革共同の夏季アピール 世界戦争絶対阻止を 自国政府打倒・国際連帯闘争貫徹 安倍国葬粉砕!岸田政権打倒! 8~11月反戦大闘争に立とう


クリックでふりがな付PDFをダウンロード

週刊『前進』04頁(3255号01面01)(2022/08/01)


革共同の夏季アピール
 世界戦争絶対阻止を
 自国政府打倒・国際連帯闘争貫徹
 安倍国葬粉砕!岸田政権打倒!
 8~11月反戦大闘争に立とう

(写真 日米首脳会談粉砕へデモの先頭で闘う全学連の白ヘル部隊【5月22日 東京】)

(写真 7月22日、動労千葉、動労総連合を始め労働者・学生が「ローカル線を殺すな」と霞が関官庁街をデモ。その後、国土交通省に抗議行動を行った=記事4面)

はじめに

 「世界戦争か、世界革命か」の歴史選択が真っ向から問われる時代がついに来た。今この時も続くウクライナ戦争、そして差し迫る米日帝国主義の中国侵略戦争と第3次世界大戦・核戦争を止めることができるのは、反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命のみである。それを実現するのは戦争を自国政府打倒の内乱に転化する労働者階級の闘いであり、その国際連帯だ。
 この闘いは同時に、新自由主義の大崩壊をもってもはや完全に命脈が尽き底の底まで腐り果てた資本主義の社会を最終的に転覆し、労働者階級の手で人間が人間として生きられる社会(共産主義社会)を建設していく壮大な闘いへの突入だ。1917年のロシア革命が切り開いた道を全面的に継承し、完遂すべき時代に入ったのだ。
 革命的共産主義者同盟は、第8回大会でこうした時代の到来とそこにおける革命党・労働者党の任務を明確にし、反戦運動を基軸とする階級的労働運動路線を打ち立て、その実践に全力で挑戦してきた。22年前半の闘いはその第一歩を切り開いた。戦争情勢下で激化する革命と反革命との大激突にかちぬいて、この道をさらに徹底的、全面的に貫き発展させ、日帝・岸田政権打倒へ攻め上ろう。8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争を突破口に、9・23闘争を日米帝の中国侵略戦争絶対阻止の一大反戦闘争としてかちとり、安倍国葬を粉砕し、11・6労働者集会への大結集につなげよう。

Ⅰ世界戦争の開始と第8回大会から5カ月の飛躍と激闘

⑴5・15―5・22を頂点とする2022年前半の闘い

 われわれは昨年4月の日米首脳会談における台湾問題への言及を米日帝の対中戦略の大転換であると捉え、中国侵略戦争阻止の反戦闘争を「復帰」50年を迎える沖縄闘争を先頭に爆発させる決意を固め、本年1・1アピール、続く革共同第8回大会で「反戦闘争を基軸とする階級的労働運動路線」を明確にして闘ってきた。その最中でウクライナ戦争が始まった。これを中国侵略戦争―世界戦争・核戦争に向かう現実的プロセスが始まったものと捉え、ウクライナ反戦に全力で立ち上がった。
 そしてウクライナ戦争が米帝による中国侵略戦争の決断を背景にして、言わばその前哨戦として開始されたものであることを明確にすることで、日本労働者階級にとってのウクライナ反戦闘争は、核心的にも実践的・直接的にも中国侵略戦争阻止=自国政府打倒の闘いとして展開しなければならないことを打ち立てて闘いぬいてきた。
 このことが全く正しかったことは開戦以来の過程で証明されてきた。5月23日の日米首脳会談においてはバイデンが台湾有事への積極的な軍事介入を表明。6月末に開催され、日帝・岸田も出席したNATO(北大西洋条約機構)首脳会合では、NATOとしての戦略概念を改訂して初めて中国に言及し、ロシアもろとも粉砕すべき対象として中国を名指しした。
 こうした過程で「復帰」50年目の5・15沖縄現地闘争とバイデン来日弾劾・日米首脳会談粉砕の5・22闘争を、自国政府打倒の立場を貫き実力闘争の思想と実践を甦(よみがえ)らせるものとして闘いぬいた。
 沖縄県と政府の共催で開催された5・15式典では、天皇を会場の巨大モニターに映し出し、岸田が「領土回復を外交で実現した」と日米同盟を賛美し、式典後の会見で「辺野古が唯一の解決策」と辺野古新基地建設推進を宣言した。沖縄の米軍基地を固定化し、中国侵略戦争の最前線とするための式典に対して、赤嶺知晃全学連委員長を先頭に会場前での抗議闘争が闘われた。多くの仲間が50年前の沖縄全島ゼネストと渋谷暴動闘争の精神を継承して闘いぬくことを宣言した。とりわけ全学連は、昨年11月の沖縄全島ゼネスト50周年現地闘争以来、1、3月と数十人規模での学生の隊列を沖縄の街頭と辺野古現地に連続的に登場させてきた。「復帰」50年目の5・15を迎えたわれわれは、この日をさらなる飛躍点として沖縄闘争の爆発を実現することを宣言した。
 5・22闘争は、階級闘争を一変させる決断で全党・全人民が実力闘争に決起した。全学連と労働者市民が一体でスクラムを組み、体を張って闘いぬいた。
 われわれは昨年の7・23五輪開会式粉砕闘争を決定的な契機として、実力闘争の思想と実力闘争そのものの復権に向けた挑戦を開始した。「われわれは、社会に非和解的な階級対立、政治的衝突があるにもかかわらず、それが『秩序』の中にぬり隠されていく現実を打ち破らなければならない。さしあたりそれは、デモンストレーションやストライキ、資本・国家権力の攻撃から階級的団結を守りぬくための大衆的実力闘争の権利を一つひとつ奪い返していく闘いから始まり、新たな社会を創造していく力としての暴力、共同性の対立的表現としての暴力を奪い返さなければならない」(8回大会第1報告)。----まさにこの実践として全党が団結して闘いぬいたのである。恐怖した権力の事前弾圧は闘う人民の怒りを解き放った。
 何より実力闘争とは階級的非和解性を貫く内容での組織化によって実現される。時代認識と路線での日常的な討論と、それを貫く実践なくして蜂起戦的闘争は実現し得ない。われわれはデモなりストライキなり、節目を設けながら革命に向けた蜂起を準備し、自らの隊列を打ち鍛えていくのである。
 そして、このような闘いは改憲・戦争阻止!大行進運動発足の一つの原点でもある、2015年安保国会闘争の限界をのりこえるものとして発展している。すなわち、戦争絶対反対とは体を張って戦争を止めること、議会の数合わせではなく労働者の団結だけが戦争を止める力であるという実力闘争の思想を、実際の行動をもって示すものとなったのだ。
 また5・22闘争が、中国侵略戦争阻止を真っ向から掲げて多くの大衆的結集をかちとったことは重要な意味を持っている。それはわれわれの路線的な訴えが現実を捉えたものであること、大衆性・獲得性を持ったものであることの証明である。新入生を始め新歓で出会った学生・青年も含め、初めてデモに参加したような人も第1梯団で共にスクラムデモを闘った。
 さらに中国侵略戦争阻止の闘いは、集会に寄せられた中国人留学生のメッセージに象徴されるように中国労働者階級の支持と信頼を生み出している。3日間の闘争は連日中国本土でも報道された。中国政府の思惑があったにせよ、多数の中国人民がわれわれの存在に触れたことは今後の日中労働者の国際連帯にとって小さくない意義を持つ。長年にわたって築いてきた日韓労働者連帯とともに日中労働者連帯を建設し、中国侵略戦争阻止=アジア革命の展望をこじ開けよう。
 こうした一連の闘いは、「賃金でなく利潤を、福祉ではなく戦争をカットしろ!」と大規模ストに決起したイギリスRMT(鉄道・海運・運輸労組)を始めとした全世界の労働者階級の決起と一つにつながっている。ウクライナ戦争反対、中国侵略戦争阻止の闘いは世界革命と直結する闘いそのものだ。日本において自国政府と闘う反戦闘争をあらゆる勢力が放棄する中で、わが革共同こそが日本労働者階級全体を組織する大反戦闘争を爆発させる先頭に立とう!

国葬は戦争体制づくり

 こうした中で7月8日、労働者階級を戦争と生活苦、労働地獄の中に引きずり込むことに政治の全てを注いできた安倍晋三・元首相が銃殺された。帝国主義戦争がウクライナ戦争として始まり、労働者市民が日々殺されている中で、改憲・戦争勢力の最大の頭目であった安倍が打倒されたのだ。
 自民党から共産党、れいわ新選組も含めた全政党とマスコミがこぞって、この事件を「暴力による言論封殺」「民主主義への挑戦」などと非難し、わめいたが、革共同は直ちに声明を発して事件の本質はそんなところにあるのではないことを明確にした。すなわち、7・8が示したものは、日帝の末期的危機の時代に現れた「安倍政治」と呼ばれる新自由主義の極致、反動・腐敗と戦争の政治が、「安倍を殺してやりたい」というほどの労働者人民の怒りと憎しみを社会にあふれかえらせているということだ。大資本の利益のために労働者を徹底的に犠牲にし、貧困と過労死に追いやり、地域社会を崩壊させ、コロナ下で多くの人々の命を奪ってきたのが安倍だ。安倍は戦争・改憲推進のために官僚機構を独裁的に掌握して安倍の私兵集団に変え、森友学園問題では自らの犯罪を塗り隠すために公文書改ざん事件まで引き起こした。まさに安倍こそ「民主主義の根幹」を破壊してきた張本人であり、7・8の銃撃は安倍が自ら生み出したものである。
 日帝権力はこの事件を反動的に利用し、「国葬」によって安倍を美化し祭り上げ、改憲・戦争攻撃を一気にエスカレートさせようとしている。われわれは労働者階級の団結した闘いでこれをぶち破り、今や本格的に開始された革命と反革命との内乱的激突に勝ちぬいて、日本帝国主義の打倒へと突き進まなければならない。

⑵3労組を先頭とする階級的労働運動の着実な前進

 国鉄闘争全国運動は7月16、17日に千葉市内で集会を開催し、17日の集会には全国から720人が結集した。集会は、「国鉄1047名解雇撤回!関西生コン支部弾圧粉砕!」を軸に、岸田政権のもとで新たな段階に突入した改憲・戦争攻撃との対決と、国交省が進めるJR在来線大規模廃線化=戦争に向かう国家改造計画に対する闘いを一つにして、新自由主義を終わらせる労働運動再生の展望を作り出すものとなった。
 集会は、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部、全国金属機械労働組合港合同、国鉄千葉動力車労働組合の3労組が呼びかける11・6全国労働者総決起集会への闘争態勢を打ち固めた。

 7・17集会は戦時下における階級的労働運動の路線と闘いの方針を鮮明に打ち出した。その土台となったのは、今年2月の「『11月労働者集会』25年3労組共同アピール」、6月の動労千葉第86回定期委員会での「新・戦争協力拒否宣言」とJR在来線4割廃線を掲げた「国家改造計画」に対する闘いの宣言である。この三つの宣言は、国鉄分割・民営化から始まった新自由主義が大崩壊を開始し、出口を失った資本主義の危機が3度目の世界戦争を生み出そうとしている情勢に、労働運動がいかに立ち向かうかの必死の格闘の中から生み出されたものだ。
 ウクライナ戦争開始のただ中で、動労千葉は3月ダイヤ改定に反対して48時間のストライキを闘い、関西生コン支部は激しい労組破壊攻撃を打ち破って「なめたらアカンで!労働運動!5・28総決起集会」を420人を超える結集で闘い取った。こうした現場における闘いを通して、7・17集会は、戦争協力を拒否する闘いと国鉄分割・民営化以来の国家改造計画に対する闘いを一つにして闘うことを、労働運動変革に向けたすべての労働者の課題として確信をもって訴えた。
 さらに、3労組の闘いを先頭に反戦闘争を基軸とした階級的労働運動への転換が全産別で開始されている。とりわけ、〈コロナ×大恐慌〉の矛盾が最も集中する医療・福祉労働者は、闘いの中から「医療と戦争は相いれない」というスローガンを生み出し、7・1都立病院独立行政法人化の強行に反対するデモ、一時金増額と人員増を要求するストライキや厚生労働省に対する申し入れを闘いぬいた。自治体労働者と教育労働者も岸田政権の改憲・戦争攻撃と真っ向から対決し、戦争反対を第一の任務として新たな闘いを開始している。
 また、新自由主義の大崩壊は世界中で労働運動の新たな高揚を生み出し、国際連帯闘争の新たな発展をつくり出した。何より、クーデターと闘うミャンマー人民との連帯は、日本における反戦闘争の重要な闘いである。日本政府・財界は中国侵略戦争の最大の拠点としてミャンマーを位置づけ、国軍を支え続けている。在日ミャンマー人民と連帯し、岸田政権のミャンマー国軍支援弾劾、入管体制粉砕の闘いに立ち上がろう。

⑶「侵略を内乱へ」実現する革命党への変革と飛躍

 22年前半の前進は、革共同第8回大会の実践としてかちとられた。8回大会は、新自由主義と闘いぬいた30年を総括し、世界戦争・核戦争の危機が現実に火を噴き始めた最中において、反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命を実現する党への一大飛躍をかけた歴史的大会となった。
 第1報告は「階級的労働運動の再生(=革命)に挑むわれわれの最大の今日的立脚点は、国鉄分割・民営化攻撃を打ち破って非妥協的に闘いぬいた唯一の勢力である」ことを断固確認し、新自由主義との30年の闘いを総括しぬいた。この到達地平から第2報告で、新自由主義大崩壊・戦後世界体制の最後的崩壊として爆発する米日帝国主義の中国侵略戦争を革命的内乱に転化する闘いに向かって、党の団結と再武装を推し進めることを決定し、全党を挙げた突貫を開始した。
 全国委員会・政治局、大会代議員を先頭に、党大会決定の全内容で武装し団結し、決定を全力で実践に移してきたことが5・22闘争を切り開いた。組織として決定し実践するという、ブルジョア政治権力打倒―プロレタリア独裁樹立を意識的にめざす革命党本来の姿を甦らせたことこそ、91年5月テーゼ以来の三つの日和見主義を止揚し、8回大会がかちとった最大の地平だと断言できる。
 この時にEL5派=階級的労働運動反対派は、8回大会そのものを認めないというメンシェビキ以下の解党主義・小ブル自由主義の惨状をさらしている。5・22闘争から完全逃亡し、実力デモに「安易な戦術的エスカレーション」「空論主義」と悪罵を浴びせる。自国帝国主義の侵略戦争との対決という峻厳(しゅんげん)な立場と実践が問われる時、彼らは社会排外主義の反革命へと転落を完成した。ウクライナ戦争に対しても「米帝批判はできない」と明言し、帝国主義の侵略戦争と捉えることができない。階級的労働運動の否定は、レーニン帝国主義論の否定へと急速に行き着いた。
 EL5派はまた「連合で多数派にならないとプロ独は不可能」と主張する。だが「労働者階級の多数の獲得」と帝国主義労働運動・連合内で形式的な「多数」となることは同じではない。帝国主義労働運動・連合の「延長」に革命などない。
 大激動期―革命的情勢に、労働者階級はこれまでにはなかった階級的創造性・共同性を発揮して立ち上がる。階級的労働運動路線にはそれを引き出す力がある。既成労働運動の崩壊を労働者の危機と二重写しにして「階級的労働運動はできない」というEL5派の主張は、労働者階級には革命をやる力がないと言っているのと同じだ。国家・資本への屈服と階級性の完全な放棄である。
 「革命家とその党の使命は、まずもって労働者階級の自己解放の事業の不可避性を告げ知らせることにあるが、それは同時に革命の現実性と、その緊迫化とを自己の思想と行動のうえにもっともするどく主体化し、それをとおして労働者階級の自己解放の事業に前衛的方向をつくりだすことにあるのである」(「70年安保闘争と革命的左翼の任務」本多延嘉著作選第4巻)----8回大会路線で固く団結した党の決起こそが、反帝国主義・反スターリン主義プロレタリア世界革命を切り開くのだ。

Ⅱ帝国主義の末期的危機の爆発と中国侵略戦争―世界戦争

⑴米帝の中国侵略戦争はすでに開始されている

 革共同は、本年1・1政治局アピールにおいて、「新自由主義の大崩壊と戦後世界体制の最後的崩壊が引き起こす危機と矛盾が、米帝(米日帝)の中国侵略戦争として爆発していく過程が始まっている。それはまさに世界戦争であり、核戦争となる」と断言した。そして8回大会において、次のように確認した。
 「新自由主義大崩壊によって決定的に進行する戦後世界体制の最後的崩壊の全矛盾が、米日帝の中国侵略戦争として爆発する情勢が、不可逆的にさらに激しく進行する。それが2022年である。2014年(ウクライナ親米政権樹立とロシアのクリミア併合)以来の米帝・NATO帝国主義諸国とロシアのウクライナ侵略・再分割をめぐる情勢が一気に戦争化したことも、この米帝の中国侵略戦争情勢に完全に連動して起きている。いや、米中対決、米帝の中国侵略戦争の巨大さこそが、ウクライナ危機を一気に戦争そのものに転化させたのだ」(第2報告)と。
 われわれは、米中対決が米中戦争、米帝(および日帝)の中国侵略戦争へと転化し始めたことこそがウクライナ戦争とその後の全情勢を規定していることについて、ロシアのウクライナ侵攻から5カ月経った今、あらためてあいまいさなく確認しなければならない。「新自由主義の大崩壊と戦後世界体制の最後的崩壊」はまさにそのような形をとって爆発的に進行しているのである。
 世界の労働者階級は、米欧帝国主義を打倒する立場でこの戦争に立ち向かっていかなければならない。そうでないとプーチン体制のロシアとの階級的対決もできないし、自国政府の戦争推進と対決することもできない。ただただ帝国主義戦争の尻押し部隊にされていく。米帝の対中対決と全帝国主義を動員した中国侵略戦争(中国スターリン主義を帝国主義的に包囲し体制的につぶす戦争)が現代世界の矛盾の爆発、すなわち「新自由主義の大崩壊と戦後世界体制の最後的崩壊」の中心軸に座っていること、そしてロシア―ウクライナ問題も大きくその中にあるということを明確にすることが労働者階級にとって、決定的に大きな意味をもっている。
 ウクライナ戦争によって、世界経済危機は「戦争下のインフレ」となって爆発している。ロシアが石油・天然ガスを始めとしたエネルギー資源供給国であること、さらにロシアとウクライナはあわせて小麦を始めとする穀物供給において世界有数の地位を占めているため、全世界でエネルギー危機だけでなく食糧危機が爆発している。全世界的にインフレ・物価高を激しく促進し、中東やアフリカ諸国、スリランカ、ペルーなどで暴動あるいは暴動寸前の状態を引き起こすに至っている。
 アメリカやヨーロッパにおいても数十年ぶりのインフレの中で、コロナに痛めつけられてきた労働者の反乱、労働組合的団結を求める決起が巻き起こっている。帝国主義の金融的コントロールそのものが超不安定化する中で、労働者人民の生活を犠牲にした大軍拡、戦時財政への突進という状態に入りつつある。だが、日本の連合のように、労働組合のナショナルセンターは帝国主義の戦争の先兵となっており、戦時下で労働者階級の利害を貫いて闘うことをあらかじめ放棄している。
 労働者階級の利害を貫いて闘うためには、帝国主義の戦争に立ち向かわなければならない。それは、ヨーロッパやアメリカだけでなく日本を始め東アジアの労働者階級にとっても同じこと、いやもっと直接的で決定的なことだ。帝国主義は、ウクライナ戦争(対ロシア)をもその一環とした世界戦争として、中国スターリン主義打倒の戦争に突入しつつある。このことを明確にすることは労働者階級の闘争にとって根本的に重要である。

⑵現代世界の矛盾の集約点としての米中対決

5月日米首脳会談

 5月22〜23日の日米首脳会談とクワッド(日米豪印首脳会合)、6月末のG7(主要7カ国)サミットとNATO首脳会合は、ウクライナ戦争を対中国の本格的な帝国主義世界戦争=対中侵略戦争との関連ではっきりと位置づけた点で歴史的である。NATO首脳会合では、米欧の帝国主義国の首脳たち自身がはっきりと、帝国主義世界秩序の破壊者としてロシアを断罪した上で、ロシア以上に非和解的な、現代世界の支配秩序への挑戦者として中国を非難した。そして、両者に対する戦争体制のエスカレートに全力を挙げること、そのための軍事同盟の拡大・強化を確認した。日米首脳会談とNATO首脳会合は、基本的に同じトーンで、帝国主義の世界秩序を守るために中国・ロシア連合を打倒しなければならないとし、中国はロシアよりも深刻な「体制上の挑戦者」であると言い切った。
 日米首脳会談(共同声明)は、中国はロシアよりも重大な世界秩序に対する「戦略的挑戦者」であると規定し、あらゆる手段でこの挑戦に対する軍事的対処能力を強化すると打ち出した。これを受ける形で、岸田が日本の首相としてNATO首脳会合に初めて正式に参加した。このような設定自体、米帝バイデン政権が意識的に計画したものである。
 NATOはそこで、ウクライナ戦争体制のエスカレートを決めると同時に、10年ぶりにNATO戦略概念の改訂を行った。①ロシアを明確な敵=「最も重要な直接の脅威」と規定し、ヨーロッパにおける対ロシアの戦争体制をあらゆる形で強化すること。②ウクライナの戦争体制に対する「包括的な支援」(兵器体系をNATO標準に置き換えることが中心)を進める。③さらに初めて、ロシア以上に深刻な「体制上の挑戦者」であるという中国に対する規定(実質的敵国規定)を行った。④またフィンランドとスウェーデンのNATO加盟の承認、30万人の即応部隊の展開や、米帝がポーランドに前線司令部を置くことなどが確認された。
 帝国主義者どもは、こうして単にロシアだけでなく、中国スターリン主義と旧スターリン主義・ロシアをまとめて打倒対象であると規定したのである。5月の日米首脳会談の確認事項がこうして全世界化された。日米同盟を軸にした東アジアの戦争体制とNATOの戦略・体制が合体し、中国侵略戦争を軸においた世界戦争の体制、陣形の基本枠がつくられた(G7には、インドやオーストラリア、インドネシアそして韓国などアジアの国々が参加したことも画歴史的事態であった)。

米帝の対中ロ政策

 2010年採択のNATO戦略概念では、ロシアは「戦略的パートナー」と規定されていた。プーチンは01年の9・11反米同時テロ後に、チェチェン戦争の経験をひけらかしながら「対テロ戦争の先駆者」として米帝ブッシュにすり寄り、「戦略的パートナー」という称号を与えられ、一時期はそのままG8の一員として定着するかに見えた。この関係は、03年の米帝のイラク侵略戦争を経て動揺した。08年にウクライナとジョージア(グルジア)のNATO化宣言をめぐって帝国主義とロシアの関係が悪化した時、ブッシュを先頭に帝国主義はジョージア侵略戦争に出たロシアに経済制裁を科した。
 ウクライナ国内情勢はこのぶつかり合いの中で緊張した。09年にブッシュに代わって成立したオバマ政権は、ロシアとの関係の「リセット」を図り、12年のNATO会議において再び「戦略的パートナー」という規定を与えた。これは、イラン核合意などにロシアをも動員し、米帝自身は中東の「負担」を軽減して戦略的重点を東アジアにシフトするというオバマ戦略の一環でもあった。実際には、ウクライナにおける内政外交上の緊張はどんどん激化し、14年のヤヌコビッチ打倒の政変(ユーロ・マイダン)とそれに対する対抗としてのロシアによるクリミア併合という事態が生み出された。対ロシアの経済制裁や軍事的対決はエスカレートし、G8から追放した。「戦略的パートナー」どころか、実際はロシアを帝国主義世界秩序の敵として扱う状態、軍事的な激突の情勢が進んだ。
 その一方で、米帝はこの12年を一つの転機として、米軍部を先頭に対中全面戦争体制へと本格的に入っていった。米帝自身が、対中政策の根本的な見直しを迫られた時期でもあった。オバマからトランプへと政権の基本政策は動揺したが、米軍部は対中関係を軍事的に見直し、対中全面戦争の戦略を構築すると同時に、現場における軍事的対決をどんどんと進めた。トランプ政権下でこの対決は具体的実質的に進み、政権として、18年のペンス副大統領の演説と20年ポンペオ国務長官演説で全面的な国家的戦略的対決の対中政策を打ち出すにいたった。こうして、20年の大統領選挙戦を経て、「中国こそ最大のライバル」「体制上の挑戦者」であるとの認識と政策が、バイデン政権においてはっきり掲げられたのである。

現実を見据えよう

 米帝は、日米同盟とNATO軍事同盟を結合しながらウクライナ戦争の欧州大戦的な継続拡大とアジアにおける対中国侵略戦争=インド太平洋戦争を一体的に推進しようとしている。没落米帝にはそんな2正面作戦などできないだろうと言う人もいるが、米帝は持てる力をすべて発揮してこの世界戦争に突入する以外にないし、現に突入したということが決定的に重要である。
 そこをリアルに見据えることが、今進行しつつある事態に関する情勢認識および階級的・実践的な闘争の確かな始まりとなる。「帝国主義者といえども第3次世界大戦に簡単に突き進むことなどできない、没落米帝には往年の力はない」というような、ぼんやりとした平和主義(現代におけるカウツキー主義)、または、米中はどこかで折り合うはずだというようなあいまいな認識ではおよそ闘えない情勢になっている。百年前の「第2インターの崩壊」は他でもない、こうしたあいまいな態度、こうしたぼんやりとした認識を通した事実上の屈服(全面屈服)によってもたらされた。ここをのりこえることが今問われている。
 新自由主義大崩壊によって激しく促進された戦後世界体制の最後的崩壊は、一般的な戦争の危機としてではなく、米帝を先頭にした帝国主義が中国スターリン主義を打倒する戦争として形をとりつつあるのである。欧州におけるウクライナ戦争自体がその一環として現在の形をとったのであり、またウクライナ戦争は世界戦争としての帝国主義の中国侵略戦争の現実的引き金ともなっている。そのような帝国主義の現実的な動きをあいまいさなく見据えなければならない。そうすることによってこそ、残存スターリン主義・旧スターリン主義のあがきをも見据え、粉砕しのりこえる闘いが可能となる。

米帝の台湾政策の転換

 バイデン政権は、3月28日に発表した「米国家防衛戦略」において、中国こそが「最重要の戦略的競争相手」であると規定した。また、プーチンがウクライナに侵攻を開始してから後も、ロシア以上に中国を牽制(けんせい)し、「ロシアを軍事的に支援するな」と恫喝(どうかつ)し挑発する姿勢を取り続けてきた。日米首脳会談後の記者会見の席で、バイデンは台湾への軍事介入に関して「イエス」と即答した。バイデンは、ウクライナに関しては「軍事介入はしない」と言いながら事実上全面的な軍事支援を行っているのだが、台湾に関してははっきり「介入する」と答えたのである。
 最近では、エスパー前米国防長官が7月19日に台湾を訪問し蔡英文総統と会談した時に、「『一つの中国』政策はもはや役に立たない。『戦略的あいまいさ』から距離を置くべき時だ」と述べた。台湾防衛(全面的な軍事的介入)に関する米帝の意志をあらかじめ明確にする必要があるという意味である。
 中国は、バイデン、エスパーの発言と米民主党ペロシ下院議長の台湾訪問の計画に激しく反発し、軍事的対応をも示唆している。中国外務省の趙立堅報道官は、「『ひとつの中国』原則は、中国とアメリカの関係の政治的な基礎であり、国際社会における普遍的な共通認識だ。台湾カードを使って中国の内政に干渉し、核心的利益を損なういかなる人物や勢力に対しても断固反対する」と述べた。
 米帝は、台湾に対する軍事的支援を公然と強化しつつある。その内容は、F16戦闘機や自走砲、ロケット砲システムなどの売却・供与から、台湾国防軍への訓練などにまで及ぶ。米海兵隊は事実上、公然と台湾にプレゼンスしている。これらは、米軍の直接関与という点では、ウクライナに対する軍事支援とは質的に違う形で行われている。また在日米軍や自衛隊との直接連携、沖縄との直結性などでもウクライナとは全く違う。安倍が公言していたように、「台湾有事」は直接に、「米日対中国の戦争」になるのである。
 中国は、1995〜96年の台湾海峡危機の時に、台湾海峡にミサイルを撃ち込んで台湾の独立への動きを牽制しようとしたが、米帝が空母打撃群を露骨に台湾海峡に乗り入れたことによって、圧倒的な力の差を突きつけられた。中国はそこから(実際にはもっと前から)米帝との軍事的力関係を変革することに全力を挙げてきた。それが、いわゆるA2/AD(接近阻止・領域拒否)と呼ばれるものである。
 中国は、沖縄からフィリピン、ボルネオ、マラッカ海峡に至るいわゆる第1列島線の内側(中国の領域)への米軍の接近を阻止するために、第1列島線を越えて太平洋への進出能力を持とうとしてきた。具体的には、米空母打撃群を近づけないことと沖縄を最先端とする在日米軍の力を牽制しようとしてきた。そのために、中国自身の空母艦隊や潜水艦能力の建設をめざしてきた。それと結合して、ミサイル能力やサイバー能力・宇宙戦争能力を急速に高度化してきた。それらはもちろん、中国の核戦争能力の高度化を伴っている。
 中国の軍事力建設は、中国の経済大国化に伴って急速に発展した。これに対して米帝は中国を圧倒し、中国の軍事力を無力化するための米帝側からの軍事的エスカレートを推進している。エアシーバトルという基本的な戦争構想から島嶼(とうしょ)作戦などのオフショアバトルまで、総合的な領域横断的な全面戦争計画を推進している。

インド・太平洋戦略

 米中対決は必ず台湾問題に絞り上げられる。だが米中対立・米帝の中国侵略戦争は、中国が台湾に軍事侵攻してくることに対して日米帝が台湾を防衛する戦争としてあるのではない。米帝は台湾問題を使って中国を追い詰め、中国スターリン主義の体制を転覆する戦争にまで発展させようとしているのである。台湾問題はそうした米中対決の全体の構造の核心部にある。
 また中国は、軍事的に台湾を取り返すことにすべてを絞り上げているわけではない。米帝との軍事的対峙・軍事的力関係の変革を進めながら、経済的発展と大国化をさらに推し進めることが中国にとっての最大の課題であり基本戦略である。
 この観点から対中対決・中国侵略戦争の全体構造を見ると、米帝(日帝)の「インド太平洋戦略」が中国包囲の帝国主義的な争闘戦の大戦略であることが浮かび上がってくる。
 米帝は中国を経済的に締め上げようとしている。台湾をめぐる軍事的攻防を念頭におきながら、南中国海の支配をめぐる軍事的攻防が約10年間激しく繰り広げられてきた。また東中国海では「尖閣(釣魚台)」をめぐる攻防も激しく繰り広げられてきた。米帝は「航行の自由作戦」と称して南中国海における中国の南沙諸島制圧をやり玉にあげ、フィリピンやベトナム、インドネシアなどをけしかけながら、本格的軍事攻撃を仕掛ける機会を狙っている。
 この観点から、オーストラリアの動員が重要な戦略的な意味を持っている。マラッカ海峡をチョークポイント(艦船が必ず通らざるを得ない場所)として締め上げられた時、中国経済、中国の海洋通商は重大な打撃を受ける。中国が最近、南太平洋島嶼諸国との関係を安全保障関係に高めようとしたのは、米豪日を牽制し、グアムや沖縄基地を背後から脅かすという意味をもっていた。
 米日は、クワッドやIPEF(インド太平洋経済枠組み)をもって、インドとASEAN(東南アジア諸国連合)の全体を取り込み、中国と分断しようとしている。これがウクライナ戦争をめぐる経済制裁と絡み台湾のTPP(環太平洋パートナーシップ協定)加盟問題などとも絡みながら激しく進行している。軍事と経済が一体となって、戦時の分断の形をとって進んでいるのである。
 なお中国包囲の米帝のインド太平洋戦略の全体から見た時、対中戦争(軍事衝突)はどこからでも火を噴く状態になっている。南西諸島自衛隊配備との関係もあり、「尖閣(釣魚台)」は一段と緊張激化の状態に入るであろう。米中対決との関係で韓国の新大統領ユンソンニョル体制の下、朝鮮半島の緊張も激化している。米日韓軍事同盟的な方向の強化に対する民主労総を先頭にした韓国労働者階級の闘いは、東アジア情勢全体を揺るがす力をもって発展している。

対中国戦争は核戦争だ

 米帝の対中戦争は、核戦争そのものである。中国のミサイル体制を破壊する攻撃としての米帝のエアシーバトル構想は不可避に核戦争とならざるをえない。単体としてのミサイル基地をたたくのでなく、システム全体を破壊する必要があるためだ。

 米帝は、そのために今ある攻撃能力(戦略爆撃機、空母艦載機、潜水艦発射のミサイルなど)に加えて中距離核ミサイルの本格的配備を進め、核攻撃能力を一挙に高めようとしている。米帝は、岸田政権の改憲・戦争国家化の動向を見ながら、日本列島への中距離核ミサイル配備計画を持ち出し、数年後には配備する計画を進めている。
 19年6月に発表された米統合参謀本部の「核作戦」では、中国(やロシア)をターゲットにして「小型核=使える核」を実戦に投入することを想定している。そもそも米軍には核・非核兵器の本質的「区別」はない。「核作戦」では、核爆発で汚染された戦場に米軍の将兵を投入すると明言している。
 ウクライナにおいて、米帝は現在、核戦争(ロシアによる核使用)を避けるというスタンスをとっている。だが対中戦争においては全く違う。ここでは核戦争への発展または核を使用することを想定した戦争が最初から「構想」されているのである。日米共同声明においては米も日も、「拡大抑止を含むあらゆる手段をとる」「そのための協議をあらゆるレベルで行う」と強調している。恐るべき事態である。
 岸田は日米首脳会談においてもG7においても、来年の日本開催のサミットは広島で開催すると提起し、了承された。核戦争そのものとしての中国侵略戦争のための首脳会議を広島でやるというのだ。広島・長崎の被爆者の思いを頭から踏みにじる行為である。岸田はまた、電力不足を口実に原発9基の再稼働を指示した。放射能汚染水海洋放出阻止の闘いを始めとした闘いと一体で、今年の8・6広島―8・9長崎から来年へ向けて、核戦争阻止=中国侵略戦争阻止の闘いとしての広島サミット粉砕の闘いを構築していかなければならない。
 核戦争そのものとしてあるエアシーバトルと一体で、いわゆる島嶼作戦が南西諸島配備の自衛隊と米海兵隊を中心にすでに昨年来、演習を含めて激しく展開されている。EABO(機動展開前進基地作戦)と呼ばれるのは、南西諸島から中国沿岸部の島々を対象に、中国の領域にまで侵攻して攻撃拠点を確保し、それによって制空制海を確保するという作戦である。この作戦が、昨年来海兵隊と自衛隊の共同訓練として具体的に展開されている。
 台湾をめぐる戦争となった時には、沖縄は即戦場化することになる。米帝も日帝もそうした状態を想定している。嘉手納基地、普天間基地、そして南西諸島の自衛隊ミサイル基地は、中国侵略戦争の文字通りの最前線となる。辺野古新基地建設はそうした戦争同盟の「証し」として強行されている。ウクライナ情勢をにらみながら、政府・自民党は南西諸島住民の避難問題を論じ始めた。この議論そのものがまやかしである。自衛隊の戦闘行動のために住民を利用し、排除する。そこには「捨て石」とされついには「自決」強要に至った沖縄戦の論理が貫かれている。沖縄全基地撤去・自衛隊解体、安保粉砕・日帝打倒こそが「命(ぬち)どぅ宝」の貫徹である。

反帝反スタ世界革命を

 帝国主義体制の生き残りをかけた中国侵略戦争(中ロ連合打倒の帝国主義戦争)が今現に始まり、発展していることをしっかりと見据えよう。すなわち、帝国主義とスターリン主義の戦後体制が総崩壊し、ついに世界戦争の時代が到来したことを確認しよう。
 実践的には、レーニンが言う革命的情勢が全世界的スケールで生み出されたことを踏まえて革命情勢における革命党の三つの義務(第Ⅳ章で詳しく言及している)を党的にがっちりと確認しよう。最後に、資本主義、帝国主義そのものの崩壊、打倒、共産主義革命の戦取という世界史的、人類史的任務を反帝反スタの党として、厳粛に確認しよう。

Ⅲ 8~11月の一大反戦闘争で戦争阻止・岸田政権打倒へ

⑴国際労働者階級の先頭で9・23反戦闘争切り開こう

 全世界の労働者階級の眼前に、米帝―日帝打倒・中国侵略戦争阻止の国際反戦闘争の爆発をかちとることが、労働者階級と全人類の未来をかけた決戦として課せられている。今や破産国家化する日帝は、この戦争の火ぶたを切ることに自らの唯一の延命の道を見出すしかないほどの絶望的危機だ。しかしその道しかないがゆえに、凶暴化し改憲と労組破壊、治安弾圧強化とブルジョア独裁をむき出しにした政治へと突き進もうとしている。日本労働者階級の国際的位置・歴史的使命はきわめて重大である。沖縄の怒り、ヒロシマ・ナガサキの怒りを継承し、安保と基地に実力で闘いぬいてきた歴史、そして何よりも反スターリン主義・革命的共産主義運動と3労組を先頭とする階級的労働運動を生み出し、発展させてきた誇り高い歴史を持つ日本労働者階級こそが、そのすべてをかけて中国侵略戦争阻止の一大反戦闘争の爆発を国際労働者階級の先頭で切り開こうではないか。
 22年前半をエピソードとするような激闘の突破口を、8・6広島―8・9長崎反戦反核闘争で切り開こう。8月6日、全国から原爆ドーム前に結集し、岸田打倒の実力デモを闘いとろう。「オール広島」なる翼賛体制、警察2万人の戒厳態勢を打ち破る大デモを闘いぬき、今秋大闘争から23年5月広島サミット粉砕を、日本と世界の労働者人民の第一級の闘争課題としよう。8・15闘争(8・14集会)を、戦後77年の反戦運動を継承し、戦争遂行の自国政府打倒と国際連帯の闘争として闘いぬこう。
 沖縄を先頭に横須賀を始め全国で進む基地強化・演習激化に直ちに怒りをたたきつけよう。沖縄―本土を貫く基地撤去の闘いを強化・発展させよう。沖縄・南西諸島を拠点に米軍・自衛隊がEABOで次々とミサイルを撃ち込みながら「第1列島線」を突破し、嘉手納、三沢、岩国などの戦闘機を艦載した米空母打撃群が自衛隊艦隊を従えて突入していくことをどうして許せるか。全学連を先頭に5・15闘争まで上りつめた沖縄闘争をさらに発展させよう。沖縄を再び戦場にするな。全土出撃基地化を阻止しよう。米軍基地撤去・安保粉砕を掲げ辺野古新基地建設を絶対に阻もう。
 三里塚闘争もこの戦争情勢下で新たな決戦局面を迎えた。市東孝雄さんの決意に応え、農地強奪粉砕、軍事空港建設阻止の闘いをさらに強めよう。改憲・戦争攻撃との対決は差別主義・排外主義との闘いを始め全戦線での第一の課題だ。特に反軍闘争の前進は重要となった。
 国際連帯闘争の大発展を切り開こう。ミャンマー国軍による民主活動家への死刑執行強行を徹底弾劾する。ミャンマー人民は事実上の内戦・内乱に立ち上がっている。現代世界を根底から転覆する非妥協の闘いに連帯して立ち上がろう。入管法改悪阻止・入管体制粉砕へ闘おう。
 今夏の闘いの地平を「改憲・戦争阻止! 安倍国葬粉砕!」の9・23大反戦闘争の爆発へと集中させ、5・22を数倍・数十倍上回る規模と戦闘性で闘いとり、11・6全国労働者総決起集会/改憲阻止1万人大行進を日比谷野音を怒りで埋め尽くす巨大な力としていこう。
 世界戦争が実際に始まっている時代において引き起こされた7・8安倍銃撃死に、誰もが大動乱の時代の到来を実感している。労働者階級人民が一気に政治に引き込まれ、民主主義の欺瞞(ぎまん)が暴かれ、階級闘争が実力決起に発展する情勢だ。
 他方で日帝・岸田政権と自民党は、改憲・戦争攻撃の司令塔であった安倍の死に大打撃を受けている。参院選終盤には「安倍の遺志を引き継ぐ」と自民党候補者たちが絶叫し、国葬による安倍の美化・英雄化を改憲と戦争のテコに転じようとしているが完全に墓穴となっている。9・27安倍国葬は粉砕あるのみだ。
 9・23闘争を、中国侵略戦争阻止を真正面から掲げ、改憲と戦争のための大攻撃としての安倍国葬を粉砕する一大反戦闘争として闘いぬこう。全学連を先頭に、改憲・戦争阻止!大行進の飛躍的発展をかちとろう。労働者民衆に戦争を止める力があることを行動で示そう。これらのすべてを、帝国主義戦争を内乱に転化する闘いそのものとして意識的に切り開こう。

⑵「国家大改造」攻撃粉砕!全産別・地域から11・6へ

 日帝は新自由主義の大崩壊の中で、すでに社会全体の崩壊にたたき込まれている。インフレと円安、コロナ感染爆発第7波への突入は日帝をさらに奈落にたたき落とす。新自由主義40年は、日帝を破綻国家―日本全土を「限界集落」化させている。日帝支配の大崩壊は不可避だ。
 そこからの絶望的突破をかけて岸田政権は、国家そのもののスクラップ&ビルド、より極端化された「選択と集中」で、労働者人民の生活と権利をなぎ倒し、「国力」のすべてを資本の利益と国防・戦争に集中しようとしている。防衛費11兆円もの大軍拡は、大増税と公共交通、医療・福祉、公教育、自治体機能などあらゆるものを労働者階級から奪い尽くさなければ成り立ちようがない。そこに日帝は踏み出した。外への侵略戦争・内への階級戦争は一つだ。
 転換点は5月日米首脳会談後の6月に閣議決定された「骨太方針2022」だ。骨太方針は、ウクライナ戦争と「権威主義的国家」(=中国)によって世界は一変したと叫び、中国侵略戦争のための軍事力の抜本的強化へすべてを注ぎ込む戦時財政へ画然とかじを切った。財源問題について「危機に対する必要な財政支出は躊躇(ちゅうちょ)なく行い、万全を期す」「重要な政策の選択肢をせばめることがあってはならない」と断言した。まさに戦争の論理で、社会生活の全分野にわたり、階級的あるいは公共的なものをすべて一掃するということだ。
 「骨太方針」と同時に閣議決定された「デジタル田園都市国家構想」では遠隔教育、遠隔医療、ドローン物流、子育てもリモートなどをあげ、地方の交通・物流、教育、自治体などのことごとくをDX(デジタルトランスフォーメーション)の名で切り捨てる。この構想を中心で担っている竹中平蔵は「国家改造計画」と明確に主張する。
 これらの基盤に位置づけられているのが鉄道廃線だ。7月25日、国交省に設置された有識者会議が提言を発表した。1㌔あたりの1日平均乗客数を示す「輸送密度」が1000人未満などを目安に、地方ローカル線の存廃を話し合うJR(鉄道会社)と自治体の協議会を国が介入して設置するルールを作って法制化し、半ば強制的に大規模な廃線化に踏み出すというものだ。
 この攻撃は単なる国鉄分割・民営化への回帰ではない。これまでのコスト削減、競争原理の徹底といったレベルを超え、資本や国家にとって付加価値を生み出さないものはすべて切り捨て、軍事予算確保を一切に優先する戦時型国家への転換に踏み出したことが一連の攻撃の本質だ。攻撃はこれまでの延長ではない。国交省検討会路線に対する闘いを、反戦闘争を基軸とする階級的労働運動の重要な課題として据え、全産別の闘いに押し上げよう。
 この検討会と並行して国交省は「今後の鉄道物流のあり方に関する検討会」を開催し、5月の会合には防衛省の職員が出席して「自衛隊における鉄道輸送」について議論を行っている。そこでは「台湾有事」を想定して「北海道~本州の基幹部隊について、南西地域へ各種輸送力により速やかに輸送を行う」ために、「鉄道輸送の更なる活用を追求」するとしている。採算のとれない線区を大規模に廃線にする一方で、JR貨物については軍事輸送のために徹底的に利用するというのだ。まさに戦争の論理そのものだ。

⑶新自由主義に勝ちぬいた3労組が結集軸となる時

 動労千葉はこれらの攻撃を「JR在来線4割廃線を掲げた国家改造計画」であると断じて闘いに打って出た。新自由主義によって社会が崩壊していく大きなきっかけとなったのは、鉄道、自治体、郵便局、学校、病院などの公的部門が民営化され、非正規職化が進められていったことにあった。国交省検討会路線は、この事態を一気に加速させるものだ。それは「第2の国鉄改革」攻撃として、すべての労働者の未来を左右するものである。
 動労千葉元委員長の中野洋氏は、2008年刊行の『新版 甦る労働組合』の冒頭で「帝国主義の基本矛盾が世界恐慌と世界戦争として爆発していく時代に、『資本家階級の権力をうち倒して、労働者の社会をつくろう』という立場に立つ労働運動が必要だ。労働者の階級的利害を本当に貫くものが主流派にならなければ、労働者の勝利はない」と提起し、「労働者の解放をかちとるために本気で闘う労働者はみな、11月労働者集会に集まってほしい」と熱烈に訴えた。
 08年リーマンショック・大恐慌を契機にした新自由主義の崩壊から14年。帝国主義の危機はついにウクライナ戦争の開始をもって第3次世界戦争・核戦争へと転化する過程に突入した。40年にわたって社会を覆い尽くしてきた新自由主義は、自らが生み出した矛盾によって大崩壊を開始し、出口を失った資本主義の危機が中国―東アジアで戦争を生み出そうとしている。この中で、今年の11月集会は特別な意味を持つ。こうした情勢の急展開に対して発せられた「3労組共同アピール」は、この全情勢に立ち向かい、労働運動を変革し、階級的労働運動の力ある登場を今こそかちとろうと訴えている。
 起こっていることは国鉄分割・民営化攻撃の根本的破綻だ。臨調・行革攻撃と国鉄分割・民営化は戦後日本階級闘争に振り下ろされた最大の反革命攻撃であり、戦後最大の労働組合破壊攻撃であった。しかしその全面的破綻が始まった。階級支配の大崩壊と、全産別、あらゆる地域からの労働者階級人民の大反乱の危機に支配階級はおびえ続けている。
 11月集会を呼びかける3労組は、国鉄分割・民営化攻撃を核心とする新自由主義と非妥協的に闘い、勝利しぬいてきた。3労組が体現する闘いの中にこそ、労働者階級の階級性・革命性が鮮明に示され、闘う人々の結集軸となる時だ。8~9月反戦大闘争を全力で闘いぬき、その地平と力を労働者の未来をかけて11・6労働者集会へ結集しよう。組織化に全党の総力で取り組もう。

Ⅳ プロレタリア独裁権力めざす共産主義者の党を建設しよう

レーニン主義の実践

 日本階級闘争は階級対立の非和解的激突と内乱的発展の階梯(かいてい)を着実に歩んでいる。問われているのは現実の階級闘争の中で「戦争を内乱へ」を実践する党への変革であり、第1次帝国主義世界戦争下でレーニンが「第2インターナショナルの崩壊」で訴えた革命的情勢における革命党の三つの義務の全面的実践である。
 それは①革命的情勢が現存することを明らかにし、その広さと深さを説明し、②プロレタリアートの革命的自覚と革命的決意を呼び覚まし革命的行動に移らせ、③この方向で活動するために革命的情勢に応じた組織をつくりだす義務である。とりわけ革命的情勢に応じた組織に関してレーニンは「日和見主義は合法主義によって育成されている」(同)と危機の時代に社会排外主義に「成熟」する日和見主義について述べ、プロレタリアートが革命的行動に向かう時代においてこそ「合法性に局限されないですむ組織、日和見主義的裏切りに陥る危険をとりのぞく能力のある組織」(同)の建設の死活性を明確にした。
 米日帝の中国侵略戦争阻止闘争こそ、革共同がこのレーニン主義革命論の今日的実践のために党の変革をかけて立ち向かう大決戦だ。もちろんこの闘争は「平和擁護」の類のものでは断じてない。中国侵略戦争阻止闘争とは、労働者階級が自らの力で帝国主義とスターリン主義の戦後世界体制という世界革命の抑圧体制から解放をかちとり、反帝国主義・反スターリン主義世界革命に向かって階級的団結を拡大していく闘いである。ゆえに党の宣伝・扇動は、プロレタリア国際主義と自国帝国主義打倒の立場を明確に打ち出し、それらを同時に日本共産党など既成勢力の祖国防衛・排外主義への転落との非妥協の闘いと結合し、生き生きと展開されなければならない。そして意識的に合法性の枠組みを突破する闘争を積み上げ、それらを党建設―細胞と地区党の強化・拡大に転じる闘いを実践することだ。
 唯一の集約点が党建設、すなわち党細胞の拡大であり地区党の強化であることをあいまいさなく確認しよう。党建設と切り離されて反戦闘争や階級的労働運動の意義や重要性が語られるならばそれは誤りである。

死活決する党の意識性

 党建設を唯一の集約点とするということは、このプロレタリア革命の過程がきわめて目的意識的過程としてあり、党の意識性に革命の死活がかかっているからだ。プロレタリア独裁樹立をめざす共産主義者の党の建設をプロレタリア革命の命運をかけて推し進めよう。
 そもそもブルジョア革命は、旧社会の内部で徐々に進行するブルジョア的生産関係の発展を基礎とし、それを推し進めるものとして展開された。しかし、プロレタリア革命は、打倒対象としての資本主義社会を見据え、プロレタリア独裁権力樹立と共産主義社会の建設を目的意識的に闘いぬく過程として貫徹される以外にない。資本家や資本主義的生産力・諸関係は封建制的旧社会の中から自然成長的に発展したが、資本主義社会の中から共産主義的諸関係が自然に生まれ成長し、ついに革命になるということは絶対にない。このようなブルジョア革命とプロレタリア革命の本質的な相違をはっきりと見なければならない。
 このプロレタリア革命の目的意識的過程を保障するものがプロレタリア前衛党の建設だ。前衛党は、労働者階級が生まれると同時に始まった資本に対する自然発生的な抵抗、闘争、労働組合的団結の組織化、それらの幾度もの挑戦・敗北と教訓の中から形作られる。この前衛党の意識性をもってブルジョアジーの様々な分断と破壊の攻撃を打ち砕き、労働者の階級的団結(国際的団結)を強固に発展させ、ブルジョア政治権力打倒―プロレタリア独裁まで階級闘争を導かなければならない。
 労働者を広範に全体として組織するためには労働組合が決定的だ。そして「労働組合と党の相互作用」を通してのみプロレタリア階級闘争は発展してきた。しかしあえて強調したいことは、労働者階級の究極の勝利、完全な解放を実現するためにはプロレタリア独裁と共産主義社会の実現を首尾一貫して意識的に追求する前衛党が必要だということだ。この党なくしてはプロレタリア革命の勝利と完遂は不可能だ。労働者階級自己解放の必須の組織的武器として、革命党建設が今こそ死活的だ。

党建設上の諸課題

 革命党の土台こそ細胞であり地区党である。地区党建設こそ、3全総でプロレタリア独裁権力樹立の意識性の組織的表現として建設が訴えられた。地区党指導部を、中央を体現するプロレタリア独裁権力樹立の強固な意識性で武装された集団として建設しよう。中央労働者組織委員会・産別委員会を、中央―細胞の一致を土台に、各産別の具体的組織戦術を明確にし、産別・職場細胞の建設を推し進め地区党を強化する方向で建設していこう。
 22年前半決戦で、学生戦線は重大な前進をかちとった。その土台には、様々な形で地道に組織されたマルクス主義・レーニン主義の学習会がある。中国侵略戦争阻止闘争の土台はマルクス主義・レーニン主義での武装である。党学校、労働学校を始め古典の学習会を網の目のように組織しよう。
 機関紙「前進」は宣伝・扇動の要である。プロレタリア革命の展望を生き生きと語る「前進」への変革を全党の力でかちとろう。地区活動の柱は「前進」拡大だ。「前進」と一体で、機関誌『共産主義者』の充実と活用をかちとろう。
 反弾圧闘争は反戦闘争の決定的課題だ。星野国賠闘争と一体で今秋から始まる大坂正明同志の裁判闘争を獄内外一体で闘い、無罪奪還をかちとろう。須賀武敏同志を即時奪還しよう。
 全階級の渾身(こんしん)の総決起を8~9月反戦大闘争から11月へと切り開き、革共同の強大な建設で世界革命をたぐり寄せよう。

このエントリーをはてなブックマークに追加