米日の中国侵略戦争許すな 「祖国防衛」のデマ粉砕を
週刊『前進』04頁(3261号02面01)(2022/09/19)
米日の中国侵略戦争許すな
「祖国防衛」のデマ粉砕を
安倍国葬は、改憲・戦争の安倍政治を国家を挙げて礼賛することで、中国侵略戦争に向かっての「挙国一致」体制の構築を狙うものだ。この点を徹底的に暴露し、安倍国葬粉砕の闘いを巨大な反戦闘争として爆発させよう。
台湾に介入し中国挑発
「米日帝の中国侵略戦争阻止!」の訴えが大きな反響を呼び起こしている。自民党など国家権力中枢は、マスコミや右翼を動員して「米日の中国侵略戦争なんてありえない」「侵略しようとしているのは中国だ」などと叫びたて、排外主義をあおって改憲・大軍拡を正当化しようと必死になっている。だが、この間の動きを見るだけでも、米日帝こそが「台湾」問題を切り口に中国を挑発し、侵略戦争を進めていることは明らかである。8月2日の米下院議長ペロシの台湾訪問は、中国政府の反対を無視して強行された。この時米軍は核空母「ロナルド・レーガン」率いる空母打撃群と強襲揚陸艦「トリポリ」「アメリカ」などを台湾海峡近くに集結させ、すぐにも戦争を始められる臨戦態勢をとった。日本のマスコミは中国側の軍事行動を排外主義的に報じるのみで、こうした米日の側の軍事動向をほとんど報道しない。これに続き、8月に米超党派議員団、共和党上院議員が立て続けに台湾を訪問。さらに自民党憲法改正推進本部長・古屋圭司ら統一教会と親密な極右議員らも、そろい踏みで訪台を強行した。
何より米軍と自衛隊は、中国大陸に襲いかかるように軍事力を強化し、過去最大規模の多国間軍事演習を繰り返している(左図)。米海兵隊の対中国の軍事戦略「遠征前進基地作戦(EABO)」は、中国の防衛ライン(第1列島線)の突破を目的としたものだ。これを想定した日米共同訓練が、九州、沖縄を含む南西諸島で行われている。南西諸島では自衛隊基地が次々と建設され、さらに自衛隊は、米軍のEABOと一体で、新たに射程1000㌔メートル以上のミサイル1000発を南西諸島から九州に配備することを計画している。米海兵隊のラダー中将は「(日本のミサイルの)射程が延びるほど作戦の幅が広がるため、日本の取り組みを支持する」と述べている(「週刊朝日」9月23、30日合併号)。
米軍の新型中距離ミサイルは核兵器
重大なのは、米軍による日本列島への中距離核ミサイル大量配備計画だ。配備が有力視されるのは射程2775㌔に及ぶ極超音速滑空弾「ダークイーグル」だが、これをめぐっては「米軍は核弾頭を積む予定はないと言っている。だからダークイーグルは核兵器ではない」などというデマがしきりに振りまかれている。だが、そもそも中距離核戦力(INF)の定義とは、通常弾頭か核弾頭かを問わず、核保有国が地上配備型中距離ミサイルを保有した時点でそれを核兵器とみなすというものである。だからこそINF全廃条約は、弾頭の種類を問わず射程500~5500㌔メートルのミサイル保有を禁じたのだ(弾頭の取り換えなどいつでもできるのだから当然である)。そして同条約を米帝が2019年に一方的に破棄した直後、日本への配備計画が始動したのだ。配備予定のミサイルが核兵器ではないなどと考える方が無理筋である。
しかも米帝は近年、巨額をつぎこんで核兵器の近代化・実用化を進めており、各種ミサイルに搭載される核弾頭の威力は10~50㌔トンで自在に選ぶことができるという(19年10月3日付琉球新報、21年3月5日付朝日新聞など)。これでも「米軍が核弾頭を積むなんて未来永劫(えいごう)絶対ありえない!」などと無責任に主張する者は、核戦争を容認・推進する者とみなされて当然である。
安倍晋三はウクライナ戦争勃発直後、「今がチャンス」とばかりに、米軍の核兵器を日本に配備する「核共有」を検討すべきだと主張した。この安倍を、岸田は国葬で祭り上げようとしているのだ。米日の核兵器配備の意図は明白である。
米帝危機が戦争の根源
まさに「新自由主義の大崩壊と戦後世界体制の最後的崩壊」の中心軸として、米帝の対中対決と全帝国主義を動員した中国侵略戦争が現実化している。米国内では〈コロナ×大恐慌〉の深化―インフレの加速と金融政策の破綻の中で階級矛盾・対立が非和解的に激化し、支配階級の分裂も深まっている。そして世界支配崩壊の危機に直面している。ここから米帝は自らの延命をかけて、大国化した中国の打倒とその現体制の転覆を狙う戦争へと踏み出したのだ。日帝も日米安保同盟のもとで存亡をかけてこの戦争に加わっている。中国スターリン主義は追い詰められ、本質的に受動的で、対抗的に積極的な行動に出ている。それによって世界の労働者人民の反戦闘争に敵対し、世界戦争情勢を一層加速している。
労働者階級人民がこの中国侵略戦争―世界戦争を阻止する唯一の道は、自国帝国主義打倒の闘いを貫き、反帝国主義・反スターリン主義世界革命を闘いとることである。労働者民衆の直接行動こそ、歴史を動かす力だ。安倍国葬粉砕、中国侵略戦争阻止をかけて9・23芝公園に総結集しよう。