入管法改悪は絶対に許さない カメルーン人の命は150万円か 外国人を殺す入管解体へ
週刊『前進』04頁(3268号02面04)(2022/11/07)
入管法改悪は絶対に許さない
カメルーン人の命は150万円か
外国人を殺す入管解体へ
ウクライナ戦争が始まってすでに8カ月が過ぎ、ウクライナから日本が受け入れた「避難民」も2千人を超えた(10月26日現在2057人)。岸田首相は、参院本会議で野党議員の質問に答えて「日本の入管制度は、国連の人権諸条約に違反していない」と居直り、「ウクライナ避難民」受け入れのための「準難民制度」の創設、「適正な送還」への意欲を示した。
難民申請が2回を超えた場合、申請中でも送還を可能にすることや、強制送還を拒む者に刑事罰を強いるという昨年、国会を取り巻く怒りで廃案に追い込まれた入管法改悪案を押し通そうというのだ。
戦争から逃れて来るウクライナ人を難民ではなく「避難民」だとする日本政府の見解は、国際社会では通用しない。「戦争を逃れる者が難民として保護されることは、今日では明瞭(めいりょう)な国際的了解になっている」と、明治学院大学の阿部浩己教授も断言している。
しかし、軍備増強を推し進め、中国侵略戦争への衝動を強める岸田政権にとって、国内階級支配の一環としてある外国人治安管理強化のための入管法改悪は、不可避の課題だ。ここを突いて戦争阻止の闘いとして入管法改悪阻止を闘おう。
「画期的」判決!?
昨年3月、名古屋入管で医療放棄で亡くなったスリランカ人女性・ウィシュマさんの遺族が、日本政府と入管を相手取った国家賠償請求裁判も始まったが、被告・国は、亡くなるまでのウィシュマさんを撮影したビデオの裁判への提出を拒み続けている。水戸地裁で9月16日、東日本入国管理センターで収容中の2014年3月30日に亡くなったカメルーン人男性Wさんの母親が国と当時のセンター長に1千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決があった。水戸地裁は、「緊急搬送を要請すべき注意義務違反があったのに怠った」として165万円の支払いを命じた。
入管施設での死亡事件で国側の責任を認めた初の判決だったが、これが「画期的」と報道されるほど日本の司法はおそまつだ。
牛久入管収容所問題を考える会の田中喜美子さんは、「入管施設での警備体制、医療問題、特に死亡との直接の因果関係を認めなかったことは重大な問題」だと語り、150万円(15万円は弁護士費用)の損害賠償額が「カメルーンの経済状況などを総合考慮して算定した」ことに対する怒りを表明した(10月10日付「救援」)。
田中さんによると、重篤な糖尿病を患っていたWさんの病状悪化を心配した同じブロックの被収容者が全員で「病院に連れて行くように」と要求し帰室を拒否して座り込んだ結果、入管職員が「俺の責任で必ず病院に連れていく」と約束、Wさんは担架で運ばれていった。これが3月27日木曜日のことだったが、Wさんは病院には運ばれず、ビデオがある個室に放置され、30日(日)朝に亡くなった。ビデオには「アイム ダイイング(死にそうだ)」と苦しむWさんの姿が映し込まれていた。
29日(土)にはイラン人が食事をのどに詰まらせ亡くなる事件も起きていた。医師のいない週末、2人が救急搬送されることもなく見殺しにされた。これが入管収容所の実態だ。
「外国人は煮て食おうと焼いて食おうと自由」だと言わんばかりの現実が入管法・入管体制だ。戦争国家化へ差別・排外主義が横行する中、戦争を阻止する労働者の国際連帯が必要だ。
入管法改悪は絶対許さない。廃案あるのみだ。入管収容所解体、入管法・入管体制粉砕へ闘いぬこう。