奈良市従書記解雇は違法 地位確認訴訟 前委員長と対決

週刊『前進』04頁(3254号03面03)(2022/07/25)


奈良市従書記解雇は違法
 地位確認訴訟
 前委員長と対決

(写真 裁判後、傍聴席を満杯にして共に闘った仲間たちと勝利感あふれる報告集会をかちとった【7月7日 奈良市】)


 7月7日、奈良地裁で自治労奈良市従業員労働組合から2021年に懲戒解雇された吉谷宏子元書記の地位確認請求裁判が開かれ、原告・吉谷さんと解雇を強行した大橋浩治前委員長の尋問が行われました。
 70人の傍聴席が仲間で満席になる中で、市従本部がどれほどの暴挙を行ってきたのかが明らかになり、戦時下の労組つぶしに対する決定的な前進をかちとりました。争点は、労働組合の書記を就業規則も懲戒規定もなく懲戒の根拠の説明もしていないのに懲戒解雇したことは有効なのか、違法ではないのか?ということです。
 吉谷さんは3回の懲戒処分を受けてきました。12年に吉谷さんが前委員長を平手打ちして戒告処分を受けた件について、吉谷さんは「そのようなことをしたのは申し訳なく思っています。二つの点で私は許せませんでした。一つは自治労共済から全労済に移行する過程で組合員のマイカー共済の契約が問題になっていました。執行委員会で移行に反対する決議を上げたのに、委員長がみんなの知らないところで決定を覆そうとしたこと。もう一つは清掃職場に民間委託の攻撃がかけられた時、委員長は組合員を裏切って民間委託を推進したことです」と述べ、書記として体をはって組合員の利害を体現したことを明らかにしました。
 2回目は17年に吉谷さんたちがビラをまいたことで減給処分を受けた件。3回目が今回の懲戒解雇です。
 吉谷さんは「2回目も3回目も、清掃職場でのセクハラ・パワハラに声を上げたAさんの解雇に反対するビラをまいたことです。セクハラ・パワハラ事件が起きた時、組合員が加害を犯した時、組合本部は当該と向き合い、差別・分断を団結に変える努力をすべきです。私たちは当然のことをしただけで、処分は不当です」と述べました。
 地方公務員法や職員の処分指針が書記に準用されることなど一度も説明されていません。前委員長は法的論理的根拠を突っ込まれると「総合的に判断した」と答弁。傍聴者からどよめきが起き、でたらめな懲戒解雇であることがはっきりしました。吉谷さんと前委員長は奈良市従が参加していた11月労働者集会や国鉄闘争をめぐって激突したことも明らかとなりました。
 判決は10月20日。戦争が切迫する中で、参加した全員が団結で突破できることが最大の勝利であると確信を深め、感動を得ました。(奈良 B)

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戦時下の労組めぐる激突
労働者指導部建設が鍵

 米帝バイデンと日帝・岸田は中国侵略戦争を決断した。日本の参戦が迫る中で安倍国葬をめぐる大決戦に突入した。私たちは構えなければならない。戦争絶対反対の闘いが労働運動の主流になろうとしている。その中で、奈良市従決戦が歴史的局面を迎えている。
 発端は奈良市従内で3点をめぐって分岐したことだった。2006年住宅闘争などの部落解放闘争、国鉄1047名解雇撤回闘争、12年奈良市清掃職員への特殊勤務手当廃止とパッカー車の民間委託攻撃など、いずれも絶対反対の旗を下ろすかどうかの激突だった。
 そこから現場の民営化・非正規職解雇絶対反対の闘いへ団結が拡大。15年、下水道民営化との闘いは根底的な怒りや誇りと結びつき、絶対反対の団結を固める土台となっていった。そして17年、セクハラ・パワハラ解雇との闘いは転換点となる。当局は職場のセクハラ・パワハラを告発したAさんを解雇。組合本部はAさんと共に闘った組合員3人の除名処分を強行した。
 この闘いは「被害者の女性を支援する」というものではなく、「セクハラ・パワハラ解雇は民営化のための職場支配である」ことを路線的闘いによって明らかにした。同時に労働組合は差別・分断を階級的団結にしていける無限の力を持っていることを示した。
 この5年間、4人の除名処分、3人の非正規職解雇、書記1人の懲戒解雇処分と、いったん絶望の淵に立たされるような団結破壊が続けられてきた。しかし第四支部(教育支部)の団結を守り抜き、「奈良市従をよくしたい会」という闘いの拠点をつくりだして反撃を開始した。今やあらゆる攻撃を跳ね返す力関係をつくりだしている。
 これらの闘いは21年、大阪「セクハラ・パワハラ解雇をぶっ飛ばせ集会」、22年3・8国際婦人デー集会として、全国に波及していった。この過程で福岡での「日本生命パワハラ解雇撤回闘争」に団結が拡大したのは重要である。
 非正規職解雇撤回の労働委員会闘争と書記解雇撤回の裁判闘争が決定的状況に入った。一切は労組権力の攻防として始まっている。
 重要な教訓は労働組合の現場の闘いと地区党の議論を一体で進めてきたことである。目の前の結果に一喜一憂せず、総括軸を労働者指導部建設において議論してきたことだ。当局や体制内労組幹部との関係は非和解である。職場闘争と戦争反対の闘いは本質的に同じである。現場の闘いに責任を取るために、地方委員会と地区党と産別と戦線の議論が生き生きと一体で議論され実践されてきた。
 今、JR在来線廃止や市役所窓口廃止問題が起きている。もはやブルジョアジーが社会を維持できないほど崩壊している。ウクライナ戦争や「台湾有事」―中国侵略戦争が破滅的な核戦争となることは必至だ。日本労働者階級の位置はとてつもなく大きい。
 階級的労働組合の団結で世界戦争を阻止し勝利をかちとろう!
(革共同奈良県委員会)

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