横浜刑務所で大クラスター 須賀武敏同志の命と健康守れ

週刊『前進』04頁(3262号04面03)(2022/09/26)


横浜刑務所で大クラスター
 須賀武敏同志の命と健康守れ

(写真 法務省矯正局に申し入れ【9月8日 参院議員会館】)

 迎賓館・横田爆取でっち上げ弾圧と闘う須賀武敏同志が収監されている横浜刑務所で、この夏、新型コロナのクラスターが起きた。同刑務所の被収容者820人の半数以上が感染するというきわめて深刻な事態であり、須賀同志も感染した。刑務所の職員からも「毎日20~30人の新たな感染者が出ている。もうどうしていいか分かりません」と悲鳴が上がっていた。
 だが政府・法務省は感染拡大を食い止める何の手も打とうとせず、獄中者の拘禁と治安確保を一切に優先して、極度の三密状態にあり隔離も不可能な刑務所の中に閉じ込め続けてきたのである。
 その間、1カ月以上にわたって食事はカロリーも栄養も不足した「非常食」となり、量も大幅に減らされた。猛暑にもかかわらず入浴もシャワーも一切禁止という、非人間的な生活が全獄中者に強制されたのだ。横浜だけでなく全国の刑事施設で同様のことが起きているのが確認されている。
 この事態は、日帝・岸田政権が今やコロナ対策も完全に放棄し、労働者人民の命と生活を犠牲にして大軍拡と改憲・戦争に突き進む中で起きていることだ。

「感染対策とれ」国の責任を追及

 これを弾劾し、国の責任を追及する行動として9月8日、救援連絡センターと「迎賓館・横田裁判の完全無罪をかちとる会」との共同行動による法務省への申し入れ行動が闘われた。
 申し入れは、福島瑞穂参議院議員の協力を得て、参院議員会館に法務省矯正局の官僚を呼び出して行われた。出て来た4人の官僚は、獄中での警備・医療・処遇・作業に関する各担当責任者。取材の新聞記者も同席する中、星野闘争を闘う仲間をはじめ首都圏各地から集まった30人が、現場で起きている事態の深刻さを暴くとともに、換気・消毒・マスクといった基本的な感染防止策すらとられていない現実を1時間にわたって告発・弾劾した。法務省側は官僚的答弁で逃げようとしたが、最後は次回の申し入れにも応じることを約束せざるをえなかった。

法務省が医療を放棄し人体実験

 申し入れ行動では、獄中医療問題が改めて焦点になった。須賀同志の家族からの訴えによれば、須賀同志は8月11日にコロナ陽性が確認されたが、実はコロナに伴う合併症として急性心膜炎を発症していた。須賀同志は心臓に基礎疾患を抱えており、コロナによる発熱と同時に胸に強い痛みを覚えたという。心膜炎は重症化すると心室への血液の流入が妨げられ、心臓のポンプ機能を著しく低下させる危険があるとされている。「命の危険」もありうる状況だったのだ。
 須賀同志が胸の痛みを訴えると、当局は解熱剤の他にカプセル錠を支給し、それを朝晩2回飲んで7日目に胸痛はようやく治まったとのこと。問題は、この薬の説明が一切なく、薬の名前すら不明のまま投薬への「同意」を強制されていることだ。
 須賀同志がその後、薬の名前を知りたいと改めて求めると、9月12日になってようやく「ラゲブリオ」との回答が来た。調べてみると、この薬はコロナ用に最近開発された新薬で、安全性などの確認がまだ不十分なため一般流通はされず、国が買い上げて特定の医療機関が緊急時に使用する場合に無償で提供している薬であるという。下痢や嘔吐などの副作用も大きく、患者に十分な説明をした上でその同意を得なければ使用できない薬だ。この薬を胸痛を訴えた須賀同志に何の説明もなしに投与したことは、まともな医療行為とは到底言えない。須賀同志を、そして受刑者全体を一種の「人体実験」の材料にするものにほかならない。
 コロナ下で医療崩壊がますます進むとともに、今や戦時医療への転換が始まっている。獄中で起きていることは、全社会で起きていることの縮図であり、その最先端だ。医療が人の命と健康を守るためではなく、国家による治安管理と戦争の手段にされることを許してはならない。
 無実の須賀同志への刑の執行を停止させ、獄外の医療機関での検査と治療をかちとることは急務だ。さらにコロナ下での刑務所や入管施設での被収容者に対する医療放棄と人権侵害を絶対に許さず、労働者人民の団結の力で打ち破る闘いを強めよう。
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