国が全住民情報を掌握 徴兵に至るマイナ法の大改悪
週刊『前進』04頁(3285号03面04)(2023/03/15)
国が全住民情報を掌握
徴兵に至るマイナ法の大改悪
岸田政権は3月7日、マイナンバー(個人番号)関連の約60本の法律を大改悪する「束ね法案」を閣議決定した。今国会で法律を根本から変え、個人番号と住民情報のひも付けを、法改定によらず政省令だけで際限なく拡大できるようにすることを狙う。「税・社会保障・災害対策」に限られていた法の枠組み自体をも踏み越える攻撃だ。
全国の自治体が制定し規制してきた個人情報保護条例は解体され、国家による全個人情報の統合・掌握が進められる。それは徴兵に至る実質改憲・戦時国家体制への全面的転換である。
法律の縛り外しひも付け自由に
今回の法改悪は、戦時下の「総背番号制度」としての本質をむき出しにして、個人情報保護の留め金を最後的に外す攻撃だ。国のあり方は根本から変わる。マイナンバー制度は2016年に始まったが、個人情報とのひも付けは遅々として進まなかった。それが日帝ブルジョアジーが「デジタル化が遅れている」とすることの真意だった。だからこそ今回の法改悪で、自治体や年金機構が持つ住民の銀行口座番号を強引にひも付け、収入・資産を国が直接掌握・利用できるようにする。30日以内に拒否する意思を示さない限り同意したとされ、軍事費のための徴税強化と社会保障給付削減のために使われる。
すでに、自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)と称して、各自治体が意識して分離してきた住民情報の基盤を統一し、国が一元的に利用できるようにする改変が始まっている。さらに4月からは改悪個人情報保護法が施行される。自治体ごとの保護条例ではなく「官民や地域の枠を超えたデータ活用」を掲げた全国統一ルールの下で情報保護審議会の調査や事前諮問も制限される。
募兵対象名簿の一元管理を狙う
重大なのは自衛官の募集年齢を迎える青年の名簿情報だ。戦争が現実に迫る中で自衛官の退職が激増し、20年10月の資料では、中途退職者は10年間で4割増え年間約4700人、新規採用者の3分の1に相当する。兵器だけでは戦争はできない。日帝・岸田にとって、大軍拡と共に戦場に送る兵士の確保=募兵が大問題になっている。こうした戦争情勢下で、自治体当局による募兵名簿提供に、杉並や沖縄など全国で反対運動が巻き起こっている。労働者住民が戦争動員を拒否し絶対反対で闘えば戦争は止められる。
3兆円超の飴と鞭をぶっ飛ばせ
戦時体制の構築へ、岸田はマイナンバーカード普及に3兆円超の予算を投入。カード拡大とDXを進める自治体に交付金を上乗せしマイナポイントの飴(あめ)を与える一方、国民健康保険証・介護保険証の廃止・マイナ保険証義務化の鞭(むち)でカード取得を推進。これに対し医療・介護現場や地域で激しい反対運動が展開されている。戦争国会を粉砕し、マイナ法改悪阻止、4月統一地方選の勝利をかちとろう。