子ども甲状腺がん裁判 共感した女性 追加提訴

週刊『前進』04頁(3261号04面03)(2022/09/19)


子ども甲状腺がん裁判
 共感した女性 追加提訴

(写真 弁護団が東京地裁に向かう)


 311子ども甲状腺がん裁判の第2回口頭弁論が9月7日午後2時から東京地裁で行われ、前回に続き多くの支援者が駆け付けた。
 この裁判は、2011年の3・11福島第一原発事故による放射線被曝が原因で小児甲状腺がんを発症した6人の青年が東京電力に損害賠償を求め提訴したもので、この日は、追加提訴がなされた。
 新たに原告となったのは事故当時小学6年生・首都圏在住の20代女性だ。彼女は提訴に際してのメッセージで、甲状腺がんと診断され手術を受けて心身が疲れ切った中で311子ども甲状腺がん裁判があることを知り、「自分以外にも苦しい思いをしている人たちがいるんだ」と思い裁判の話を聞いて参加を決意したと述べ、最後に「原告として最後までやる覚悟を持ってこの裁判に挑みます」ときっぱりと語っている。

2度手術の高校生が「補償を」と陳述

 裁判が小法廷で行われ傍聴人数が制限されたため、午後2時20分から近くの日比谷コンベンションホール大ホールで支援・報告集会が行われた。
 集会では「原告6」の高校3年の女性の意見陳述の音声(事前に録音したもの)が流された。彼女は中学2年生の時に1回目の手術を受け、2回目の手術では甲状腺がん全てとリンパ腺も摘出し、過酷なアイソトープ治療まで受けたことを詳しく述べ、「私は小学校に入る前に原発事故に遭い、以来11年間、小さなアパートで避難生活を続けています。そして13歳でがんになり、17歳で2度目の手術を受けました」「自分の考え方や性格、将来の夢も、まだはっきりしないうちに、全てが変わってしまいました」「恋愛も、結婚も、出産も、私とは縁のないものだと思っています。......私は将来が不安です」として、「金銭面」「精神面」の深刻な「不安」を上げ、「この裁判で、将来、私が安心して生活できる補償を認めてほしいです」と結んだ。彼女の切実な訴えは聞き入った参加者の胸に熱く迫るものだった。
 また、裁判と記者会見を終えて駆け付けた弁護団長の井戸謙一弁護士は裁判の概要を報告した。「今後の手続きについては、大法廷を使うよう要求した。原告の意見陳述も次々回以降も続けるよう要求した」「中身については、被告(東京電力)の主張が明らかになった。100㍉シーベルト以下では甲状腺がんにならないという内容。しかし、ほとんど根拠を示していない。100㍉シーベルト以下でも甲状腺がんになる。被告が言っているのは『過剰診断論』だ。しかし、転移したり、何回も再発し手術をしなければならないがんがなぜ『過剰診断』なのだ!」と説き、次回以降の展望を語った。
 7人の青年たちの裁判は原発事故による健康被害を認めさせ、原発再稼働も許さない闘いだ。福島の青年や民衆と怒りを共にし、岸田政権の原発政策の転換、核武装・中国侵略戦争(核戦争)を阻止しよう。

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