洞口朋子杉並区議×矢嶋尋全学連副委員長 新春対談 4月杉並区議選勝利へ 戦争を本気で止める闘いを

週刊『前進』05頁(3275号01面04)(2023/01/01)


洞口朋子杉並区議×矢嶋尋全学連副委員長 新春対談
 4月杉並区議選勝利へ
 戦争を本気で止める闘いを


 戦争絶対反対を貫き4月統一地方選挙に挑戦する洞口朋子杉並区議と、全学連の矢嶋尋副委員長が、2023年決戦を闘う決意を大いに語りあった。前進チャンネルキャスターの石田真弓さんが司会を務めた。戦争情勢下での4月杉並区議選は歴史的決戦だ。青年・学生・女性を先頭に総決起し、洞口区議の再選勝利を何としても勝ちとろう。(編集局)

参加者
洞口朋子(杉並区議会議員)
矢嶋尋(全学連副委員長 学習院大学)
司会 石田真弓(前進チャンネルキャスター)

実力闘争の復権へ闘い抜く

 石田 昨年は2月末にウクライナ戦争が開戦し、世界戦争が始まった状況下での闘いとなりました。

 洞口 ウクライナ戦争が始まって、議会も一変しました。自民党・公明党を先頭に「ロシアの蛮行を許すな」と叫び、ウクライナカラーの服を着る議員もいました。そういう中で、私自身もどういう立場で登場するのかが本当に問われました。マスコミを総動員して「プーチンの野心が戦争を起こした」といった宣伝がされている中で、「戦争の真の原因をつくったのは米欧日など帝国主義の側だ」と訴える立場に立つことは簡単ではありませんでした。
 区議会で私以外の全議員が超党派でつくった「ロシア非難決議」は本当にひどいもので、アメリカや日本がやってきたことを不問に付す内容でした。私が反対意見を言った直後の極右議員の賛成意見を聞いて、核武装論者も賛成するような決議に反対してよかったと確信しました(笑)。
 矢嶋 ウクライナ戦争が始まって世の中が一変したという実感があります。開戦当初、ものすごい数の人たちが立ち上がったことが衝撃的でしたが、急速にしぼんでいった。
 日本共産党の志位和夫委員長は国会でのウクライナ大統領ゼレンスキーの演説を「祖国を守り抜く決意がひしひしと伝わってきた」と絶賛しました。戦争の背景と経緯からして、ゼレンスキーを応援する立場はアメリカ帝国主義・NATOや岸田政権と一体化し、戦争を推進する立場です。彼らは戦争への人々の怒りを圧殺し戦争賛成にねじ曲げる役割を果たしています。
 洞口 世界の闘い、何よりロシア国内で爆発する反戦デモと連帯して自分の国の戦争に反対していく立場が重要だと思いました。民衆の反戦デモに政権を覆す力がある。それは日本でも同じですよね。
 石田 ウクライナ戦争と並んで、7月の安倍銃撃と9月の国葬も大事件でした。
 洞口 激動の時代の始まりだと感じました。国葬反対署名も短期間でしたがすごい数集まったし、9・23―27安倍国葬粉砕闘争で初めてデモに参加した若者たちがたくさんいますよね。国葬は戦争への道だと敵の狙いを見据えて闘いを組織したことで怒りとかみ合った。
 既成政党はどこかで手打ちしてるんですよ。共産党の志位は安倍が死んで「さみしい」と言った。自民党支配を安倍もろともぶっ飛ばして、この社会を変えようっていう気はさらさらない。その分岐が一番はっきり表れたのが、9・27国葬当日に会場の日本武道館前に行くかどうかでしたね。
 矢嶋 昨年は全学連を先頭に5・15沖縄闘争、5・22日米首脳会談・クアッド首脳会合粉砕闘争、8月広島・長崎闘争、9・23―27闘争と、実力闘争を復権させてきました。決起した学生や労働者が、自分たちの力を実感し始めています。新自由主義の中で労働者の階級的な団結を体験することなく生きてきた人たちが、闘いを通して「自分が社会の主人公なんだ」という実感を取り戻していくのを間近で見てきたし、自分としても改めて実感できました。
 石田 三里塚も決戦局面を迎えています。市東孝雄さんの農地の強制収用攻撃に対して全学連はただちに常駐体制をとりましたね。

 矢嶋 私も1週間くらい泊まり込んできました。逮捕、弾圧があり得る状況にもかかわらず、想定をはるかに超えて全学連の仲間たちが駆けつけて、多いときは2桁の学生が泊まり込んでいる。反対同盟の人たちも驚いて、「呼びかけたけど、こんなに若者たちが来るとは思わなかった」と(笑)。この間の闘いで蓄積してきた力が発揮されていると思います。
 一昨年来、全学連は辺野古新基地建設阻止の現地での座り込みに何度も参加してきましたが、やっぱり工事は進められていく。その悔しさをみんなが主体的に総括して、三里塚での実践に突っ込んでいます。
 洞口 三里塚現地には自分も一貫して足を運んできましたし学んだことは大きかったです。民衆の力は国家権力に負けないのだと。
 石田 11・6労働者集会はどうでしたか。
 洞口 参加した人たちは国際連帯にすごく感動していますね。これまでいろんな集会に出たことがあるという初参加の方は、11・6集会は自分の労働現場や地域、大学でどう闘っていくかという発言ばかりで、こんなに主体的かつ鮮明な集会は初めてだと言っていました。11月集会にはそういう力があります。25年間、ここに展望があると示し続けていることがすごく重要だし、動労千葉も関西生コン支部も、大変な攻撃を受ける中で闘いの旗を守り抜いていることがすごい。
 矢嶋 続く訪韓闘争は、私を含めて一緒に行った全学連新執行部の仲間たちも初めて。実際に労働者大会に参加したり闘争現場を訪問したりして、労働運動が全社会的に闘われている光景に圧倒されました。
 空港で飛行機を降りて一番最初に見た労働者が民主労総の「ゼネスト勝利」というゼッケンをつけて働いていたことにまず衝撃を受けました。公道で座り込みのテントを張るようなことが当たり前に行われている。労働運動とか政治が日常から切り離された「誰かにやってもらうもの」じゃなくて、身近なものとしてあるのがすごく印象的でした。

女性解放は階級闘争の課題

石田 訪日団として11月集会に参加した民主労総5人のうち4人が女性でした。女性の活動家が先頭に立って民主労総110万組合員を率いています。昨年はアメリカの中絶禁止に反対する闘いとか、イランでヒジャブの着用をめぐって女性が殺されたことへの怒りの爆発とか、世界中で広範な女性が決起した年でもありました。日本でも昨年、全学連の副委員長に矢嶋さんが就任し洞口さんも再選に向けて闘っていますね。

 矢嶋 戦争情勢の中で女性への抑圧は激しさを増しています。ウクライナ戦争で女性兵士の「活躍」が大々的に報道される一方で、五ノ井里奈さんによる自衛隊内での性暴力告発の決起がありました。
 他方で、自民党が代理出産を合法化しようという議論を進めています。あと、子宮移植の問題。女性の身体を「産む機械」にする攻撃が進められています。岸田政権は骨太方針で少子化対策を打ち出し、戦前・戦中に日本帝国主義がやった「産めよ殖(ふ)やせよ」政策に近いものになっています。「女性の主体的選択」といった美辞麗句で、こうしたことが女性の権利拡大だというキャンペーンがされている。「ジェンダー平等」もすごく問題があると思っていて、実際に行われていることは極めて新自由主義的です。
 洞口 それよ!
 矢嶋 いま主流とされるフェミニズム潮流の路線は、女性を管理職に就かせるとか、体制内に取り込むことですよね。
 洞口 今年の杉並区議選は新人の女性候補者が分かっているだけでも15人。多くの候補者が「ジェンダー平等」を掲げています。岸本聡子区長のもとで女性の管理職を増やそうということが言われています。
 女性の権利と言うんだったら、杉並区で働いている公務員約2千人のうち、女性が9割を占める非正規職公務員を正規職にしてからです。女性労働者の非正規雇用の割合が男性より圧倒的に高い中で、育児、介護などを全部女性が背負わされている状態を変えずして何が管理職に女性を増やすだと。これは分断攻撃です。ごく一部の女性を管理職に登用する一方で、労働組合として一緒に賃上げを勝ちとったり、非正規職を撤廃させたりする闘いを潰すための攻撃です。「女性だって競争に勝てば報われる。自分の現状は能力がない自分の責任」だと。こういう「ジェンダー平等」と称した分断攻撃に対して階級的な立場から女性解放を闘わないといけないと思います。矢嶋さんを始め女性の決起が始まっていることは私にとっても展望です。
 矢嶋 女性解放は改良を積み重ねるだけではなく、女性がこの社会を根底から変えていく主体として登場していくことと一体です。これは全学連の先輩たちが「政治と暴力の奪還」と言って歴史的につくってきた女性解放の基本的な立場です。
 洞口 既成潮流は女性を救済の対象としか見ない。女性や労働者に一緒に闘おうと呼びかけることが、選挙の中でもすごく重要だと思っています。

反戦運動拡大する選挙戦に

 洞口 21年衆院選で自民党の「大物」とされていた石原伸晃が落選しました。そして昨年は阿佐谷などの再開発や児童館廃止を進めてきた区長の田中良が打倒され岸本区長が誕生しました。やはり杉並区民の新自由主義や戦争への怒りはものすごいです。
 他党派は岸本区長の勝利が「統一戦線の力を発揮した」と言っていますが、岸本区長は「児童館を守ります」という公約をほごにして、早くも二つの児童館廃止を容認しました。私は区長が代わっても揺るがないし一歩も譲らない。立憲民主党や日本共産党のように「いい民営化」「いい再開発」を要求するのではなく、民営化も再開発も児童館廃止(「機能移転」というペテン)にも絶対反対を貫く運動をつくり出したい。
 矢嶋 共産党は「岸本区長を批判するな」と主張し、児童館廃止を推進する立場に転落しています。議席を拡大するために絶対反対の運動を破壊するっていうことが彼らの言っている統一戦線の内実ですね。
 洞口 児童館問題は、もちろん利用者・保護者にとっても切実ですが、やはりそこで働いている人が首を切られる、非正規職にされることを絶対に許してはいけないと思います。労働者が組合を作ってストライキで闘う中でその現状を変えられるし、労働運動の力を選挙戦でも絶対につくり出していきたい。
 石田 そういう中で、杉並区議選をどう闘うかですね。
 矢嶋 とにかく今回の選挙は戦争反対か総翼賛か、「洞口対その他」みたいになると思うんですよね。昨年の参院選ではウクライナ戦争が始まっていたのに、どこも戦争絶対反対を掲げなかった。この状況を打ち破りたい。全学連も全力で洞口さんの選挙闘争を応援します。
 洞口 杉並で始めた「軍事予算2倍化反対署名」がすごい勢いで集まっている。地域をまわると「戦争に区政も国政もない! がんばって」「私も署名を集めます」という反応に出会う。沖縄を始め日本全土が、そして台湾・中国が戦場になろうとしています。日米演習が激化し、与那国町では「台湾有事」を想定して「逃げたい人には金を出すから自主避難しろ」なんて言われている。遠い未来の話じゃなくて現実に始まっているこの戦争を本気で止めよう! 12・18阿佐谷反戦デモには右翼が街宣車5台で妨害に来ましたが、一歩も引かずに闘いました! 右翼に怒る多くの区民とエールを交わしました。戦争の時代への突入と同時に革命の時代がいよいよ始まったと実感しています。1月15日には西荻窪で反戦デモをやります!
 私たちの選挙闘争・議会活動は人々の力を引き出すことが最大の目的です。「杉並から戦争とめよう」をスローガンとして掲げていますが、いまの情勢で戦争と関係のない職場も学校も地域も地方議会もありません。杉並を拠点・突破口にして岸田政権を倒す巨大な反戦運動を実現する、そのために杉並--東京のみならず全国の仲間の力を発揮する場として位置づけてもらって、全国の「前進」読者の皆さんにもお力添えいただきたいです。ともに闘いましょう。
 石田 本日はありがとうございました。

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