郵政労働者は9・23に結集を 戦争への動員と合理化うち砕き 労働者の職場権力を確立しよう

週刊『前進』04頁(3259号02面03)(2022/09/05)


郵政労働者は9・23に結集を
 戦争への動員と合理化うち砕き
 労働者の職場権力を確立しよう

(写真 今年6月の岡山でのJP労組大会でビラまき・宣伝活動)

 安倍国葬への抗議が拡大し、コロナ第7波の感染爆発と医療崩壊への怒りの声が広がる中、岸田政権は支持率の急落に追い詰められながらも、9・27安倍国葬をあくまでも強行し、それをもって改憲と大軍拡への突破口を開こうと狙っている。これに労働者・労働組合はいかに対決するのかが問われている。労働組合が戦争に率先協力する機関に変質したとき、労働者の戦争動員が始まる。これが歴史の教訓だ。反戦闘争を貫く階級的労働運動の登場が今こそ求められている。

戦争協力賛美するJP労組を許すな

 JP労組は6月の全国大会で、ウクライナ郵便労組・ニコライ委員長のビデオメッセージを流した。ニコライ委員長は、「ウクライナ郵便の従業員は武器を持って国土と自らの町を守り、命を懸けて闘っています。ウクライナ軍に招集されたチェルニヒフ支店長で組合員のセルゲイ・チジコーフさんが3月4日に敵の戦闘機やドローンを撃墜しました」と組合員の戦争協力ぶりを誇示した。JP労組大会はこれを受けて「ロシアによるウクライナ軍事侵攻に抗議する特別決議」を採択し、その中で「(ウクライナの郵便労働者が)命の危険と隣り合わせの中で郵便や年金を届け……ユニバーサルサービスを守っていることに敬意を表す」などと賛美した。
 ウクライナ戦争がアメリカ帝国主義の主導下で果てしなく激化・泥沼化し、停戦協議すら見通せない中で無数のウクライナ人民とロシア兵が命を奪われている。だがJP労組は、労働組合としてこの戦争をただちにやめろと要求するのではなく、反対にウクライナ郵便労組が戦争に率先協力していることに「敬意を表す」と決議したのだ。戦時下における郵便労働者の任務とは、「敵国」とされた他国の労働者と戦うことなのか。断じてそうではない。戦争を引き起こす自国政府を倒し、労働者が主人公の世の中をつくることこそが労働者・労働組合の任務だ。

民営化破綻で土曜休配と翌配廃止に

 国土交通省検討会で打ち出されたJR在来線4割廃線は、これまでのコスト削減や競争原理の徹底といったレベルを超えた、軍事予算確保と労働者の戦争動員を一切に優先する戦時型国家への転換である。それは国鉄分割・民営化の大破綻と新自由主義の崩壊を最も象徴的に示す事態であると同時に、何よりも戦争に向けた「国家改造計画」が始まったことを意味しているのだ。これと同じ攻撃は郵政でも始まっている。
 まずはっきりさせるべきは郵政民営化の破綻だ。日本郵便の中期経営計画は、2021年度の連結営業利益(郵便・物流事業、窓口事業、国際物流事業)1400億円が25年度には490億円まで落ち込むと想定している。毎年赤字を出し続ける状態に歯止めがかからない。それも当然だ。そもそも郵便事業のような全国一律料金のユニバーサルサービスで黒字が出るわけがない。かつて東京中央郵便局1局で北海道郵政局全体の営業利益と同等と言われた。その構造はJRでも同じだ。
 また物流へのシフトと称するJPEXは破綻し、日通ペリカン便との統合は巨額の赤字と大混乱を生んだ。豪州トール社買収の失敗、簡易保険不正の発覚など挙げればきりがない。そして行きついたのが、一昨年の郵便法改定による普通郵便の土曜配達および投函の翌日に届く「翌日配達」の廃止だ。それは郵便事業切り捨ての始まりである。
 翌日配達体制は、深夜に郵便物の仕分け作業を行うことを前提に成り立ってきた。歴史を振り返れば、1960年安保闘争後の61〜65年の郵政長期合理化計画として深夜伝送便と16時間勤務が導入された。78年末から79年にかけて闘われた反マル生越年闘争に対しては、多くの青年労働者・活動家に79年4月28日付で免職を含む懲戒処分攻撃がかけられ、全逓中央はこれを機に(70年安保・沖縄闘争の高揚を引き継ぐ郵便労働者の戦闘性を抑え込むかたちで)労使協調路線へと転換していった。そして鉄道郵便から自動車便への合理化により84年には郵便車内での取扱便が廃止された。
 翌日配達体制を軸とする合理化と労組破壊攻撃は改憲攻撃と一体で進んできた。さらに、殺人的労働条件といわれた深夜勤導入は2004年2月。以来、深夜割増賃金を生活の糧(かて)とする期間雇用社員によって翌日配達体制が維持されてきた。だが今や当局は、50年にわたり労働者の強搾取、労組破壊の上に築かれてきた翌日配達体制を自ら手放した。民営化の万策尽き果てた姿だ。
 このように郵便事業そのものの崩壊が進む一方で、郵政当局はウクライナと同じように、ユニバーサルサービスと称して現場労働者に戦争協力を強制しようとしている。日本郵便が12年10月に出した国民保護業務計画では、第3章「国民保護措置に関する事項」の第5節「武力攻撃事態等発生時における郵便業務の確保」の中で、「支社長は、平常時から、武力攻撃事態等発生時において、受持区域内の郵便物の運送及び集配の確保のために採用し得る迂回経路、代替路線、代替輸送機関等の現状の把握に努めるとともに、重要区間又は孤立地域に対する郵便物の緊急輸送に関して、地方公共団体、自衛隊その他関係機関の協力を得る体制を整備しておくものとする」と明記されている。
 岸田政権の国家改造攻撃に呼応して、郵政職場でも戦争動員への準備が一気に進められようとしている。

反戦と職場の闘いで力関係の転換を

 郵政職場では極限的な人員不足の中で現場労働者が職場を回している。日本郵政は「DX(デジタルトランスフォーメーション)推進」を掲げるが、労働者が担う業務を機械に置き換えることなどできない。この展望のない合理化施策をあくまでも強行するために、徹底した分断と服従を現場労働者に強制しようとしている。強制配転と「交通事故や郵便の放棄・隠匿を撲滅する」と称した労務管理の強化が進められている。
 たとえば東京支社の「安全担当」という職場政策は、緑の腕章をさせて、当局に代わって労働者自身による監視を強制する攻撃だ。分厚い資料の中には、「左手は腰に右手はスローガンを指さし、肘(ひじ)をまっすぐに伸ばし絶叫」「声が小さいときには大きな声が出るまで何度でもやり直させろ」と書かれている。軍隊式の労務管理は、まさに戦争に向けた職場支配の転換を狙うものだ。だが東京支社傘下の各局では、管理者の中からも「支社の指示が必ずしも正しいとは言えない」といった声が上がっており、民営郵政資本の意思を貫徹できないもろさが露呈されている。
 世界戦争・核戦争を反帝・反スターリン主義世界革命に転化する闘いは、反戦政治闘争の大爆発と生産点における職場支配権をめぐる闘いにかかっている。プロレタリア独裁・自国帝国主義打倒を据えて、労働者大衆を階級に組織する闘いに打って出よう!
 民営化反対を口で言うのは簡単だが、民営化反対で闘うことは簡単ではない。職場で起きている現実こそ民営化の現れだからだ。しかし、職場の現実をよしとしている労働者は一人もいない。現場の目線から当局との力関係を逆転していく闘い(職場支配権の奪還)が民営化反対の具体的闘いだ。その闘いに現場の労働者を組織することから逃げないことだ。困難はつきものだ。それでもあきらめないことが勝利の展望だ。
 全国の郵政労働者は9・23全国闘争に総決起しよう。職場を変えるということは、世の中を変えることと同義だ。労働者は必ず立ち上がる。全国の郵政労働者は団結してがんばろう!
〔革共同郵政労働者委員会〕
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