十亀弘文の革命コラム -2- 開戦の前に止めなければ
十亀弘文の革命コラム -2-
開戦の前に止めなければ
1928年に、当時の全帝国主義国(日・米・英・独・仏・伊)を含む15カ国が署名した「不戦条約」(パリ協定)は、もちろん、第2次世界大戦を止めることができませんでした。その前に第1次大戦については、兵器を制限するなど、戦争にも一定のルールを、と定めたセントピータースブルグ宣言(1868年)・ジュネーブ条約(1864年以降数回改訂)・ハーグ条約(1907年)等々、どれもが戦争の勃発と拡大に対して全く無力でした。結局、帝国主義時代の世界史において実際に戦争を止めることが出来たのは、ロシアの1917年十月革命だけだったのです。戦場に向かわされる労働者・兵士が、戦争を強いる自国の政府に銃を向け返し、その政府を打ち倒すこと、それだけが現に戦争を阻止しました。この事実は何度も強調したいと思います。
いま古典的とも言える帝国主義戦争の時代が始まっています。第1次世界大戦時にレーニンが指摘したことが、戦争の本質とその進行についても、また戦争の後押しをした日和見主義者たちの言動についても、驚くほどリアルに、眼前の事実として再現されています。ロシア革命時のボリシェビキの闘いに学ばなければならないことは本当に多いのです。
ただ、ロシアではすでに戦争が始まってから後に、革命によってそれを止めました。米日による中国侵略戦争はまだ火を噴いてはいません。しかし、両国の支配階級とその軍事実務者たちが、ひた押しに対中戦争の準備を重ねていることは、マスコミ報道からも明白に読み取ることができます。まさにその戦争を、開戦の前に止めなければなりません。
ロシアの労働者人民は戦時下の塗炭の苦しみを怒りと蜂起に変えました。日本は今まだ直接には戦火の中にありません。しかし、私たちには、身体の底に埋め込まれた戦争への深い怒りがあります。アジアへのすさまじい加害の事実、また、オキナワ・ヒロシマ・ナガサキの惨禍を知っています。毎日のウクライナ報道によって、誰がいちばん戦争の犠牲になるのかをつかみとっています。そして、戦争準備がもたらす生活苦と自由の制限に直面しつつあります。日本の労働者階級は、戦争が始まる前にそれを止める実力と感性を持っています。だからこそ、戦争を止めるための確かな方針を求めています。革命への共感と同意、一緒に闘いたいという意欲を、大きく広げる時です。
(そがめ・ひろふみ)