戦争国家への歴史的転換 岸田打倒の大反戦闘争を

週刊『前進』04頁(3274号01面01)(2022/12/19)


戦争国家への歴史的転換
 岸田打倒の大反戦闘争を


 岸田政権による安保3文書(国家安全保障戦略、国家防衛戦略=防衛計画の大綱から名称変更、防衛力整備計画=中期防衛力整備計画から名称変更)の閣議決定は、日本帝国主義による中国侵略戦争への突入宣言であり、戦後史を画する大攻撃である。ウクライナ戦争として始まった世界戦争の激化・拡大、米バイデン政権の中国侵略戦争への突進に規定され、岸田はなりふり構わずこのクーデター的暴挙を強行したのだ。だが、大軍拡と戦争への怒りは激しく渦巻いている。今こそ中国侵略戦争阻止・岸田打倒の巨大な反戦闘争をつくり出そう。三里塚強制収用を実力闘争で阻止しよう。来春統一地方選決戦の勝利へ総決起しよう。

中国侵略戦争へ踏み切り

 岸田政権の国家安保戦略では、中国を「我が国の総合的な国力と同盟国・同志国等との連携により対応するべき、これまでにない最大の挑戦」と規定した。アメリカ帝国主義・バイデン政権が10月に公表した米国家安保戦略に合わせる形で、中国を米帝主導の世界秩序に対する「挑戦」と名指しした。「台湾海峡の平和と安定は、国際社会の平和と安定と繁栄に不可欠」との記述と併せて、米帝とともに中国を軍事力で打倒するという戦争宣言だ。
 敵基地攻撃能力(反撃能力)については、国家防衛戦略で「相手の領域において、有効な反撃を加えることを可能とするスタンド・オフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力」と定義した。「スタンド・オフ防衛能力」とは、中国本土を射程に入れた長射程ミサイルのことだ。そしてミサイル攻撃には米軍との情報・統制・指揮の一体化が不可欠となることから、「米軍との意思疎通や戦略の擦り合わせなど統合運用を進める」ために陸海空自衛隊の「統合司令部」を創設し、米軍の「統合防空ミサイル防衛(IAMD)」と一体化する。米軍の指揮下で自衛隊が中国に先制ミサイル攻撃を行うということだ。
 防衛力整備計画では「日本が主たる責任を持って侵攻に対処し、阻止・排除できる防衛力を5年後までに構築」として、5年間で43兆円の大軍拡を打ち出した。長射程ミサイル購入・開発に5兆円、弾薬確保に2兆円、無人機、宇宙、サイバーにそれぞれ1兆円など、まさに歯止めなき大軍拡だ。
 しかも、中国侵略戦争への踏み切りは軍拡と自衛隊の組織再編にとどまらず、敗戦帝国主義としての戦後的あり方を戦争国家に変える国家大改造攻撃だ。9条改憲攻撃そのものであり、労働者の団結権や社会保障を根こそぎ奪うものだ。
 岸田が13日の自民党役員会で「(防衛費負担は)今を生きる国民の責任」と発言したことに労働者人民の怒りが沸騰している。岸田は「われわれの責任」などと言い変えたが、「戦争のために増税と犠牲を受け入れるのは当然」「国防は国民の義務」とするものだ。こんな政府は、労働者人民の怒りの反戦決起で即刻粉砕・打倒するのみだ。

排外主義の大合唱粉砕を

 なぜ日帝・岸田はここまで凶暴かつ絶望的に中国侵略戦争へ突き進むのか。何よりもそれは、米帝を基軸とした戦後世界体制、その最後的崩壊の世界戦争・核戦争への転化が現実に始まっているからだ。今や基軸国・米帝自身が世界の再分割、支配の再編のための帝国主義戦争に打って出るしかなくなっている。その米帝にとって最大の対立物・対抗物が残存スターリン主義・中国であり、ゆえに米帝は中国を打倒し転覆する侵略戦争へと突き進むほかない。中国・習近平政権はこの戦争重圧に追いつめられ、スターリン主義体制の維持のために軍事的手段も含めた対抗措置をとることで、米日帝の中国侵略戦争―世界戦争・核戦争の危機を一層促進しているのだ。
 岸田政権の国家防衛戦略では、中国の「脅威」として8月のペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問に中国が弾道ミサイルを発射したことを挙げているが、これこそ侵略戦争を「防衛戦争」と偽る帝国主義のデマゴギーの典型だ。ペロシ訪台は、米帝による台湾強奪に向けた戦争行為そのものとして強行され、嘉手納基地から飛び立ったF15戦闘機8機がペロシの乗る空軍機を護衛、台湾近海では原子力空母ロナルド・レーガン、強襲揚陸艦トリポリ、同アメリカがイージス艦や原子力潜水艦などを従えて展開した。ミサイル発射は中国スターリン主義の追いつめられた対応でしかない。まさに「帝国主義こそ戦争の原因」なのだ。
 だが、日本のマスコミは一方的に中国脅威論をあおり、国民民主党や立憲民主党も敵基地攻撃能力保有を早々と支持し、国会などでは「祖国擁護」「中国の脅威から日本を守れ」の大合唱が繰り広げられている。また日本共産党委員長・志位和夫は、「米軍とともに相手国に攻め込む、ここに重大な危険がある」「アメリカの戦争に日本が参戦することで、相手国から見れば、事実上の先制攻撃になる。そして日本に戦火を呼び込む」(11月25日付「赤旗」)などと「有識者会議」の報告書を「批判」する。だが「相手国に攻め込む」というのは日帝自身が侵略戦争の完全な実行主体となるということであり、それがもはや単なる「アメリカの戦争」ではないことは明白ではないか。そして実際に日本と中国との間でミサイルを撃ち合うような戦争が始まれば、沖縄、日本本土、台湾、中国でどれだけの労働者人民が犠牲になるのか。それは「日本に戦火を呼び込む」などというレベルの話ではなく、米日帝が中国に対して仕掛ける侵略戦争で無数の人民が虐殺されるということだ。日本共産党はこの戦争に絶対反対なのではなく、日帝支配階級と一体化した「祖国擁護」の立場から注文を付けているに過ぎない。
 中国侵略戦争を阻止する闘いは労働者人民、とりわけ青年・学生の命と未来をかけた階級決戦だ。侵略戦争を仕掛けているのは米日帝だということを徹底的にはっきりさせ、「祖国擁護」の大合唱を打ち破る自国政府打倒の反戦闘争を巨大な規模で巻き起こそう。

三里塚強制収用を阻もう

 世界戦争情勢とは、世界中で労働者が戦争絶対反対の闘いに立ち上がる時代が来たということだ。11・6労働者集会を新たな出発点として、戦争のための国家大改造攻撃と対決する階級的労働運動と国際連帯闘争を大発展させよう。
 浜田靖一防衛相は12月8日の衆院安全保障委員会で、成田空港と沖縄県の下地島空港の軍事使用を明言した。だが三里塚現地では反対同盟の呼びかけに応え、全国から駆けつけた労働者・学生の団結した力が市東孝雄さんの農地の強制収用を阻止し続けている。反戦の砦(とりで)=三里塚を絶対に守り抜こう。
 開始された杉並区議選決戦は、中国侵略戦争阻止をかけた大党派闘争だ。「軍事予算の2倍化反対」署名の取り組みに対し、「どうして区議会は戦争に反対しないのか」といった区民の共感が続々と寄せられ、署名運動が地域に広がっている。国葬粉砕デモをともに闘った青年たちが、洞口朋子区議と一緒に街頭宣伝やデモなどの行動を組織している。労働者人民の怒りを結集し、洞口区議の再選勝利を絶対にかちとろう。
 腐りきった帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制の打倒へ、革共同の青年・学生の党への変革と飛躍をかちとろう。「前進」をすべての闘う労働者人民に広げ、冬期一時金闘争への決起を組織しよう。

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