米英でウクライナ反戦デモ NATOと自国帝国主義に怒り
米英でウクライナ反戦デモ
NATOと自国帝国主義に怒り
ウクライナ開戦1年に際し、戦争の主導国アメリカでも、それに次ぐ戦争推進国イギリスでも大規模な反戦闘争が組織されている。アメリカ帝国主義と北大西洋条約機構(NATO)の戦争に真っ向からノーを突きつける、巨大な反戦闘争のうねりが始まった。
イギリスで2万人決起
英ロンドンでは2月25日、英反戦連合(STW)と核軍縮キャンペーン(CND)の呼びかけで「ロシアの侵攻反対・NATO反対・核戦争反対」をスローガンに集会・デモが行われた。戦争翼賛放送局であるBBCの本部前に2万人が結集し、「直ちに和平を!」「賃金だ! 武器ではない!」などのプラカードを掲げ、市中心部へデモを行った。
STWとCNDは開戦直後からロシアの侵攻に反対するとともに、NATOの東方拡大とウクライナへの軍事支援に反対してきた。しかし、集会参加者に対してメディアは「侵略者プーチンの肩を持つのか!」と総攻撃し、労働党やイギリス労働組合会議(TUC)本部は処分・統制攻撃をかけた。「左派」と言われてきた諸潮流の一部も、NATO批判は「防衛戦争を闘うウクライナ人民への裏切り」であるとして攻撃するなか、反戦闘争の組織化は困難を強いられてきた。
しかし、今回の行動はこうした力関係を突破し、広範な労働者人民の怒りを解き放つものとなった。その背景にあるのは「1926年ゼネスト以来」と言われる昨年来の巨大ストライキの波だ。鉄道・海運・運輸労組(RMT)を先頭に看護師や救急隊員、教師などあらゆる部門の労働者が戦時下の物価騰貴に対して生きるためのストに立ち上がっている。イギリス労働者階級は職場での闘いを通してウクライナ戦争の本質をつかみとったのだ。
他方で「反戦連合弾劾」「ウクライナ支持」を掲げたカウンターデモの参加者は約200人にとどまり、反戦デモに圧倒された。
アメリカ各地で「憤怒」
2月19日には米首都ワシントンで「戦争マシーンへの憤怒」と題して集会・デモが行われ、約2千人が結集した。「これ以上1セントもウクライナ戦争に出すな」「戦争インフレを止めろ」「NATO解体」「世界的核軍縮」「国防予算カット」「戦争と帝国の廃止」などを掲げる統一戦線集会だ。全国各地でも同様の集会が開催された。
これはリバタリアン党とさまざまな左翼的な反戦団体・諸個人の統一戦線であり、当然にも多くの批判があった。だが主催者の思惑とは別に多くの労働者人民が結集し、この間で最大規模の全国反戦集会となった。米帝バイデン政権が、「プーチンの残虐な戦争」をかたり、ウクライナ戦争をエスカレートしていることに憤怒が沸騰しているからだ。「全世界700万人以上のコロナ死者の現実、ウクライナ開戦の半年前まで続けたアフガニスタンでの戦争、現在も続くイエメンなどでの戦争の責任者は誰だ! 超インフレで労働者を苦しめているのは誰だ!」という米労働者階級の怒りは根底的だ。
3月にも「戦争を止め人種主義を終わらせるため今こそ行動を」(ANSWER)などの統一戦線集会、「イラク開戦20年・ウクライナ反戦集会」が行われる。全世界の反戦闘争と連帯して闘おう!