新入生歓迎特集 戦争とめる学生運動を ウクライナ反戦デモへ 全学連委員長 赤嶺知晃(沖縄大学)
新入生歓迎特集
戦争とめる学生運動を
ウクライナ反戦デモへ
全学連委員長 赤嶺知晃(沖縄大学)
「前進」読者のみなさん、とりわけ新入生のみなさん! 3月21日、岸田首相がウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領と会談を行いました。5月の主要7カ国首脳会議(G7サミット)を前に、岸田はウクライナ戦争への日本の参戦に向けて決定的に踏み込んだのです。これに先立つ18日には、私の住む沖縄県の石垣島に開設された陸上自衛隊駐屯地に、ミサイル兵器と弾薬が搬入されました。私たち全学連は現地住民と共に抗議闘争を闘い、その様子は全国ニュースでも取り上げられました。岸田政権はウクライナ参戦と一体で、沖縄を再び戦場にすることを前提にして中国との戦争の準備を具体的に進めているのです。絶対に許せません! 今、時代が必要としているのは、戦争絶対反対を貫く学生運動の力強い登場です。「ウクライナ戦争いますぐやめろ!」「米日による中国侵略戦争=世界戦争・核戦争絶対阻止!」を掲げ、共に反戦デモに立ち上がりましょう!
全世界で反戦闘争が拡大
「軍隊は住民を守らない」----これは沖縄県民の4人に1人が亡くなった沖縄戦の血の教訓です。沖縄の人々は、米軍によってのみ殺されたのではなく、日本軍によっても殺されたのです。これが戦争というものの本質であることは、今のウクライナを見ても明らかです。ウクライナ軍とロシア軍の双方が病院や学校、原発を盾にして軍事戦略を展開し、民間人が巻き込まれようが核惨事が起きようが構わないとばかりに戦闘を繰り広げています。戦争で最優先されるのは、いつでも国家の利益と軍隊の都合なのです。これに対して戦争絶対反対の思いは、ウクライナ・ロシア双方の民衆にとっても、日本を含む全世界の民衆にとっても共通の真実です。
ロシア兵の母や妻たちは今、「兵士は前線に派遣され、敵の大砲の餌食にされている」「訓練もなく戦地に放り込まれている」とプーチンに猛然と抗議して闘っています。また北大西洋条約機構(NATO)諸国でも次々と反戦デモが爆発し、イギリスでは「ロシアの侵攻反対・NATO反対・核戦争反対」のスローガンを掲げて2万人がデモ。ドイツやフランスなどの主要都市でも「ウクライナに武器を送るな」「ただちに停戦を」などをスローガンに反戦デモが相次ぎ、イタリアの港湾ではウクライナ行きの武器弾薬の荷揚げを拒否するストライキが闘われました。アメリカでも「これ以上1セントもウクライナ戦争に出すな」「NATOを解体しろ」の声が上がっています。
中国への侵略戦争に突き進む米日
ウクライナ戦争は、単なる「プーチンの戦争」でも「ロシアとウクライナの戦争」でもありません。アメリカによる開戦以来の対ウクライナ軍事支援総額は298億㌦(約4兆円)となり、開戦前のウクライナの年間軍事予算の実に5倍にも達します。米英独などの主力戦車の大量供与に続いて戦闘機の供与も始まろうとしています。もはやこの戦争が、ウクライナを前面に立たせた〈米欧による対ロシア戦争〉であることは明白です。
そして重要なことは、ウクライナ戦争は、アメリカによる中国に対する侵略戦争戦略の一部でもあるということです。バイデン政権は昨年10月発表の国家安全保障戦略(NSS)で、中国を米国にとっての「唯一の競争相手」と位置づけ、「中国を打ち負かし、ロシアを抑えつける」と明記しました。世界第2位の経済大国・中国との戦争=世界戦争を全面的に構えていくことを宣言したのです。
アメリカの有力シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が今年1月9日に発表した報告書は、中国と戦争になれば「近年にない死傷者が出る」「1日あたりの死者は140人となる」「ベトナム戦争での1日あたり30人、アフガニスタン戦争での3人に比べて格段に多く、第2次大戦当時の300人に迫る」などと分析。そして「(中国に勝つためには)重大な死傷者に直面しても作戦を継続する必要性を認識せよ」と明記しました。南西諸島が戦場となり、膨大な数の住民が死傷することも承知の上で、あくまで戦争を完遂し中国を「打ち負かす」ことを求めているのです。
戦争の元凶は資本主義だ
なぜ米日政府は、これほどの犠牲が出ることも辞さず、中国との戦争に突き進もうとしているのでしょうか? それは、戦後世界の圧倒的な基軸国であったアメリカが、今や経済的にも政治的にも没落し、基軸国として世界に君臨し続けることができなくなりつつあるからです。
アメリカ経済は、08年リーマン・ショック後の大恐慌から根本的に立ち直れないままコロナ危機を迎え、今や新たなバブル崩壊と恐慌の再爆発の危機に直面しています。3月10日と12日には、それぞれシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行が破綻しました。破綻規模はリーマンに次ぐ史上2番目と3番目で、米経済の危機の深刻さを示しました。一方で中国は、08年以降急速に世界経済における存在感を増し、アメリカの地位を脅かすほどの生産力水準、技術水準、世界的膨張力をもった国家として台頭しました。このような中国をもはや軍事的手段による以外に「打ち負かす」ことができないがゆえに、アメリカは中国との戦争の準備を急いでいるのです。
加えて米国内では新たな労働組合の結成が相次ぎ、階級対立・階級闘争が激化して内乱的事態となっています。バイデンら米国支配階級は、中国やロシアへの敵意と排外主義をひたすらあおり、戦争に持ち込んでいく以外に、国内の不満や怒りの爆発から逃れる術がないのです。
このような資本主義・帝国主義の歴史的な行き詰まりと危機こそが、戦争の元凶にほかならないのです。
5月広島サミット粉砕へ
全学連は一昨年の東京五輪粉砕闘争以来の過程で、自らの闘いによって日本帝国主義の政治支配をグラグラに揺さぶってきたと自信を持って言うことができます。それは戦争と新自由主義大崩壊に対する多くの労働者学生の怒りと自分たち自身の怒りを重ねて共に闘い、闘いの隊列に新たな仲間たちを次々と迎えて来たことによって実現されてきました。今年は5月に広島で開催されるG7サミットを大焦点として目下闘い抜いています。
今回のサミットは、帝国主義強盗の首脳が集まってウクライナ戦争―中国侵略戦争=核戦争・世界戦争を推進するものになるほかありません。岸田は、G7首脳の中で唯一ウクライナを訪問できていなかった状況を打破するために、今回の「電撃訪問」を強行しました。憲法9条のもとで課せられてきた「戦争ができない国」という制約を取り払おうと、凶暴さをあらわにしているのです。「反撃能力」と称する長射程ミサイルの保有、空前の大軍拡などを明記した安保3文書の閣議決定に続き、韓国との「徴用工」問題の無理やりの解決策動など、過去の戦争犯罪の歴史を塗りつぶす攻撃も激化しています。
イギリス国防省は3月21日、イラク戦争などで大量に使用され、放射能汚染によるおびただしい被害をもたらした「劣化ウラン弾」をウクライナへ供与すると発表しました。核と戦争に絶対反対の声を上げ続けて来た広島・長崎の被爆者を踏みにじり、再び核戦争を繰り返そうとしているのは、岸田らG7の頭目たちです。広島サミットを怒りの大反戦デモで包囲し粉砕しましょう。それこそ、ウクライナやロシアをはじめ全世界の労働者人民と連帯する道です。
世界戦争・核戦争を阻止し、労働者階級と共に社会の根底的変革をかちとる闘いに、全学連と共に立ち上がりましょう!