない。戦争を内乱に転化する闘いとは、この日帝の体制的危機と矛盾を党が意識的にとらえ、具体的な行動方針を提起し実践していく中で現実化されていくのである。杉並区議選はまさにそのように闘われたがゆえに、広範かつ熱烈な区民の決起を生み出し、全反動を打ち破って勝利したのである。

⑶新自由主義まで行き着き万策尽き果てた帝国主義

 以上に述べた帝国主義の歴史的な行き詰まり、その最弱の環としての日帝の危機と絶望的凶暴化は、日帝打倒のプロレタリア日本革命、そして反帝・反スターリン主義世界革命の完遂を今日的課題へと押し上げている。
 もとより資本主義の最高の発展段階としての帝国主義は、独占体と金融資本の支配を形成し、その巨大な生産力と過剰な資本のための、あるいは国内の階級的・政治的支配の危機を排外主義的に転嫁するための市場・領土・植民地・勢力圏の分割・再分割をめぐる対立と争闘、あるいは同盟を繰り広げ、ついには世界戦争を爆発させる。そして第1次世界大戦がもたらした恐るべき惨禍の中で、レーニンの率いるボリシェビキが「帝国主義戦争を内乱へ」を掲げて世界史上初のプロレタリア革命としてのロシア革命を勝利させたことで、世界史は帝国主義から社会主義・共産主義への過渡期に入った。だがレーニン死後、帝国主義の重圧と包囲に屈したスターリン(スターリン主義者ら)は世界革命を放棄して「一国での社会主義建設」を自己目的化し、国際共産主義運動をその手段へと変質させた。この裏切りに助けられて基本的に延命した帝国主義は、1929年大恐慌の爆発と世界経済の分裂・ブロック化を経て、独日伊と米英仏の世界再分割戦にソ連スターリン主義も巻き込んだ第2次世界大戦へと突き進んだ。革命への恐怖に駆り立てられた帝国主義は絶望的に凶暴化し、第2次大戦は第1次大戦を数倍する死と破壊を全世界にもたらした。それはナチズムや天皇制イデオロギーによる民族抹殺政策と虐殺、そして広島・長崎への原爆投下、すなわち核戦争にまで行き着いたのである。
 一方でこの戦争は、スターリン主義の裏切りにもかかわらず、労働者階級人民と被抑圧民族の決起を呼び起こして戦後革命的情勢をつくりだし、中国革命の勝利と全世界での民族解放・革命戦争の高揚は植民地体制を崩壊させ、帝国主義の世界支配を根底から揺るがした。だがスターリン主義の裏切りのもとで戦後革命は主要な帝国主義本国で圧殺され、帝国主義は圧倒的な軍事力・経済力をもつ米帝を唯一の基軸国とする新たな戦後体制を構築した。こうして帝国主義から社会主義への世界史的過渡期は、米帝を基軸とする帝国主義とスターリン主義による世界分割支配へと反動的に再編されたのである。
 だが、この戦後世界体制は、29年大恐慌と第2次世界大戦をもたらした帝国主義の基本矛盾を何ら根本的に解決したものではなく、スターリン主義の裏切りに助けられ、米帝の圧倒的軍事力・経済力のもとに他の帝国主義を再建し束ね上げることで、かろうじて成り立つ体制でしかなかった。その危機性ゆえに米帝は、ソ連スターリン主義との核戦争寸前の軍事的対決・緊張状態のもとに世界を置き続け、朝鮮半島、台湾、ベトナム、中東・パレスチナ、中南米、アフリカなどでいくつもの軍事的分断をつくり、「共産主義の侵略からの防衛」の名のもとに全世界に米軍基地を張りめぐらせ、侵略戦争を繰り返してきたのである。
 さらに帝国主義は、労働者階級人民を帝国主義の側に取り込み、革命を予防するために、様々な社会保障政策や雇用・景気対策=独占資本救済のための財政支出(国家独占資本主義政策)も行ってきた。だがこうしたやり方は、1960年代末から70年代にかけて、米帝のベトナム侵略戦争敗北とその絶対的力量の低下、さらに74~75年世界恐慌で決定的に露呈した全世界的な過剰資本・過剰生産力状態と戦後発展・高度成長の終焉(しゅうえん)によって、決定的限界にぶち当たった。ここから帝国主義は新自由主義的延命への道を進み始めるが、その決定的テコとなったのもスターリン主義との軍事的・イデオロギー的対決である。社会保障やあらゆる公営事業、それらを拠点とする労働組合を経済・社会を停滞させる「社会主義的なもの」として徹底的に攻撃し、民営化と労組破壊を推進した。
 この新自由主義反革命は、89~91年にかけての東欧・ソ連スターリン主義の崩壊によって猛威をふるい、全世界をのみこんだが、そこに現れたのは『共産党宣言』や『資本論』で描かれたようなむき出しの資本主義の姿であり、労働者階級の無権利状態と搾取の激化であり、階級的矛盾と対立の極限的な先鋭化だった。労働者階級はここからもう一度自らの解放の武器としてのマルクス主義を取り戻し、党と労働組合を再生し鍛え直さなければならない。そのためには反スターリン主義の立場を確立することが絶対に必要だ。

⑷制御できないインフレで恐慌対策は最後的な破綻へ

 29年大恐慌、第2次世界大戦、74~75年恐慌と戦後発展の終焉、新自由主義と、延命に次ぐ延命を重ねてきた帝国主義の最後の矛盾の大爆発が始まったのが、2008年リーマン・ショックを契機とした大恐慌だった。米帝をはじめ全帝国主義は、1929年大恐慌以来の「地獄の釜のふた」が開いたことに震え上がった。信用と生産のスパイラル的収縮、銀行・企業の連鎖的倒産、大量失業と階級闘争の内乱的爆発、革命的危機、世界経済の分裂・ブロック化、帝国主義国家間の対立と争闘の非和解的激化、世界戦争----それが再び現実となろうとしていた。
 ここで帝国主義がすがりついたのが、2年で4兆元(当時のレートで約57兆円)の巨額の景気対策を実施した中国だった。そして帝国主義各国は、すでに90年代末の金融恐慌からの日帝の大不況・デフレ対策として日銀が行っていたことにならって、資本主義としてはありえないゼロ金利、さらには日欧のようにマイナス金利にまで突っ込んだ。金利が「ゼロ」「マイナス」というのは、資本の価値増殖を社会的生産の基底的動機とする資本主義にとっての自己否定であり、死というべき事態である。さらに、もう金利を下げられないとなると、これもまた日銀にならって、中央銀行が国債などの債券を大量に買って市場にカネをばらまくという「量的緩和」を始めた。こうした何でもありの政策で、マネーをじゃぶじゃぶにあふれかえらせることで大恐慌の果てしない進行をいったん止めたのである。
 ここまでやらなければ生き延びられなかったのが今日の資本主義であり、帝国主義である。ブルジョアジーは2008年大恐慌以後の金融政策を「非伝統的政策」と呼んでいる。つまりもはや「まともではない」政策だとブルジョアジー自身が認めざるをえない政策である。だがいくら低利で(ただ同然の金利で)借りられる資金が大量にあり余っていても、歴史的に形成された過剰資本・過剰生産力という根本がどうにもならないかぎり、「設備投資の増加」など起きるはずがない。IT関連の投資もあっという間に過剰化するものでしかなかった。この過剰資本・過剰生産力状態による資本主義経済の行き詰まりという、あまりにも単純明快な「唯物論的」事実をブルジョアジーは決して認めることはできないのである。
 結局この中央銀行の金融緩和や政府の財政支出を通して供給された大量の資金は、生産設備の投資などに向かうはずもなく、株式、債券、不動産関連などの投機になだれ込み、さらなる巨大なバブルをつくりだしただけであった。これがいずれは破裂するのは明らかだ。それゆえ米連邦準備制度理事会(FRB)は15年12月、それまで7年におよんだ「ゼロ金利」を解除して徐々に金利を引き上げ、さらに17年10月からは国債を購入するなどして、市場に供給した資金の回収を始めた。欧州もこれに続いた。だが日帝だけは超金融緩和を続けた。すでに黒田日銀の「異次元緩和」=事実上の日銀による国債引き受けという度はずれた超金融緩和の矛盾が、とてつもないものとなり、どうにも引き返すことはできなくなっていたからである。

階級支配の危機と革命の現実性が根底にある

 こうした局面において20年、新型コロナウイルスのパンデミックが発生し生産と供給に急ブレーキがかかり、帝国主義は︿コロナ×大恐慌﹀という未曽有の事態に直面した。ここで再び各帝国主義は超金融緩和と巨額の財政支出に踏み切った。FRBは米国債などをさらに大量に買い入れ、総額約9兆㌦(約1200兆円)もの資金が市場に流された。08年大恐慌以来の金融緩和と財政規模拡大の上にさらに未曽有の規模の金融緩和と財政拡張が追加的に行われた。アメリカの公的債務残高は昨年には31兆㌦(約4200兆円)を突破し、日本は公的債務1000兆円を超えてさらに軍事費2倍化だ、異次元の少子化対策だ、物価対策だと財政拡大を続けている。それでこの先「正常な」資本主義に戻れるのかと言えば、もはやそんなことは絶対にありえない。コントロールなどできないインフレ、金利上昇、国家破産的事態への突入、金融も財政も打つ手がなくなった大恐慌のとめどもない進行----やってくるのはこれしかない。コロナ危機は、この過程を激しく促進し加速した。
 コロナ感染症による死者が累計110万人を超えた米帝をはじめ、帝国主義各国は労働者人民を犠牲にしながら「経済再開」に突き進んだが、それは莫大なマネーがあふれかえっている中で、当然にもインフレに火をつけ始めた。コロナ禍によるサービス部門を中心とする人手不足と賃金上昇もこれに拍車をかけた。さらに21年末からのウクライナ危機、そして翌年2月の戦争勃発による資源・エネルギー価格や食糧価格の高騰という「戦時インフレ」が加わって、欧米では30年ぶり、40年ぶりという前年比10%前後にも達するインフレとなった。世界経済は20年以上続いてきた低インフレ・低金利傾向から高インフレ・高金利の局面に転換した。インフレはいったん火がつくと収まらない。
 何よりインフレほど労働者階級人民、低所得層の生活を直撃するものはない。歴史上、多くの革命は「物価高騰」「飢餓」「戦争」のいずれかが引き金となってきた。インフレ抑制は支配階級にとって体制維持をかけた第一級の政策であり、ゆえに帝国主義の中央銀行は「物価安定」を第一の政策目標とする。こうして帝国主義各国の中央銀行は、これまでの超金融緩和から一転して、今度は一斉に利上げによってインフレの火消しに追われることになり、FRBは政策金利を22年3月からわずか1年という「歴史的な」スピードで0%付近から一気に4・75~5%まで引き上げた。そして、この金利引き上げがついに08年以来の恐慌対策を全面破産させ、その全矛盾が無慈悲に爆発していく過程が始まったのである。すなわち、起きている事態の根底にあるのは階級支配の危機と革命の現実性にほかならないのであり、帝国主義がそこから逃れる術(すべ)は世界戦争しかない以上、もはや歴史の決着は「世界戦争か世界革命か」の二者択一へと絞り上げられるしかないのである。

⑸広島決戦に全力で決起し戦争と大軍拡の岸田打倒へ

 2月三里塚強制執行実力阻止闘争から4月杉並区議選勝利に至る闘いは、青年・学生を先頭に「戦争を内乱へ」の路線を貫いて勝利的に闘い抜かれた。これと一体で、反戦闘争を軸に闘われてきた階級的労働運動再生への挑戦が、全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部、全国金属機械労組港合同、動労千葉の3労組を先頭に不屈に前進している。
 長らく日本の労働運動を支配し労働者階級の決起を抑えつけてきた連合は、今や日帝ブルジョアジー・岸田政権との融合(「賃上げ」を岸田・財界に委ねた「23春闘」、岸田を来賓として迎えた連合メーデーはその画期をなす)を遂げると同時に労働者から完全に見放され、崩壊を開始した。その中でインフレと戦争が生みだしている巨大な階級的怒りと、3労組を先頭とする全国労組交流センター、階級的労働運動の陣形とが広範に結びついていく決定的チャンスが訪れている。3労組が発した共同声明、そして国鉄1047名解雇撤回署名を労働者の中にどんどん持ち込み、今こそ階級的労働運動の大発展をかちとろう。
 広島サミット粉砕決戦と完全に一体で、ますます激化する南西諸島のミサイル基地化=戦場化と真っ向から対決する「復帰」51年5・15沖縄闘争を、青年・学生を先頭に実力で闘い抜こう。さらに軍拡・戦争国会粉砕の闘いは、5~6月にかけていよいよ決戦局面に入る。岸田政権が審議入りを強行した入管法改悪案をめぐっては、立憲民主党が修正協議に応じたことへの抗議も含めて、「廃案しかない!」の声が巻き起こっている。大軍拡のための財源確保法案、軍需産業へのテコ入れのための防衛産業強化法案もすでに審議入りし、またこれらと一体で殺傷能力のある武器の輸出も可能とする「防衛装備移転三原則」の運用方針見直しのための与党実務者協議も始まった。さらには核・原発政策の大転換に向け、原子力基本法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法、再生エネルギー特措法の改悪案を一本化した「GX脱炭素電源法案」もすでに審議入りした。この戦争国会を包囲・粉砕する5~6月国会闘争の爆発をかちとろう。
 星野文昭同志獄死の責任を追及する国賠闘争、そしてついに接見禁止攻撃を打ち破った大坂正明同志の裁判闘争に駆けつけ、絶対に勝利をもぎりとろう。さらに迎賓館・横田爆取でっち上げ弾圧で横浜刑務所に服役する須賀武敏同志への、刑務所当局による医療拒否・虐待(前号既報)を絶対に許さず、須賀同志を防衛・奪還する闘いに立ち上がろう。
 あらためて、一切はG7サミット粉砕の広島決戦にかかっている。決戦の地・広島で戦争絶対反対の大衆的実力闘争を爆発させ、帝国主義戦争の内乱への転化に向かって階級情勢を一変させよう!

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