「戦場視察中」の陸自ヘリが墜落 住民脅かす事故激発許すな

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週刊『前進』04頁(3291号03面03)(2023/04/24)


「戦場視察中」の陸自ヘリが墜落
 住民脅かす事故激発許すな

侵略の主力部隊

 4月6日、陸上自衛隊第8師団の坂本雄一師団長らが搭乗した陸自ヘリコプターが沖縄の宮古島付近で墜落し、全乗員10人が行方不明となった。この事故は、米日による中国侵略戦争情勢の激化、臨戦態勢構築の中で起きた。
 第8師団は熊本市の北熊本駐屯地に司令部を置く約6千人の部隊で、2018年3月にヘリなどの輸送力が強化され、全国に先駆けて「有事」に即応するための「機動師団」に改編された。師団化される沖縄の第15旅団とともに中国侵略戦争の最前線に投入される主力部隊であり、米海兵隊のEABOを共同で担う部隊でもあった。
 だからこそ、3月30日に着任した坂本師団長は直ちに幹部総出で、地対艦ミサイル部隊が配備されており、民間の下地島空港や平良港など「重要インフラ」がある宮古島の現場視察に向かったのだ。防衛省関係者も「着任後ここまで早いタイミングでの視察は聞いたことがない」と語る。4月2日には陸自石垣駐屯地の開設記念式典も開かれた。自衛隊は前のめりで南西地域への展開に踏み出しているのだ。
 昨年12月に閣議決定された安保3文書は、第15旅団以外の全国14の師団・旅団をすべて南西地域への機動展開部隊とすることを決定した。防衛力整備計画にはC2輸送機や輸送船、ヘリ、空中給油機などの配備が明記され、陸自と海自が共同で海上輸送部隊を新編することとなった。
 米軍も横浜ノース・ドック(在日米軍施設)に、南西諸島などに迅速に展開するための陸軍小型揚陸艇部隊を新編する。13隻、約280人の輸送部隊で、米軍のみならず自衛隊の人員・装備・物資も輸送する。
 こうした中で、自衛隊と米軍の事故が相次いでいる。自衛隊では、昨年1月に空自の教導隊のF15戦闘機が石川県の小松基地を離陸した直後に洋上に墜落した。2019年4月にも青森県沖でF35Aステルス戦闘機が墜落している。
 米軍では、直近でも3月に普天間基地所属のAH1攻撃ヘリが火薬を含む部品を落下させた。4月には下地島空港にF16戦闘機が緊急着陸し、1週間以上も居座り続けた。戦争の現実化は、安全や住民の生活など徹底的に犠牲にするのであり、事故・事件を不可避に激発させるのだ。

日米帝に大打撃

 坂本師団長は、統合幕僚監部の防衛班長や、全国の陸自を指揮する陸上総隊司令部の運用部長を歴任してきた人物だ。事故機には坂本や師団ナンバー3の幕僚長を含めて師団司令部の幹部5人、さらに宮古島駐屯地の宮古警備隊幹部も搭乗していた。「前代未聞の事態」「(師団の)意思決定に支障が生じることは避けられない」(防衛省幹部)と、日米帝国主義にとってその打撃は深刻だ。だがそれゆえに、岸田政権はますます改憲・戦争に突き進む以外にない。ますます「戦える自衛隊に」(麻生財務相)転換していこうとしているのだ。反戦闘争の爆発をかちとろう。
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