コロナ「5類移行」は戦争攻撃 国の責任放棄し大軍拡へかじ切る 東京労組交流センター医療福祉部会 新井佳世子

週刊『前進』04頁(3282号04面03)(2023/02/20)


コロナ「5類移行」は戦争攻撃
 国の責任放棄し大軍拡へかじ切る
 東京労組交流センター医療福祉部会 新井佳世子


 私は特別養護老人ホームで看護師をしています。この度、岸田政権が決定した「新型コロナウイルス(以下コロナ)の感染症分類を『5類』に移行する」という政策に対して、心の底からの憤りを感じています。それは「社会保障費を軍事費に移行する」大転換であり、戦争攻撃そのものだからです。
 感染症分類が「2類相当」である今でさえ、医療・介護現場はギリギリの状態です。2022年末には、17時間休みなく活動した救急隊員が「眠気に襲われて」横転事故を起こすという事態も発生しました。
 私が勤める介護施設でもこの3年間、何度もクラスターが発生しました。コロナの感染拡大が始まった当初は「介護施設で感染者が出たら直ちに入院させる」と言われていたのに、実際には酸素や点滴が必要な方しか入院できず、それ以外の方は施設で看(み)なければなりませんでした。
 そうすると、陽性者を介護した職員が感染したり、病原体保有者とは知らずに接触した入所者同士が感染したりして、たちまちクラスターになるのです。いざ入院となってもすぐに救急車は来ませんし、近隣の病院に空きがなければ東京都全体で空きベッドを探します。先日は、陽性者が練馬区から20㌔も離れた大田区まで搬送されました。今は自治体が仲介していますが、5類になったら自分たちで空きベッドを探さなければいけません。
 また現在は国が医療費を全額負担しているので、お金のあるなしにかかわらず入院できますが、一部自己負担となったらどうでしょうか。「施設で感染させられたのだから医療費は施設の責任で負担してください」と言われかねませんし、お金がない方は入院できず、助かる命も助けられないことになります。まさに命の選別です。
 岸田政権は5類への移行を見越して全数把握をやめ、感染者数が減っているかのようにごまかしていますが、今年の1月だけでもコロナで亡くなった方は過去最高の1万人超え。何が「重症化しない」でしょうか。うそをつくのもいい加減にしろ、と言いたいです。
 さらに、5類に移行して「病床確保料の見直し」が行われたら、国がコロナ患者用のベッドを確保している病院に支給してきた補助金が減額・不支給となり、病院経営は大赤字となります。5類になったからといってコロナウイルスの感染力や病原性が弱まるわけではありませんし、「濃厚接触者」という概念がなくなれば、これまで以上にコロナ患者は増えるでしょう。
 感染者の診療を続ける病院は、赤字の矛先を労働者への賃下げや一時金カット、人員削減などに向けるでしょうし、感染者の受け入れをやめる病院が出てくれば、「自宅療養」という名の「自宅放置」者はますます増え、医療・介護崩壊はさらに加速します。
 また、休業補償や労災認定がないインフルエンザと同様に、労働を通じてコロナに感染しても補償されず、すべてが「自己責任」にされるということです。かかり増し経費、雇用調整助成金、抗原検査キットの助成……など、国の責任を一切放棄し大軍拡へとかじを切る、これが5類移行の本質です。
 岸田は1月31日の衆議院予算委員会で「コロナ対策費に決算剰余金が生じれば防衛財源として活用する」と明言しました。医療・介護を奪い返す闘いと戦争絶対反対の闘いはひとつです。いのちを守らない岸田棄民政権は、みんなで倒しましょう。
 今、世界中でたくさんのストライキが巻き起こっています。労働組合は職場・地域で闘い、戦争攻撃に絶対反対の闘いを大きく広げていきましょう‼
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