戦時下の階級的労働運動を全同志の力でつくりだそう 革共同中央労働者組織委員会議長 松丘静司
週刊『前進』04頁(3260号03面02)(2022/09/12)
戦時下の階級的労働運動を全同志の力でつくりだそう
革共同中央労働者組織委員会議長 松丘静司
戦時下における階級的労働運動とは何なのか、その根本思想をどう考える必要があるのか。そこに真正面から立ち向かって、この時代に本当に通用する階級的労働運動を確立したい。これは単に個人的な努力ではなく、全党の同志の力を結集して、実践的に突き当たった問題と格闘することを通して、この時代にわれわれがどういう労働組合・労働運動をつくるかをはっきりさせたい。ロシア革命の過程でも何度か労働組合をめぐる大論争があり、これにレーニンは挑んでいった。戦争情勢だからこそ、真正面からこの問題を見据えなければいけない。
労働運動の歴史では、一つの産別の、一つの地域の闘いであっても、その時代の労働運動の水準を決定するような闘いがある。戦前で言うと1921年の神戸の造船労働者の大争議。戦後は、1947年の2・1ストとそこに至る過程の闘い。60年安保闘争と一体で闘われた三池闘争。そして動労千葉という形をとった国鉄分割・民営化との闘いであることを確認したい。われわれは国鉄分割・民営化に勝ちぬいた唯一の勢力だと8回大会で総括しましたが、新自由主義時代の労働運動の一つの水準を決定したのは間違いない。だがそこで切り開いたものを本当の意味で主体化して、そこから何を取り出すのかがこれからの課題です。
動労千葉元委員長の中野洋さんは言っています。「資本主義がぶっつぶれるかどうかという危機に直面した時に、本物の階級的労働運動を貫けるかどうかが核心問題なんだ」と。新自由主義が大崩壊して戦争が現実化している時代に階級的なものを貫けるかどうか。その際に土台にすべきは、国鉄分割・民営化反対闘争の総括として出された中野さんの『新版・甦(よみがえ)る労働組合』という本だと思います。中野さん自身が「あそこには動労千葉30年の総括が基本的に全部書かれている。労働運動がどうあるべきか原則的なことも全部盛り込んだつもりだ。だから若い人たちはこれをバイブルのようにして読んでほしい」と言っていました。
読んでみると、いきなり冒頭から労働組合の一番大事なことは時代認識だと繰り返し出てくる。どんな小さな労働組合でも時代認識を持つことが核心であり、これをぬきに労働者は本当の意味で団結できないと書いている。それが動労千葉組合員の意識水準を上げて国鉄分割・民営化と闘う力をつくり、動労千葉のすべてをつくったんだと。労働者の団結は要求が前進した時にはうまくいくが、後は崩れていくということを労働運動は繰り返してきた。だが動労千葉の歴史は、ほとんどの時は要求なんか1ミリも前進しない。だけど団結は揺るがなかった。その団結はこの時代認識から生まれたんだと。
別の言い方では、労働組合は価値観なんだと中野さんは言っています。そういうものとして階級的団結をつくろうとした。それはそれまでの既成の労働組合論には全くなかった新しいものだと思う。
もう一つ、中野さんは、労働組合というのは職場で団結を組織する、この時に職場を一つの権力として組織しなければいけないと書いている。つまり資本、国家権力に対する強制力を持たなければいけない。ある意味で労働者に対しても。ではその強制力をどうやって持つのか。物理的に持てるわけではない。結局、何をもって団結を組織するかという点にかかってくる。例えば国鉄分割・民営化阻止のストライキを指令した時に組合員が首をかけて決起する関係を組合員との間につくり出せているのかどうか。これも時代認識を徹底的に持つことに行きつく。
職場の日常的な要求を掲げて闘うことは、既成の労働組合と基本的には同じ。だけど何が違ってくるかというと、その要求を「うまく処理できた」ではなく、国鉄分割・民営化と闘った時で言えば、現場の労働者一人一人が「こんなことは絶対許せない」と自らの決断をもって、首をかけて闘う決意をするところまで徹底的に議論する。そして闘った経験を通して自分がやったことの正しさを自ら確認していく。この蓄積、これが階級性。そういうことに全力で挑戦していかなくてはならない。
最後に、戦後の日本の労働運動からただ一つ、正しく継承しなければいけないことは、日本の労働運動は反戦闘争を基軸にした労働運動として初めて成立してきたことだ。この点を継承し、その限界をのりこえることが問われている。戦時下における階級的労働運動は、新自由主義の大崩壊をどうしたら革命に転化できるのかをめぐる格闘です。9・23―27国葬阻止から11月へ向かう過程を、われわれが党としてこの時代に実践的に、新たに踏み出していく過程として闘いましょう。