劣化ウラン弾を使うな 英が供与発表 核戦争招く暴挙を弾劾する

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週刊『前進』04頁(3289号03面02)(2023/04/10)


劣化ウラン弾を使うな
 英が供与発表
 核戦争招く暴挙を弾劾する



(写真 甲状腺がんにかかった5歳の男児。2002年12月にバクダッドで撮影された。森住卓氏の写真集『湾岸戦争の子どもたち』より)


 イギリス国防省のゴールディー閣外相は3月20日、ウクライナに供与する主力戦車「チャレンジャー2」の砲弾に劣化ウラン弾が使われることを、議会上院で明らかにした。核戦争も辞さず、人民に一層の苦難を強いて戦争を継続するこの暴挙を徹底的に弾劾する。
 核戦争防止国際医師会議(IPPNW)などが参加する「ウラン兵器禁止を求める国際連合(ICBUW)」は、劣化ウラン弾供与にただちに抗議声明を発表。広島県被団協など広島の七つの被爆者団体も記者会見し、「劣化ウラン弾は非人道兵器であり被爆者として許すことができない」とする声明を発表した。
 他方、ロシア・プーチン政権は「西側は核物質を含む兵器を適用しつつある。ロシアは相応の反応をせざるを得ない」とし、25日にはベラルーシへの戦術核兵器の配備を宣言、米欧がそのような手段に出るなら核兵器の使用をも辞さない姿勢をあらわにした。イギリスの劣化ウラン弾供与を決定的契機として、ウクライナ戦争は一気に核戦争へとエスカレートしつつある。

劣化ウラン弾とは

 ウラン鉱山で採掘した天然ウランを精錬・濃縮すると、核兵器や核燃料に用いる核分裂性のウラン235を多く含む「濃縮ウラン」と、ウラン235の含有率の低い「劣化ウラン」とが作り出される。劣化ウランは、核分裂性ではないがアルファ線などの放射線を出すウラン238が主成分となる。この劣化ウランを兵器に転用し、戦車や戦闘機から発射される砲弾の先端に取り付けたものが劣化ウラン弾である。
 ウランの比重は鉄の約2・5倍、鉛の約1・7倍にもなるため、砲弾の貫通力、射程の長さ、速度、命中精度などを飛躍的に高め、対戦車戦では絶大な威力を発揮する(図)。戦車の装甲に衝突した劣化ウラン貫通体は衝撃と摩擦で3千〜4千度の熱を発しながら装甲を溶かし、中にいた人間が炭化するほど戦車内で激しく燃える。同時に、高熱で液化または気化したウラン化合物が直径10㍈(0・01㍉メートル)以下の微粉末となって大気中に舞い上がり、エアロゾルと呼ばれる状態で周囲にまき散らされ、大気や土壌を著しく汚染する。この微粒子が人体に取り込まれると、肝臓、リンパ節、腎臓、骨髄などに沈着し、内部被曝や化学毒性により深刻な健康被害をもたらす。
 劣化ウラン弾が初めて実戦投入された1991年湾岸戦争以降、イラク人民の間にがん、白血病、脳腫瘍(しゅよう)、先天性形成異常などの健康被害が激増し、最も被害を受けたのが子どもや新生児だった。動員された米軍兵士にもがんや免疫不全など後に「湾岸戦争症候群」と呼ばれる後遺症が発生した。北大西洋条約機構(NATO)軍による95年のボスニア軍事介入、99年の旧ユーゴスラビアへの攻撃でも大量に使用され、現地住民のおびただしい健康被害や「バルカン症候群」と呼ばれる従軍兵士の後遺症をもたらした。2001年アフガニスタン侵略戦争、03年イラク侵略戦争ではさらに大量に使われ、IPPNWによるとイラク北部の激戦地ファルージャでは03〜10年の間にがん発生率が4倍、小児がんは12倍、白血病は38倍となり、新生児の14・7%に先天性異常が見つかった。だが、米英はいまだに劣化ウラン弾との因果関係を否定し続けている。

サミット粉砕を!

 そもそも劣化ウランは、アメリカを含むあらゆる保有国でその保管、移動、使用を厳密に管理し、環境に漏れないよう最大の注意を払うことを国内法で義務付けられる物質だ。それを他国の土地に大量にまき散らす劣化ウラン弾はまぎれもない無差別殺傷兵器であり、国連人権委員会や欧州議会ですら「使用禁止」を決議している。劣化ウラン弾の使用は戦争犯罪以外のなにものでもない。
 ところが米英日をはじめG7に名を連ねる帝国主義は、ウクライナ人民に想像を絶する苦しみをもたらすばかりか、ロシアによる核攻撃をも引き起こしかねないことを百も承知で、劣化ウラン弾をウクライナ戦争に投入しようとしているのだ。5月G7広島サミットは、核戦争を許すのか否かをめぐる歴史的決戦の場となる。杉並区議選決戦に勝利し、核戦争会議=広島サミットを反戦反核の大デモで包囲・粉砕しよう!

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