始まった第二のイラン革命 虐殺への抗議に労働組合が合流
週刊『前進』04頁(3267号02面04)(2022/10/31)
始まった第二のイラン革命
虐殺への抗議に労働組合が合流
(写真 在日イラン人が国会正門前で抗議行動【10月16日】)
イラン全土で9月中旬以降、現体制の打倒を目指す大規模な反政府運動が開始され、「第二のイラン革命」情勢が到来している。
この闘いは、9月13日に地方から首都テヘランにやってきた22歳のクルド人の女性、マフサ・アミニさんが、ヒジャブ(スカーフ)から頭髪の一部が出ていたとして風紀警察に拘束されて取り調べを受け、3日後に死亡が発表された事件を契機に開始された。
治安当局はマフサさんの家族に対して彼女に心臓の持病などないことを知りながら「持病の心臓病の急激な悪化が死因だ」と説明し、殴打の跡があることを隠蔽(いんぺい)した。労働者民衆はこの事件が風紀警察の残虐な拷問による虐殺事件であると弾劾し、テヘランをはじめ全国各地で宗教指導者と宗教警察を弾劾する大規模な街頭デモに打って出た。このデモは1979年のイラン革命以降最大規模となり、多くの女性や青年が最先頭に立って治安部隊と対決している。
10月に入ってもその勢いは衰えず、10月20日現在で200人超が命を奪われ、多くの被逮捕者を出しながらも継続されている。世界各地に居住するイランの労働者人民もこの闘いに連帯して街頭での抗議行動を展開。日本でも、在日イラン人ら300人がイラン大使館や国会前、渋谷ハチ公前広場などで繰り返し抗議集会を行っている。
10月13日には、抗議運動の渦中で自殺したと警察が発表していた16歳の少女の死因が治安部隊による警棒などでの頭部の殴打であることも明らかになり、再び激しい怒りの炎がイラン全土で燃え上がった。
体制そのものの根底的変革要求
現在のイランの労働者人民の闘いは、政治制度などの改良ではなく社会体制そのものの根底的変革を求めるものだ。それは、抗議行動の際に最もよく唱和されるシュプレヒコールが、現在の支配者を打倒する決意を示す「独裁者に死を」であることからも明らかだ。このように労働者人民が不退転の決意を固めたからこそ、長期にわたって弾圧と対決して闘い抜いているのだ。イラン労働者階級はイラン革命以降の長期にわたる闘いを経て、宗教勢力とそれを防衛する「革命防衛隊」による富の独占と独裁支配を打倒しない限りイランの労働者の解放はありえないことを自覚し、歴史的決起を開始したのだ。
こうしたなかで重要なのは、イラン全土での労働者人民の怒りの決起に呼応して、ついに10月11日、イラン労働運動の主軸を担う石油労働者の組合が政府に対する歴史的決起を開始したことだ。イラン南西部のフーゼスターン州では、製油所などで石油労働者が抗議集会やデモを行うとともに、順次ストライキに突入し始めた。
中東全体の情勢塗り替える闘い
巨大なゼネストをもってイラン革命の突破口を切り開いた前衛部隊であり、今日でもイランの階級闘争の主力部隊である石油労働者が宗教勢力の独裁に抗して決起したことはきわめて重大な意味を持つ。イランには激しい弾圧に抗して独立労組を組織して闘ってきた教育労働者や運輸労働者の組合などの戦闘的労働運動が存在する。これらと石油労働者の闘いが合流すれば、第二のイラン革命への重大な突破口が切り開かれるであろう。実際、首都や地方の大都市で労働組合が政府の弾圧に抗議するストを開始している。そして、イラン労働者階級の革命的決起は必ず、中東全体の労働者革命を急速に促進する。周辺諸国でも同様の矛盾は深まっており、イランの労働者の闘いに共感する労働者が多数存在する。イラン政府と連携する勢力が支配するイラクやイランが派兵しているシリア、イエメンなどの労働者も共に中東革命に決起するであろう。また湾岸の反動王政諸国では、イラン以上に宗教的に差別・抑圧されている労働者が存在する。イランにおける労働者革命に、中東革命の成否がかかっている。
この闘いと連帯して11月労働者集会を成功させ、イランと中東諸国の労働者人民、在日外国人労働者との国際連帯を強化しよう。第二のイラン労働者革命の勝利のために共に闘おう。