韓国 貨物連帯ゼネストが拡大 国家権力との全面激突に

週刊『前進』04頁(3273号02面01)(2022/12/12)


韓国
 貨物連帯ゼネストが拡大
 国家権力との全面激突に

(写真 首都圏の物流拠点である京畿道義王市の内陸コンテナ基地前で開催されたゼネスト・総力闘争勝利大会に5千人が結集した【12月6日】)

 戦時インフレと凶暴な労組破壊攻撃に抗する労働組合の闘いが、世界各地で自国政府の弾圧と対決しながら進められている。鉄道労働者の闘いがバイデン政権と二大政党制を揺るがしているアメリカ、この夏以来鉄道や港湾の労働者を先頭に事実上のゼネストに突入しているイギリスと並び、韓国でも民主労総が110万組合員の総力を結集してゼネスト・総力闘争に立ち上がっている。

貨物労働者2万人が物流を止め

 「ユン政権に業務停止を命ずる!」。12月3日、民主労総はソウルと釜山(プサン)で計1万人の全国労働者大会を開催した。最大の焦点は、11月24日から開始された全国公共運輸労組貨物連帯本部(貨物連帯)のゼネスト闘争勝利だ。
 セメントや鉄鋼を運搬する貨物労働者たちは「特殊雇用労働者」(個人事業主)とされ、労働者としての権利を奪われてきた。そこへ戦時下のインフレで燃料代が暴騰し、生きられない状況にたたき込まれたのだ。貨物連帯は6月にも8日間のストでセメントの輸送を止め、9割もの生コン工場が稼働を停止した。
 この闘いを引き継いで今回、「道路上の最低賃金制」と呼ばれる安全運賃制の維持・適用対象拡大を訴え、2万2千人のトラック運転手がストに突入した。

刑罰ふりかざしスト圧殺を狙う

 このストは、就任以来一貫して民主労総を敵視し、民営化と戦争政策を進めてきたユンソンニョル政権に大打撃を与えた。ユンソンニョルは激甚に反応し、ストを「社会的災害」として糾弾。「北朝鮮の核の脅威と同じだ」「国民の日常生活が脅かされている」と騒ぎ立て、29日には貨物労働者に対して刑事罰を伴う「業務開始命令」を史上初めて国務会議で議決した。これを受けて警察や公正取引委員会が動き出したほか、12月1日には国防部が軍の人員と装備を投入した。国家権力が総力を挙げ、まるで軍事作戦のように貨物連帯スト圧殺・民主労総解体を狙う弾圧に乗り出してきているのだ。
 民主労総はこの暴挙に対し、「業務開始命令は全労働者に対する戒厳令だ」と喝破し、組織を挙げた闘争突入を宣言した。

建設労組先頭に広がる連帯行動

 ユン政権の対応は、「ストは米経済を壊滅させる」として鉄道スト禁止立法を強行したバイデン政権とまったく同じだ。労働者民衆の生活を破壊してきたのは資本家の政府ではないか!
 こうした反応はむしろ、とりわけ戦時下の現在における貨物労働者の存在の大きさを明らかにした。だからこそ、ストを包む幅広い連帯は日々拡大している。「貨物連帯の同志たちを孤立させるな」と、さまざまな現場・産別から続々と声が上がっている。
 同じく多くの組合員が特殊雇用労働者とされている建設労組は12月2日、「誰よりも貨物労働者の境遇をよく知る建設労働者が同志たちと闘争を共にする」ときっぱりと宣言し、建設現場を放棄して連帯ストに突入した。「制度を新設してでも連帯ストに厳重に対処する」という国土交通部の恫喝を一蹴し、「貨物連帯の勝利は民主労総の勝利であり、建設労組の勝利だ」と、連帯を貫く決意を明らかにしている。法や制度の枠組みを越え、労働者階級の団結に依拠した実力闘争で勝利するとの宣言だ。
 さらに、看護師や医師の団体も「生命より利益を優先するユン政権に対抗する貨物連帯ストは完全に正当だ」と題した声明を発出して、ストを断固支持すると表明した。
 6日には貨物ゼネスト闘争勝利・ユン政権の労働弾圧粉砕を掲げて緊急のゼネスト・総力闘争大会が開催され、全国15地域で計2万5千人が参加。多くの組合員がストで駆けつけた。

戦争を実力阻止するのは労働者

 韓国の労働者階級は、新自由主義の破綻と戦争の時代、政府が民主労総抹殺に本格的に乗り出してきたことへの危機感を共有している。「業務開始命令」は労働基本権の否定であり、労働組合活動を犯罪と見なして刑事罰の対象とするものだ。全日建運輸連帯労組関西地区生コン支部に対する攻撃とまったく同じだ。
 この間、ストや現場での籠城(ろうじょう)などの実力闘争を行った労働者に対し、政府と一体となった資本が巨額の損害賠償請求訴訟を起こしている。これは事実上のスト禁止であり、労働者の人生を破壊する凶暴な攻撃だ。貨物連帯の闘いは、労組活動をする権利をかちとるための労組法2・3条改正に向けた闘いの最前線でもある。
 民主労総は同時に、米日韓軍事同盟構築に反対し、東アジアでの戦争を阻止するために闘っている。12月3日の労働者大会に続いて開催された全国民衆大会では、朝鮮半島の平和のための日本の軍事大国化反対も訴えられた。貨物連帯の闘いは、労働者の力で戦争は止められることを示している。労組破壊と戦争に立ち向かう民主労総の闘いに学び、連帯して共に進もう!
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