三里塚新やぐら裁判控訴審 農地強奪認める反動判決 強制執行阻む実力闘争を

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週刊『前進』04頁(3260号04面01)(2022/09/12)


三里塚新やぐら裁判控訴審
 農地強奪認める反動判決
 強制執行阻む実力闘争を


 9月2日、東京高裁第2民事部(渡部勇次裁判長)は、新やぐら控訴審で極悪の反動判決を出した。市東孝雄さんの天神峰農地に建つやぐら、看板など四つの工作物について、「収去と土地の明け渡しを命じた原判決を取り消せ」との三里塚芝山連合空港反対同盟の訴えを退けて控訴を棄却し、しかも「仮執行宣言」を付けたのだ。これにより成田空港会社(NAA)は判決の確定を待たずに天神峰農地の強奪とやぐら・看板の破壊・撤去を行うことが法的には可能になる。絶対に許すことはできない。
 反対同盟をはじめ100人近くが傍聴席を埋める中、開廷すると直ちに渡部裁判長が判決の言い渡しを行った。「主文、本件控訴を棄却する」。その瞬間、法廷は怒号で満たされ、裁判長の声はかき消された。「ふざけるな!」「農民殺しへの加担だ!」「絶対に認めない!」
 渡部は続けて「仮執行できる」と主文を読み上げ、即座にその場から逃亡した。傍聴者全員が徹底的に抗議をたたきつけ、激しい怒りで法廷を揺るがした。
 裁判所門前に再結集し、太郎良陽一決戦本部長のリードで裁判所にシュプレヒコールを上げ、憤りを爆発させた。「控訴棄却を許さないぞ!」「やぐら・看板を守り抜くぞ!」「安倍国葬粉砕!」
 その後、全員が弁護士会館に移動し報告集会が開かれた。司会を伊藤信晴さんが務めた。
 最初に弁護団事務局長の葉山岳夫弁護士が発言に立ち、判決理由の反動的な核心点を批判した。
 ▼市東家に秘密裏に空港公団(NAAの前身)が転用の見通しも計画もないまま旧地主から用地を「取得」して、15年も所有権移転手続きを行わず農地として使わせていたことは、農地法第5条違反。
 ▼農地を農地のまま利用することを目的として「取得」したとすれば、農地法第3条違反。
 ▼千葉県知事の許可なく行われた農地賃貸借解除は、農地法第20条違反。
 以上のような弁護団が行ってきた主張に対し、判決は、「激しい空港反対運動があって用地買収を進めるのは容易ではなかった。空港敷地への転用目的で農地を取得したとしても、公団が具体的な転用計画を立て敷地を整備することができなかったのは仕方ない。成田建設のための農地転用は、事業の公益性・公共性から、県知事の許可は不要」などと、全面的にNAAの立場に立って退けた。
 さらに、市東さんには「やぐら・看板についての使用借権(無償で借りる権利)はない。反対同盟に使わせたのは違法だ」と決めつけた。専門家証人による「航空需要の減少は回復しない」との予測については、「証人の一つの見解」と切り捨てた。
 そして最後に仮執行について、農地法裁判、請求異議裁判の判決が「すでに確定している」ことを振りかざし、「仮執行宣言を付す必要がないとする理由は見当たらない」との非論理を並べてお墨付きを与えた。
 葉山弁護士はこの判決理由を、「NAAの主張のコピー&ペーストであり、とんでもない憲法違反。直ちに上告手続きし、仮執行宣言に対しては執行停止の申し立てを行う。上告審を徹底的に闘う」と述べた。
 最後に婦人行動隊の宮本麻子さんが「反対同盟は、裁判闘争、現地実力闘争などあらゆる手段で闘い、市東さんの農地を守り勝利します。決戦本部を中心とする毎晩の座り込みをさらに強化します」と、反対同盟の固い決意を鮮明にした。
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