九州・沖縄で日米共同訓練 アイアン・フィスト23 対中国想定し上陸作戦
週刊『前進』04頁(3285号02面04)(2023/03/15)
九州・沖縄で日米共同訓練
アイアン・フィスト23
対中国想定し上陸作戦
(写真 8・6ヒロシマ大行動実行委が海自呉地方総監部に広島湾での日米演習反対の申し入れ【3月7日 呉市】)
2月16日に陸上自衛隊日出生台演習場(大分県)で始まり、徳之島(鹿児島県)などを舞台に展開されてきた米海兵隊と陸自の共同訓練「アイアン・フィスト23」が、3月5日から沖縄県内での訓練を本格化させた。名護市辺野古沿岸部に隣接する米軍キャンプ・シュワブの水域やキャンプ・ハンセン、金武ブルー・ビーチ訓練場などが使用され、宜野座村での訓練に伴い国道329号を横断するなど、訓練部隊の公道使用も行われている。
徳之島では、沖合に戦車や戦闘機を艦載した揚陸艦が展開され、上空をオスプレイが飛び交う中、水陸両用車AAV7や揚陸艇LCACを使った上陸訓練やパラシュート降下訓練が行われた。2月20日には訓練に参加する米強襲揚陸艦「アメリカ」が大阪港に初めて入港。これと連動し、米海軍と海上自衛隊も広島湾で初の共同訓練を行った。
もともと「アイアン・フィスト」は、自衛隊が水陸両用作戦能力を獲得することを目標として、その本家である米海兵隊から直接手ほどきを受けるために、2006年以来カリフォルニア州の基地などで行われてきた。米海兵隊が第2次大戦以来「お家芸」としてきた上陸作戦のノウハウを学ぶことが主眼とされる。名目上は「他国に占領された離島を奪還するための訓練」と称しているが、その内容は敵勢力をせん滅・掃討しながら上陸を強行する「強襲上陸」であり、他国に対して殴り込みを仕掛ける場合と何ら変わらない。
海兵隊の再編計画
訓練の蓄積を経て、18年3月に「日本版海兵隊」こと陸自水陸機動団が創設され、今年「アイアン・フィスト」が初めて日本で行われるに至った。昨年11月の日米共同統合演習「キーン・ソード23」に続き、中国との戦闘をリアルに想定した大規模訓練となった。訓練の開始に先立ち、米海兵隊トップのデビッド・バーガー総司令官は日本経済新聞のインタビューに答え、「台湾有事」における中国軍との戦闘を念頭に、自衛隊から武器の修理部品や弾薬の補給を拡大する態勢づくりを目指す考えを表明した。また、沖縄駐留の第3海兵遠征軍などを改編して25年までに「海兵沿岸連隊(MLR)」を創設することを前提に、「海兵隊の活動は自衛隊と極めて緊密になる」と述べた(2月17日付日経新聞)。従来の海兵隊と比べ、MLRは「伝統的な上陸作戦は想定せず、制海権を争う海軍の支援を担う」(同)ことと、部隊を分散して展開する「遠征前進基地作戦(EABO)」を実行することが主な任務になるという。
こうした構想のもとで、自衛隊の役割は補給などの単なる「後方支援」にとどまらず、大量の死傷者を出すことを不可避とする上陸作戦を米海兵隊に代わって担うことになる。「アイアン・フィスト」はそのための訓練であり、中国侵略戦争に向けた自衛隊の文字通りの侵略軍隊化を図るものにほかならない。