戦争推進派へ転向する日本共産党 帝国主義と一体化し祖国防衛叫ぶ 党員除名問題で危機と破産を露呈
戦争推進派へ転向する日本共産党
帝国主義と一体化し祖国防衛叫ぶ
党員除名問題で危機と破産を露呈
ウクライナ戦争開戦から1年。主要7カ国(G7)に名を連ねる米欧日帝国主義諸国は、向こう5年以内にも中国侵略戦争に踏み込むことを想定し、中国・ロシアを相手にした世界戦争の一環として、現在の〈ウクライナを前面に立たせた対ロシア戦争〉を果てしなく激化させている。そのような帝国主義の世界戦争の要をなすものとして、岸田政権は大軍拡と日本の参戦国化を急いでいる。こうした中、連合の崩壊・産業報国会化と並んで一挙に進行しているのが、日本共産党の戦争翼賛勢力への総転向だ。この間、志位和夫ら党執行部を激しく揺さぶっている「党員除名問題」は、日本共産党が戦時下において祖国防衛主義・排外主義を公然化させてきたことの必然的産物であり、その最後的破産を刻印する事態にほかならない。
ウクライナ反戦闘争に敵対
今日の日本共産党の戦争翼賛勢力への転向は、どのように具体化しているか。
第一に、「ウクライナ戦争をやめろ!」という全世界で闘われている反戦闘争と自国政府打倒の闘いに敵対し、米帝をはじめとする北大西洋条約機構(NATO)の側に立って戦争をあおっていることである。
日本共産党は昨年2月の開戦以来、ウクライナ国旗の色を党のシンボルカラーに採用し、米欧日帝国主義と完全に同調して、この戦争を事実上後押ししてきた。「停戦」や「和平」を求めることすらせず、ロシアへの経済制裁を声高に要求し、米欧による大量の武器供与も何ら問題にしなかった。そして昨年3月のゼレンスキーの国会演説を自民党などの他党と共にスタンディングオベーションで迎え、「祖国を守り抜くという強い決意がひしひしと伝わってきた」(志位委員長)と絶賛した。
「ウクライナ侵略と日本共産党の安全保障論」と題した昨年4月の志位の講演では、ウクライナ戦争への対応の「最大の基準」は「国連憲章と国際法」であるとして、NATOの東方拡大などは「国連憲章を蹂躙(じゅうりん)したロシアの侵略の免責にはなりません」と主張。「ロシアに歴史的に流れる覇権主義がプーチンをかりたてた。そこに(戦争の)一番の原因がある」として、戦争の階級的本質など一切問題にせず、ただロシアを「国連憲章違反」のかどで一方的に非難すればいいと強弁した。このような主張は、現に始まった戦争を止める力には少しもならないばかりか、実際に戦争を準備し、戦争を引き起こし、戦争を拡大させている米欧日帝国主義を免罪することで、ウクライナ戦争―世界戦争に加担するものでしかない。
「プロレタリアは他国の労働者・兵士と互いに撃ち合うことを一個の犯罪とみなす」(バーゼル宣言)。全世界の労働者階級と共産主義者の任務は、「戦争のすみやかな終結のために手を尽くし、戦争がもたらした経済上ならびに政治上の危機を、国民をゆりおこすために利用し、それによって資本主義的階級支配の排除を促進する」(同)ために闘うことである。日本共産党の敵対を打ち破り、バーゼル宣言を貫徹する「戦争を内乱へ」の闘いを断固推し進めよう。
排外主義あおり日帝に加担
第二に、米日帝と一体となって中国への排外主義をあおり、中国侵略戦争の「挙国一致」体制づくりに協力していることである。
「尖閣諸島は日本固有の領土」と叫ぶ日本共産党は、20年1月の第28回党大会で、当時の安倍政権に対して「中国の横暴な振る舞いについて、真正面から抗議し、是正を求めることをしていない」と右から批判する「決議」を採択。さらに昨年4月には、「台湾有事」が釣魚台(尖閣諸島)に波及する事態を念頭に、「急迫不正の主権侵害が起こった場合には、自衛隊を含めて、あらゆる手段を行使して国民の命と日本の主権を守り抜くのが党の立場だ」(志位委員長)と主張した。「台湾有事」に自衛隊が参戦して中国と交戦することになっても共産党は反対しないということであり、自衛隊員に対して「命をかけて中国と戦え」と要求するということだ。
現に今、「中国を打ち負かす」(米国家安全保障戦略)ための米日帝の侵略戦争が、「台湾有事に備えろ」の大宣伝と一体で着々と進められている中で、中国への排外主義を積極的にあおる日本共産党は、最悪の戦争推進勢力の役割を担っているのだ。
第三に、こうしたロシアや中国への排外主義の大宣伝と一体で、「憲法9条は無抵抗主義ではない」「個別的自衛権は9条のもとでも国家の自然の権利として存在する」として、現行憲法下でも「国家の自衛権」を掲げれば戦争ができると主張し出したことである。「戦争だけは何としても止めたい」「憲法9条を守りたい」との思いで日本共産党に支持あるいは期待を寄せてきた人々を傲然(ごうぜん)と裏切るものだ。
そもそも日本共産党は、あたかも国家が永遠の生命力をもって自然に存在し続けるかのように描き、資本主義のもとで厳然たる階級対立が非和解的に存在することを覆い隠し、国の主権や領土を守ることが国民の共同の義務であるかのように主張する。だが賃金奴隷制の上に成り立つブルジョア国家は、資本主義の階級支配を維持するための暴力装置以外のなにものでもない。このような国家が行う戦争で労働者階級人民の命や生活が守られるはずもなく、一握りの支配階級の利益と延命のために無数の人民を殺し合わせることにしかならないことは、2度の世界大戦をはじめ歴史が証明する通りである。
今こそ反帝・反スタの党を
こうした日本共産党の一線を越えた転向を背景に、党の政策委員会安保外交部長も務めた松竹伸幸が「共産党は日米安保堅持の立場を明確にすべきだ」と主張し、党首公選制を要求して著書の出版と記者会見を行った。これを受けて党執行部が松竹を除名処分としたことに対し、大手マスコミなどが一斉に批判し、松竹の応援団となって登場するに至った。
「自衛隊を活かす:21世紀の憲法と防衛を考える会」事務局長でもある松竹は、日本共産党が事実上は「安保・自衛隊活用論」に踏み切っているのに綱領では依然としてあいまいな規定を続けている点を猛然と批判し、「これでは野党共闘も進まない」「他党から信用されない」として、一層の翼賛勢力化を要求している。防衛省・自衛隊元幹部ともつながる松竹の動きの背後には、中国侵略戦争に向けて日本共産党とその影響下にある人々を全面的に屈服・転向させようと狙う日帝国家権力の激しい階級意思がある。
他方、志位ら党執行部の立場は本質的には松竹と変わらない祖国防衛主義・排外主義だが、かといって松竹のようなむき出しの「日米安保堅持」論を採用すれば、「左翼の仮面をかぶった反革命」というスターリン主義政党としての使命も存立も全うできなくなる。それゆえ志位らは「一発除名」という官僚的行政処分で松竹排除を試みたが、そのことによって逆にスターリン主義的本質を満天下にさらけ出すことになった。松竹問題は、2015年以来の「野党共闘」路線の無残な破産、国政選挙での相次ぐ大惨敗、党勢の急速な衰退とあいまって、日本共産党の組織崩壊的危機を激しく進行させている。
「戦争協力か、それとも内乱=革命か」。中間の立場はなく、一切のあいまいさが許されない時代だ。青年・学生を先頭に、戦争を内乱に転化する荒々しい実力闘争を展開し、それを通じて今こそ反帝・反スターリン主義の革命党建設を圧倒的に推し進めよう。4月杉並区議選で、「戦争絶対反対」を貫く洞口朋子区議の再選をかちとろう。
【志位和夫の講演(昨年4月)での発言】
・「戦争を放棄し戦力の保持を禁止した9条のもとでも、個別的自衛権は、自然の権利として存在する」
・「9条は無抵抗主義ではない、急迫不正の主権侵害が起こった場合には、この権利(個別的自衛権)を行使して、それを排除するためにたたかう」
・「私たちは、この問題(ウクライナ戦争)への対応の最大の基準を、国連憲章と国際法においてきました」
・「(NATOの拡大、域外派兵などの)軍事同盟の問題は、国連憲章を蹂躙したロシアの侵略の免責にはなりません」
・「(戦争の原因は)ロシアに歴史的に流れている覇権主義にある。これが彼(プーチン)をかりたてて侵略に向かわせた。そこに一番の原因がある」