全学連座談会 共に闘い社会変えよう 実力闘争で戦争阻む

週刊『前進』04頁(3287号02面01)(2023/03/27)


全学連座談会
 共に闘い社会変えよう
 実力闘争で戦争阻む

全日本学生自治会総連合(全学連)はこの間、元首相・安倍の国葬粉砕闘争、沖縄闘争、三里塚闘争をはじめとする実力闘争に立ち、日本の階級闘争をリードしてきた。今回、新入生歓迎の特別企画として、全学連執行部と、最近新たに運動に加わり先頭で活動するようになった仲間に、この間の運動の地平と今後の展望について、大いに語ってもらった。(編集局)

出席者

長江光斗書記長 京都大学
矢嶋 尋副委員長  学習院大学
太田蒼真副委員長 広島大学
三沢明日香さん 京都大学
福田 薫さん 首都圏大学
司会 石田真弓さん 前進チャンネルキャスター



(写真 太田蒼真さん)

(写真 矢嶋尋さん)

(写真 長江光斗さん)

(写真 長江書記長【右】ら2学生がやぐらの上で強制執行を迎え撃った【2月15日 成田市天神峰】)

(写真 市東さんの農地の強制執行に対し12時間にわたり徹底抗戦。女子学生が先頭に立ち、国家権力・機動隊を圧倒した【2月15日 成田市天神峰】)

(写真 国葬阻止 22年9月27日、安倍国葬会場の武道館周辺を騒乱状態にたたき込み、人民の怒りを体現した)

(写真 五輪粉砕 21年7月23日、国立競技場での開会式を直撃)

(写真 沖縄 22年5月15日、宜野湾市での「復帰」50年式典に抗議)

(写真 京大闘争 22年、国際反戦デーの10月21日に京都大学キャンパスで行われた反戦集会)

(写真 訪韓 22年11月にソウルで開催された民主労総の全国労働者大会に、動労千葉訪韓団の一員として全学連も参加。矢嶋副委員長が掲げるのは「労働改悪阻止」のボード)


三里塚は団結し闘う拠点 三沢
自分たちの力を実感した 福田

三里塚の決戦を闘い

 石田 直近では、三里塚闘争で市東孝雄さんの農地を奪う強制執行に対する実力闘争がありました。2月15日夜から翌朝まで12時間以上にわたる機動隊との肉弾戦になりました。
 矢嶋 一言で言って、ものすごく楽しかった。国家権力の弱さを見た。機動隊は市東さんの農地に蛇腹(じゃばら)状の柵を張って、抗議する人を排除しようとしたけど、数時間経ってもまともに張れない。機動隊員は装備を奪われまくってズタボロだった。
 太田 僕は当日は行けなかったんですけど、年末年始は三里塚に泊まり込んだ。ここで三里塚に連帯できなかったら広島の反戦反核もうそになると訴え、たくさんのカンパも集めることができました。全国と現地が一体となった闘いで、決定が出てから3カ月間、強制執行を阻止した。
 三沢 自分が三里塚に本格的に行きだしたのは昨年末から。市東さんの農地は野菜を育てて人の命をつくっている場所であると同時に、そこでみんなで集会をやって団結が生まれ、国家権力に立ち向かう闘いが広がっていく拠点になっていると強く感じた。だからこそ敵はつぶしたいんだなと体感的に理解しました。
 強制執行が来るかもしれないという時、京都からみんなで車をかっ飛ばしながら、どういう闘いができるのかすごく考えた。実際に機動隊が来ていざ闘いが始まると怒りが出てきて、市東さんたち反対同盟と団結してきたこともあって、自分でも驚くくらい戦闘的に闘うことができた。私が機動隊に排除される時、やぐらの上にいた長江さんが機動隊に向かってめっちゃ怒鳴ってて、一緒に闘えてうれしい気持ちがあふれて、こういう団結が生まれることがすごく大事だと思いました。
 福田 年末に強制執行が来る可能性が非常に高いと言われていたので、逮捕されるのかなあと思いながら12月30日に行ったんですけど、結局敵は来られなかった。闘えば国家権力にも勝てると初めて感じたのがこの時だったんです。援農もやって、やっぱり農業って人間が大地と関わりながら物を生産していく、人間のすごく本来的なあり方。その畑をコンクリートで埋めて軍事空港にしようとする国家権力に対する怒りが、現地闘争に参加している過程でふつふつとわいてきた。三里塚闘争が日本の反戦闘争の最前線だということがよくわかった。当日、柵を押し倒して機動隊と肉弾戦をやったり、やぐらの2人が連れていかれる時には何倍もの人数の機動隊をみんなで押し込んだりした。本当に自分たちの力を感じた闘いでした。
 矢嶋 三里塚闘争は国家権力と真っ向から闘って半世紀以上も成田空港の完成を阻んでいる。右翼・国家権力には、どうして市東さん一人の農地をそこまでして守るのか理解しがたいと思う。アメリカの戦略国際問題研究所(CSIS)報告書は、地元の政治的反対をつぶして民間空港を軍事利用できるようにするべきだと書いている。私たちがどうして12時間も徹底抗戦できたかというと、時代認識から敵の攻撃の意図を明らかにして、闘い抜く意志があったからです。三里塚の闘いを「負け」だと捉えている人々は、この時代認識がないから、単なる「機動隊との闘い」だと思っている。実際には日本帝国主義の国家権力そのものと闘って勝利したんです。
 長江 浜田防衛大臣も成田空港を戦争のために利用するとあけすけに語っている。全学連は3カ月間、反対同盟と一つになって最後まで徹底抗戦を貫いて、むしろ闘いが強く広がっている。実力闘争の展望を感じています。多くの学生が三里塚を訪れ、闘いの地平に触れて多くのことをつかんでいると実感しています。
 石田 長江君はやぐらの上にいてどうでした?
 長江 機動隊が何をやっているかがよく見えました。重機が、市東さんが長年耕してきた畑を踏みつぶしたり、敷地内にある全学連の先輩・星野文昭さんの墓を踏み荒らしたり。農民や労働者がどういう思いでこの闘いをやっているか、彼らはまったく考えられない。徹底的に非和解だなと感じました。
 石田 不当逮捕されたわけですが、どうでしたか?
 長江 成田警察署では朝と夕方に「君が代」が流れます。結局は支配階級の利害のための「秩序」を守ることが警察の目的なんだということがよくわかりました。一方で、僕らが実力で立ち上がることに本当に恐怖していると感じた。
 矢嶋 強制執行攻撃の凶暴性は、三里塚や沖縄、福島の怒りを圧殺しなければ戦争ができないという、支配階級の危機的な状況の表れだと思います。
 石田 逮捕された仲間を取り返す「奪還闘争」は、どうでしたか?
 福田 警察署前の街宣などに参加して、逮捕されている仲間との連帯が鉄格子を挟んで生まれていた。逮捕されていた今井治郎さんが出てきた時は言葉にならなくて、治郎さんにヘルメットをかぶせて......非常にうれしかったですね。
 矢嶋 思ったよりうれしかった。奪還ってこんなにうれしいんだって思った。
 長江 獄外の声は本当によく届いて励みになったし、一緒に闘っていく気持ちで完全黙秘を貫きました。本当にたくさんの学生が立ち上がってくれて、団結の拡大を前に、警察もこれ以上はまずいと思ったから釈放せざるを得なかった。多くの学生の決起によって奪還された。
 矢嶋 国や成田空港会社(NAA)が強制執行でやりたかったのは、反対同盟を消耗させて闘争をやめさせることだったと思うんです。だけど強制執行後の朝の反対同盟には勝利感と「ますます闘うぞ」という気概があふれていた。今後の三里塚闘争の一切の前提ができたと思います。
 石田 強制執行の対象として南台の農地はまだ残っている。遠からず決戦はまた来る。「人数が10倍くらいいたら強制執行を粉砕できた」というみんなの実感を現実にしましょう。

反戦闘争の大爆発へ

沖縄戦を繰り返させない 太田
大学―全国で反戦を貫く 長江

 石田 三里塚と並ぶ反戦闘争の拠点・沖縄の闘いについてはどうですか。
 太田 岸田政権は本当に沖縄戦を繰り返そうとしている。防衛省の研究所が提言する「統合海洋縦深防衛戦略」は、米軍が態勢を整えている間、自衛隊が沖縄で時間稼ぎをするというもの。本当に許せない。しかも今度は核戦争の危機をはらんでいる。
 長江 沖縄戦は天皇制維持のための時間稼ぎとして本土決戦に備えて行われた。「軍隊は住民を守らない」という教訓があるけど、自衛隊幹部が「有事には住民を避難させる余力はないから自治体にやってもらうしかない」と語っていたことに明らかなように、自衛隊は結局は国益を守るための軍隊で、その銃は実は僕らに向けられている。
 福田 CSIS報告書も「日本が要」と書いている。その日本、中でも最前線の沖縄で反戦闘争を大爆発させられるかどうかに、米日による中国侵略戦争を止められるかどうかの一切がかかっている。
 三沢 私は去年5月の沖縄闘争で初めて沖縄に行った。沖縄には闘争のために行く感じ(笑)。一番印象深かったのは戦跡めぐり。ガマ(自然の洞窟。沖縄戦で使用された)に行って、破傷風にかかった負傷兵が奥の暗い部屋にぶちこまれて、ご飯も水ももらえずに死ぬまでそこに寝かされていたという話を聞いた。昔の日本であったことという認識だった戦争が、ここに現実にあったし、また行われようとしているという実感を伴うものになった。
 沖縄はいいところですが、同時に、この場所で多くの人が苦しみながら死んでいったんだなと思うたびに背筋が寒くなる。沖縄戦で捨て石にされて、その後も「復帰」とか言いながら日本の国家権力のもとに吸収されて、今でも基地問題に苦しむ人、非正規職で働く人が多い。国家権力の醜悪さが凝縮している。だからこそ反戦闘争の最前線になっているんだなと。本当に沖縄と全国が一体で闘っていく重要さを感じます。
 福田 私も去年の5月に初めて沖縄に行ったんです。その時に辺野古の座り込みにも参加したんですが、現地の指導部が土砂搬入の車両が来たら自分からどいてしまうことに違和感をかなり持った。全学連の先輩たちが「闘いきれないのはすごく悔しいけど、ここでちゃんと実力で闘い抜けるようにするためには、自分たちが沖縄や辺野古の闘いに責任を持てる勢力として登場していくことだ」と話していて、そこでなすべきことを自覚した。沖縄に行くと決めたのは興味本位な部分があったけど、沖縄の戦跡めぐりもして、こんなことは絶対繰り返しちゃいけないと思ったし、運動を外から眺めるような存在でいるわけにはいかないと、かなり意識を変えた。
 矢嶋 元防衛省幹部が、辺野古での新基地建設を強行するのは沖縄の「戦意をくじく」ためだと言っている。三里塚と同じで、戦争をやるために反戦運動をつぶす攻撃として辺野古新基地建設がある。そういう中で、福田さんみたいに現地の闘いに触れて新たな人が決起してくることに展望を感じます。
 三沢 私はずっと京都大学で運動をしてきたんですけど、沖縄で戦争に対する怒りを獲得した。辺野古の座り込みで機動隊が来たら(座り込みをやめて)立つ方針にすごくびっくりして、ずっと続いていて多くの人が関心を持っている闘いでもこういう形でしかできないことに絶望を感じた。だけど、機動隊と真正面からぶつかろうと思える闘いを京大でつくろう、それで辺野古の座り込みを盛り上げていこうと。
 2月は三里塚で闘い抜いてすぐ沖縄闘争に行った。三里塚で12時間機動隊とぶつかった後に辺野古ではスッと立つのは悲しい気持ちになったけど、やっぱり三里塚みたいな死闘を日本中でやって、辺野古でもぶつからざるを得ないような情勢にしていきたいです。
 長江 京大の闘いと沖縄、三里塚の闘いは不可分。京大で運動に関わった人が処分される現状に対して実力で闘ってきたことが、全国的な反戦闘争での実力闘争の一つの火種になったと思います。大学でも軍事研究がどんどん進められようとしているし、大学での闘いと全国での反戦運動を一つの闘いとしてつくっていきたい。
 太田 順番は前後するけど、昨年9月の元首相・安倍の国葬反対の闘いは大きかった。われわれだけなんですよね、戦争反対の闘いとして国葬反対の闘いに立ったのは。思想・良心の自由や立法、税金の無駄使いとかだけの問題じゃなくて、岸田政権が本当に戦争に突き進んでいく中で安倍政治を賛美する攻撃だとしっかり捉えて、国会前ではなく国葬会場の武道館前で闘い抜いたのは、実力闘争の復権という意味でもウクライナ反戦を闘っていく上でも、大きい転換点になったと思う。
 長江 自分たちがどういう時代にいるのかをしっかり見ることができるからこそ、ウクライナ戦争や国葬の階級的本質も戦争情勢との関係で明らかにできた。時代認識があるからこそ、しっかりと路線をつくって闘うことができると思っています。三里塚や沖縄、大学など個別のテーマについてもまったく一緒です。

「政治と暴力」奪還を

全学連と共に闘おう

闘えば展望が見える 矢嶋
女性が闘いの先頭に 三沢

 石田 実力闘争に込めている思想や考え方について話してください。
 長江 沖縄での新基地建設にしろ、2021年の東京オリンピックにしろ、国葬にしろ多くの反対の声があった。でも既成左派は闘いをやりきれない中で、僕らは怒りを真正面から体現しようとやってきた。一方で、ここが敵のアキレス腱(けん)だということも見据えてきた。あれだけ人民の怒りがありながら強行するところに支配階級の抱える矛盾があって、これに対し全力で闘いを構えた。敵を圧倒する団結をつくるものとして実力闘争を構えることがすごく大事だと思います。
 福田 実力闘争は人民の怒りを解き放つものだと思うんです。体を張って自分たちの力で社会を変えていく実感がすごくあるし、現状に怒る若者を獲得していく力がある。
 矢嶋 政治と暴力が支配階級に独占されて、労働者階級から奪い尽くされている現状が今の社会。日本共産党などは「選挙で世の中を変えよう」と言っているけど、この現状を変えることなしに投票率だけ上がるなんてことないと思う。
 石田 この間、全学連が闘いを前進させていく中で、矢嶋副委員長を先頭に女子学生、女性の決起がどんどん始まってきている。女性差別との闘い、女性の解放という点でも、核心は「政治と暴力の奪還」。洞口朋子さんも女性の全学連活動家として長年やってきて、4年前に杉並区議選で当選してこの春再選を目指して頑張っているところですが、選挙や女性解放のことについてはどうですか。
 三沢 この2~3月の過程で女子学生が先頭に立ってきたのはすごいこと。例えば学校の運動会で「女子は踊って男子は騎馬戦」みたいな、そういう区別もずっとされてきて、肉体的な衝突ってずっと「やっちゃいけないもの」だった。そうやって教育されてきた中で、三里塚だけじゃなくていろんな闘いの中で「女子が前に出るのを止めない」というのは感動的なことだと思っていて。自分の中にある「こういうの、やっていいのかな」ということをみんなでのりこえていくことにすごく感動している。この春に入学する女子学生と、ぜひ一緒にそういう闘いをやりたい。
 福田 私はトランスジェンダーで、全学連として闘っています。今、リベラルを名乗る勢力や日本共産党スターリン主義が、「ジェンダー平等」と言いながら女性やセクシュアルマイノリティーのような抑圧に苦しんでいる人たちを体制内に引きずり込んでいくという本当に許しがたいことが行われている。差別の根源は資本主義・私有財産制だし、この差別を終わらせる力は女性やセクシュアルマイノリティー自身が革命の主体として決起して共に闘っていくこと。全学連はそのための闘いを苦闘しながら切り開いてきたし、さらに前進をかちとっていくため、私もその一員として頑張る決意です。新入生の、特に女性やセクシュアルマイノリティーのみなさんも、ぜひ全学連で一緒に闘いましょう。
 三沢 女性差別が最もわかりやすい形で激しく現れるのがハラスメント。ハラスメントを受けて、それに対して立ち上がる決断をすることが今の社会ではすごく難しい。自分の経験を交えて言うと、ハラスメントを受けた時、まずそれが女性差別が形をもって現れたものだと理解することが大変。社会の問題だと捉えて、自分の身に降りかかる抑圧も、自分の決意と仲間との団結ではね返していく。そういう決断をすること自体が闘いの一部なので、今苦しんでいる人たちにはぜひ一緒に闘おうと言いたいです。
 太田 戦争へ向かう中で女性の心身が奪われ尽くしています。議会もどんどん翼賛化していく中で、だからこそ戦争絶対反対の女性の議員、革命的議員を出していきたい。杉並区議の洞口朋子さん、大阪・高槻市議選に挑戦する村山裕子さん、広島・安芸太田町議の大江厚子さんが闘っていることがすごく重要です。
 石田 4、5月だけを見ても大決戦です。それも含め新入生へメッセージをお願いします。
 太田 新入生のみなさん、広島はすごい決戦です。『はだしのゲン』と、アメリカの水爆実験によって被曝した漁船「第五福竜丸」の記述を平和教材から削除して、5月、主要7カ国(G7)広島サミットで平和公園に核のボタンを持ち込もうとしている。岸田政権、全世界の帝国主義者どもが広島で世界戦争・核戦争にお墨付きを与えることを狙っている。逆に言えば、ヒロシマの怒りをつぶせなかったら、世界戦争・核戦争なんてできないんだということです。このG7サミット、戦争会議を一緒に蹂躙(じゅうりん)しましょう。
 長江 実力闘争で闘っている学生の生き生きとした顔に、この先に人間解放があると感じています。帝国主義に利用される大学を解体して、僕らのための本当の大学をつくっていきたい。ぜひ、全学連に結集して自分たちのもとに政治と暴力を取り戻していく闘いを一緒にやりましょう。
 三沢 受験戦争とか「人よりも優れよう」という教育、「優れていないやつは自分のせいだ」というイデオロギーが世の中にはあふれているけど、それらをのりこえて一緒に闘う生き方もある。楽しいですよ。
 福田 アメリカは「数年後に中国と戦争をやる」と言っていて、岸田政権も中国侵略戦争にのめり込んでいる。戦争か革命かの重要な分岐の時代にいると思います。戦争を止めて社会を変える力は学生自身にある、未来は私たちの手の中にあるということを確信して共に闘いましょう。
 矢嶋 新自由主義の崩壊の中で今の社会、ある意味「お先真っ暗」じゃないですか。絶望を感じながら生きている人は多いと思うんですけど、闘えば全然違った景色が見えてくる。自分たちの力を改めて知ることができるし、展望を感じて生きていくことができます。ぜひみんな学生運動をやりましょう。    

このエントリーをはてなブックマークに追加