最高裁「国に事故の責任なし」 福島圧殺狙う反動判決許すな
週刊『前進』04頁(3252号03面02)(2022/07/11)
最高裁「国に事故の責任なし」
福島圧殺狙う反動判決許すな
(写真 全国から510人の労働者・農民・学生などが参加した3・11反原発福島行動22は、放射能汚染水の海洋放出を阻み原発再稼働も核戦争も止める力がここにあることを示した)
福島第一原発事故の避難者らが国と東電に損害賠償を求めた4件の集団訴訟で、最高裁第2小法廷は6月17日、「国に事故の責任なし」とする極悪の反動判決を言い渡した。避難者を先頭とした福島の労働者民衆の怒りと闘いを圧殺し、原発推進と中国侵略戦争・核戦争(核共有・核武装)へ突進する日帝の国家意思そのものだ。戦時司法への歴史的転換というべき暴挙に怒りが広がっている。
「想定外」強弁し元凶の国策不問に
判決は〝地震・津波が想定外だったため、国が東電に防潮堤を設置させても事故は避けられなかった〟と強弁し、国の責任を全て否定した。断じて許せない。原発・核政策は1950年代以来国策として進められてきたのだ。それは「核製造能力の確保」=核武装を目的としたものだった。国は全国各地で札束と機動隊の暴力を使って地元住民や労組、漁協などの反対の声をたたきつぶし原発を造り続けた。その結果が2011年3・11福島原発事故だった。国による原発推進なしには福島第一原発は存在しなかったのであり、日帝国家こそ最大の責任を負っているのだ。
それを最高裁は〝原因は想定外の津波のせい〟として国家責任を免罪した。あまりにでたらめで反動的な判決への福島の怒りにおびえ、4人の裁判官のうち1人は判決文に「国は、損害賠償責任を負うべき」との反対意見を付けざるをえなかった。福島と全国の福島原発事故への憤激、「全原発廃炉!」の不屈の闘いによって日帝の核・原発政策は破綻の危機に追い詰められている。今回の判決が示しているのは支配階級・国家機構内の動揺とそれゆえの反動性だ。
「ふざけるな!」怒りが燃え上がる
判決を聞いた原告らは「ふざけるな!」「こんな判決認めねぇぞー。許せねー、許せねー!」と声を振り絞って弾劾した。福島原発事故は今も進行中だ。福島・東日本と海洋は放射能に汚染されたままであり、福島第一原発から大量の核燃料デブリを取り出し廃炉にする展望などまったく見えず、放射能汚染水はたまり続けている。今も避難を余儀なくされ続けている人は県の発表だけで3万人を超える。小児甲状腺がん患者は県が確認しているだけで約300人にものぼる。その最大の責任が国にあることは、誰も否定できない現実だ。
東電と国を訴えた集団訴訟は全国で32件、原告総数1万2千人以上の大闘争として政府の核・原発政策を追い詰め、全国の原発の再稼働も容易に進まない状況を強制してきた。
すでに国の賠償責任を認める判決が地裁・高裁合わせて12件出ている。当然のことだ。今回の福島、群馬、千葉、愛媛の4訴訟に対する最高裁判決はこれら全てを覆すことを狙ったものだ。最高裁はこの4訴訟で東電については責任を認め、約3700人への計約14億5千万円の賠償を3月に確定させていた。今回の判決は高裁段階で割れていた国の責任について「なし」とする初の統一判断を示したのだ。
再稼働・核武装へ突進する日帝倒せ
判決を受けて萩生田光一経済産業相は「原子力政策に大きな変更はない。再稼働を進めていきたい」と強調した。すでに骨太方針2022は、原子力を「最大限活用する」と言い切っていた。防衛力の抜本的強化、戦時国家への転換と一体で核・原発政策推進を露骨に打ち出したのだ。最高裁判決はこの骨太方針に沿って、〝労働者住民の命と生活などどうでもいい、国に歯向かうな〟という日帝の国家意思を体現した。もはや裁判所は「民主主義国家」の体裁すら取れなくなった。新自由主義大崩壊下、最末期帝国主義の中国侵略戦争―世界戦争・核戦争のための戦時体制・戦時司法への転換だ。
しかし原発への怒りを国家暴力で抑え込むことなどできない。怒りに震える原告は「この裁判がいかに不正義かを伝えるのが私の仕事になった。事故が起きても国は責任をとらず、被災者を守らない。こんな国に原発を動かす資格はない。原発はもう動かさせません」と語り、訴訟団の弁護士は「私たちの社会が問われている」と訴えた。帝国主義の階級支配を根本から打ち倒す時が来た。
岸田は参院選の第一声を福島で発した。福島に日帝の支配の危機があるからだ。3・11福島デモに続き、避難者や子ども甲状腺がん裁判を闘う青年、被曝労働を拒否し放射能汚染水の海洋放出に反対する福島の労働者・農民・漁民と共に闘いぬこう。原発再稼働阻止、全原発を廃炉に! 中国侵略戦争阻止、8・6広島―8・9長崎を総力で闘い日帝・岸田を倒そう。