入管法改悪は戦争準備だ 改悪案審議入り 国会包囲し廃案へ
週刊『前進』04頁(3290号04面01)(2023/04/17)
入管法改悪は戦争準備だ
改悪案審議入り 国会包囲し廃案へ
入管法改悪案の趣旨説明が4月13日に衆院本会議に提出され、翌14日から法務委員会での審議に入った。岸田政権は、過去最大6兆8千億円という大軍拡予算を成立させ、さらに戦争・大軍拡と直結する財源確保法案や防衛産業の生産基盤強化法案などの審議を進めている。入管法改悪攻撃は、こうした戦争攻撃の一環としてある。戦争阻止の国会決戦を闘い抜き、入管法改悪を絶対に阻止しよう。
何が大問題なのか
2022年末時点で、日本に在留する外国人は過去最高の307万5213人となった。厚生労働省の22年10月末時点の統計によると、外国人労働者は過去最高の約182万人。うち在留資格「技能実習」が約34万人、「特定技能」は約13万人。「留学」は約30万人だが、その8割強が資格外労働で働く労働者だ。一方、何らかの事情で在留資格をなくした人(多くは技能実習生、留学生)は、出入国在留管理庁によれば23年1月1日時点で7万491人に上る。
法務省は、「強制処分が確定しても送還を拒む、送還忌避者」が約3200人いることが「国の大問題」だと主張する。
入管庁は「現行入管法の課題」(23年2月)なる文書で入管法改悪の必要性を以下のように展開する。現行法では「難民認定手続中は送還が一律停止」されるため「送還を逃れるため、難民認定申請の誤用・濫用(らんよう)」が発生している。入管収容施設への長期収容は「送還を忌避するから」であり、「病気等のために一時的に収容を解くに過ぎない仮放免許可」を運用しているが「逃亡防止措置が十分でなく、逃亡事案が多数発生」し問題だと言う。
しかし、在留資格がないというだけの外国人に対し、人間の身体を拘束し自由を奪うという最大級の人権侵害を、司法手続きもなく法務省・入管庁が行っていることが大問題なのだ。
かつて麻生が「武装難民が押し寄せて来たらどうするのか」と難民排除を叫んだことが、中国侵略戦争を狙う岸田政権にとって現実の課題になっている。
日本で生き闘う外国人労働者・家族、「在留資格」を奪われた難民申請者・仮放免者——。この「国益に反する」人々は、階級的に団結し、戦争をしなければ生きられない国家を共に打ち倒す仲間だ。
「見捨てられた姉」
2年前の3月6日、名古屋入管でスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が点滴すら受けられずに殺された(餓死!)。遺族が真相究明と謝罪を求めて国家賠償請求訴訟を闘っているが、その裁判でウィシュマさんが亡くなるまでを撮影したビデオの一部が開示され、証拠調べが6、7月に行われる。原告弁護団が4月6日、ビデオの一部を公開した。妹のワヨミさんは「生きようとして見捨てられ生きることのできなかった姉の姿を見て、人間の命の大切さを思い出してください。日本の皆さんには人間の命を大切にする制度をつくる責任があるのではないでしょうか」と語った。戦時入管体制を狙う入管法改悪案への怒りを燃やし、国会闘争に駆けつけよう。絶対に廃案にしよう!