9・2やぐら判決―9・4現地へ 機能強化粉砕、三里塚決戦に立とう

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週刊『前進』04頁(3257号04面01)(2022/08/22)


9・2やぐら判決―9・4現地へ
 機能強化粉砕、三里塚決戦に立とう

(写真 「軍事空港阻止・農地死守」7・1樫【かし】の木まつりでデモ)

(写真 反対同盟の看板)


 三里塚・新やぐら裁判控訴審は東京高裁第2民事部(渡部勇次裁判長)で9月2日に判決日を迎える。同4日には、三里塚芝山連合空港反対同盟が呼びかける現地闘争が、B滑走路延伸予定地デモとして行われる。三里塚9・2―4連続闘争に立ち上がり、市東さんの農地を守りぬこう。機能強化攻撃を粉砕し、成田軍事空港を労働者・農民・学生・人民の実力で廃港にたたき込もう。

強制撤去を実力で阻もう

 新やぐら裁判は、市東孝雄さんの天神峰の畑に建つ反対同盟所有の看板、監視やぐらなど四つの物件を守るための裁判闘争だ。成田空港会社(NAA)が「収去と土地の明け渡し」を求め2014年に提訴し、NAAの主張を丸ごと認めた一審千葉地裁の不当判決(20年8月)に対し、反対同盟が控訴し闘ってきた。
 市東さんの天神峰耕作地についてNAAは、「所有権を取得した」と言い張るが、まったく無効だ。
 空港公団(NAAの前身)は耕作者である市東家に無断・秘密で旧地主から底地を買収し、転用する具体的な計画も見通しもなく15年間も隠し通してきた。あらゆる意味で明白な農地法違反だ。ところがNAAは「成田なら何をやってもよい」とばかりに、千葉県知事から賃貸借契約解除の許可決定を取り付け、市東さんに「農業をやめて出ていけ」と迫っている。こんな地上げ屋の手口にお墨付きを与える原判決は、取り消されなければならない。
 反対同盟と顧問弁護団は全力を傾け控訴審での3回の口頭弁論を闘ってきた。
 「反対同盟が建てた看板ややぐらは、私の完全無農薬有機農業と三里塚産直の会の産直運動と不可分一体のもの。強制的に撤去することは自分の農地を取り上げるのと同じです」(市東さんの証言、第2回)
 「NAAは農民から土地を取り上げ、自然環境を破壊し、無駄に電気を使い、大量のCO2排出で地球温暖化を促進する、会社とは名ばかりの国営企業です。戦争になれば成田は軍事転用されることは明白。こんな会社に市東さんの農地は絶対に渡せません」(東峰・萩原富夫さんの証言、第3回)
 また、憲法、福祉法学、経済学の専門家証人の証言をも得て、原判決の誤りは証明され尽くしたと言ってよい。だが、「国策裁判」は常に正義も道理も踏みにじり、権力を利する判決を打ち下ろす。
 仮に東京高裁が反動的控訴棄却を言い渡した上、NAAの要求通り判決確定を待たずに強制執行を認める「仮執行宣言」を付けてきた場合、直ちに現地での実力攻防へと突入する。

今こそ軍事空港廃港へ!

 NAAは、「空港機能強化」の手始めとして、B滑走路の再度の北延伸(3500㍍化)にこの秋から着手するとしている。
 新型コロナをきっかけに航空バブル、観光バブルがはじけ飛び、成田空港は文字通りの存亡の危機にたたき込まれている。今後感染状況がどうなろうと、観光にしろビジネスにしろ航空燃料を浪費しながら人々が大量・高速・頻繁に移動する社会は戻ってこない。
 欧州では若者を中心に、航空機での移動を忌避する「飛び恥」運動が続いている。全世界で空港の新設中止や拡張計画見直しが進んでいる。現状の成田そのものが、維持費だけで経営を圧迫する過剰施設群になり果てている。
 そんな成田に巨費を投じてB滑走路を延伸し、芝山町の農村地域をことごとくつぶして第3滑走路を建設する機能強化推進を、NAAはやめようとしない。
 それは日本帝国主義が成田の軍事転用をもくろんでいるからだ。
 成田空港=「新東京国際空港」建設は、1960年代半ばに羽田がベトナム戦争のための米軍チャーター機により手狭になったことから計画された。
 90年代、米軍は「朝鮮有事」の際に優先使用する施設として「成田、羽田、関西」など30カ所に及ぶ日本の空港、港湾を徹底調査していることが発覚した。
 そして今日、安倍の主導で2013年に打ち出された防衛力の新基本概念である「統合機動防衛力」のもとで、沖縄・南西諸島ミサイル基地化と連動し、成田が米軍・自衛隊の巨大兵站(へいたん)基地として使用されることは火を見るよりも明らかだ。
 反対同盟が当初から掲げる「軍事空港建設反対」のスローガンは、今きわめて実践的な意味を持つ。
 「農地死守・空港廃港」は、改憲・戦争・大軍拡へと突き進む岸田政権打倒の闘いそのものだ。安倍国葬粉砕9・23闘争と一体で、9・2新やぐら裁判控訴審判決―9・4現地闘争に立とう。
 10・9三里塚全国総決起集会(成田市赤坂公園)に大結集しよう。
 反対同盟の呼びかけに応え、「地球環境の破壊と気候変動をもたらす、すべての空港拡張計画の白紙撤回を求める」新署名運動を推進しよう。
 控訴審判決と機能強化着工は、三里塚が再び実力闘争として爆発する合図となる。青年・学生はこの決戦の先頭に立ち、強制執行を許さず市東さんの農地を実力で守りぬくために、職場・学園から仲間を連れて三里塚に集まろう。

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