改憲・戦争阻止!大行進アピール
改憲・戦争阻止!大行進アピール
自ら考え武装し闘おう
呼びかけ人高山俊吉さん(弁護士)
ウクライナ戦争のもと、政府がクーデターとも言うべき大軍拡と敵基地攻撃宣言に及んで迎えた新年は、中国侵略と世界戦争の早鐘が鳴り響く時だ。
■自身の生き残りをかけた戦争
ウクライナ戦争は、米国がNATO諸国を率い、ロシアを相手にウクライナに進めさせている戦争である。資本主義国家は戦争犯罪を平然とやる好戦国。日本は日中・太平洋戦争で2000万を超えるアジア民衆を殺戮(さつりく)した。米国は沖縄戦で9万余、広島で14万余、長崎で7万余の島民・市民を殺し、朝鮮、ベトナム、イラクでも戦争当事国になった。
ウクライナにもロシアにも正義などない。どちらにも自国政府の戦争政策に抗して立ち上がっている国民がいる。世界の労働者民衆はこれに連帯し、自国政府のウクライナ戦争支援に反対しよう。
NATOは、東方進出を追い求めてソ連との対決を強めた。創立当初の加盟12カ国をソ連崩壊時までに16カ国に増やし、現在は加盟30カ国、軍事費は合わせて世界の約70%という史上最大の軍事同盟に成りおおせている。
歴史的な没落が進む米帝国主義は、米国の覇権を脅かすまでに大国化した中国との対決を有利に進めるため、中国と連携するロシアをたたくことに体制の延命をかけた。この攻勢がロシアを追い詰め、命がけの反発を招いている。
■専守防衛論の欺瞞(ぎまん)を打ち崩そう
自公の「敵基地攻撃能力保有」合意を批判する朝日新聞社説(2022年12月2日付)の見出しは「専守防衛の空洞化は許せぬ」だった。多くのマスコミは、専守防衛から逸脱するななど文句をつけるだけである。野党も同じだ。だが、あらゆる侵略は「防衛」と名を付けて許容されてきた。実際、パリ不戦条約(1928年)を批准した日本は中国侵略を「自存自衛の戦い」と称して世界史に残る大量殺戮に走った。
専守防衛論の立場では、どちらが先に手を出したのか、などという不毛の極みの論議で善玉と悪玉を判断することになる。日本国憲法の制定時には、吉田茂首相さえ「近年の戦争は多く自衛権の名において戦われた。満州事変しかり、大東亜戦争またしかり。いかなる名義をもってしても交戦権は自ら進んで放棄することによって全世界の平和の確立の基礎を成す」と答弁した(1946年6月26日)。吉田の右に座って君たちはどうしようと言うのだ。
■「入」は「出」、「出」は「入」
国の「歳入」「歳出」を考えよう。「歳入」の実体を構造的に見れば、労働者民衆が権力に「奪い取られる支出」だ。消費税は、やせ細った労働者民衆の財布が無理に開かれ持っていかれる支出。これによって資本の側は「無用な」支出をしなくて済む。
一方、「歳出」の本質は、資本が権力から配給される「ありがたい収入」だ。軍事予算は、労働者民衆を死にも追いやる特殊需要を作り出し、軍需産業を中心とする大資本に莫大な利益を吸い込ませる。拡大する軍事費43兆円がどこの国の何という大資本の金庫に収まるのかを考えた時、「アジアの安全保障環境の悪化」などという権力の決まり文句のからくりが解き明かされる。
権力は国と自分を一体視する「愛国排外教育」を推し進めようと謀る。11月、軍事力の抜本的強化に関する報告書を政府に提出した有識者会議には「朝日」「読売」「日経」の現・元幹部が正メンバーとして参加していた。お人好しの前に敷き詰められたレンガは見事に地獄に続いている。私たちは国を守るのは自分だなどと断じて思い込んではならない。
大資本の金もうけのために、私たちの生活や命が脅かされることにノーを突きつけるのは当たり前だ。「生きさせろ」と要求する労働者民衆は、「歳入」「歳出」をめぐる欺瞞の権力財政論をたたきつぶし、捉え方を逆転させよう。
私たちは、彼らが仕組んだ思考方法を断固拒絶し、自分たちの思想で社会の実相を把握し、正しく武装して闘おう。